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変わり行く心


          武装都市マーロ


 イザナ達3人はマーロに着くと旅の準備を整える為に町で買い物を済ませた。


「結構買ったね〜」


「黒の森を抜けて元エルフの国を目指すから、これでも少ない位よ」


 ヤルダバオトもといペンちゃんからの情報で、エルフの国とそこから東には量産型は配備されて無い事が伝えられた。


「おい!何で俺が荷物持ちなんだ!」


「男なんだからそれくらいやりなさい」


 顔が隠れるほどの大量の荷物に抗議の声を上げる。


「ペンちゃん大丈夫?」


「おう!問題ねえ!」


 ペンちゃんの手の平返しにイザナは驚きを隠せない。


「はあ?私と態度違いすぎでしょ」


「仕方がねえだろ!ライラには逆らえねぇんだよ!」


「ははは...」


 3人は宿屋に到着すると部屋をとる。


「3名様ですね、お部屋は2部屋ご用意出来ますが如何致しましょう?」


「1部屋で」


「えっ!?」


 イザナの答えにライラが驚くとペンちゃんが即座にライラの肩を抱く。


「問題ない俺達は同じベッドで寝る」


「畏まりました、では15号室をお使い下さい鍵をお渡しします」


「ありがとう」


「ちょっ!えっ!」


 戸惑うライラの背中を押しながら部屋に向かう。


「ホントに同じベッドで寝るの!?」


「何言ってんの、停止させれば置物でしょ?」


「あっそうか!」


「いやいや何言ってんだ!ライラ俺と楽しもうぜ!」


「それはちょっと...」


 部屋に着き中に入ると荷物を下ろす。


「明日までにコレを整理して出発するわよ」


「食いもんばっかだな!」


「しょうがないでしょ、歩きで2週間は掛かるのよ?」


 ペンちゃんは振り向きライラに詰め寄る。


「聞いたか?2週間宿無しだぞ?だから今日は俺と!」


「ペンちゃん「停止」!!」


 ピタッとその場で動かなくなる。


「ふぅ...よっと!端っこに...」


 停止したペンちゃんを壁に寄せる。


「あはは!無様ね〜」


「それは言い過ぎだよ〜」


「まあそいつの案内や情報は必要だから、不貞腐れない様に面倒は見るのよ?」


「私じゃなきゃ駄目?」


「ライラが主人でしょ?」


 ライラは難しい顔をする。


「そいつの事苦手?」


「ううん...」


「難しく考えなくて大丈夫、ほら見なよ魂の無いただの機械よ?」


 壁に向かい停止したペンちゃんを指差す。


「なんか皆から機械機械って、可哀想」


「それなら大事にしてあげなよ」


「それはそうだけど...」


 イザナは空気を読む。


(成程...押しが強くて引いちゃった感じ?コイツが起きたら教えてやるか)



          天界 神の座


 ルークは神の座から立ち上がり地上の見るのをやめた。


(何度未来を予見しても死んでいたライラが生存する可能性が見えた...カイの嫉妬が役に立つとはな)


「マモン!後は任せる」


「もう見なくてよいのか?」


「ああ、後はイザナ達の頑張り次第だ」


「ホッホッホ!上手くいくと良いのう」


 ルークは待つその時が訪れるのを...



           翌朝 


 イザナとライラは着替えを済ませると、荷物の最終確認をしている。


(さてと...それとなくライラを出かけさせないと)


「あっ!」


「ん?どうしたの?」


「雨具買ってないや、ライラ買い出しお願い出来る?」


「いいよ〜」


「あっ出る前にソイツ起こしておいて」


「帰ってからでも...」


「話があるの」


「??わかった...ペンちゃん「起動」!」


 ブンッ... ペンちゃんの目に光が灯る。


「ん?俺は確か...」


「ペンちゃんおはよう」


「ライラ!俺と...ん?おはよう?」


 脳内の日付を確認する。


「1日経ってんじゃねぇか!まさか出発すんのか!?」


「そうだよ、その前に買い物済ませてくるから此処で待ってて」


「マジか...2週間もお預けかよ...」


 ライラが買い物に出かけると。


「アンタに話がある」


「名前で呼べ」


「ペンちゃんで良い訳?」


「ぐっ...好きに呼べ」


「まあいいわ...ライラの事よ、彼女アンタに引いてるわよ?」


 ペンちゃんはキョトンとしている。


「は?いやいや生娘じゃあるまいし」


「パパしか男を知らないんだから仕方がないでしょ」


「マジか...ん?パパ?お前も魔王の子供なのか?データには無いが...」


 口を滑らせ余計な一言が出てしまう。


(しまった...)


「あ〜簡単に説明するわよ?」


 イザナは仕方なく事情を説明した。


「成程な、良いのか?俺に言っても」


「問題無いわよ、貴方も向こうに見つかったら即スクラップだろうし」


「そりゃそうだな」


 イザナはペンちゃんの胸をド突く。


「それと!ガツガツ行くんじゃなくて、もっとゆっくり攻めなさい」


「人妻だから速攻行けると思ったんだが...面倒臭せえな」


「まあ2週間あれば行けるでしょ」


「所で何でそんなに協力的なんだ?」


「私にも利があるのよ」


「ほう?例えば?」


「知らなくていいわ、言う気もない」


「了解了解」


 ペンちゃんはイザナの目を見て踏み入らない方が無難だと判断する。


(コイツがライラの相手をしてくれないと人を殺しに行けないのよ!王都では騒ぎを起こせないし、こっちは鬱憤溜まりまくりなの!)


 2ヶ月の間ずっと溜めてたストレスが今にも爆発しそうだった。


(エルフの国は今や廃墟、住み着いた流れ者や旅団が拠点化してるらしいし...治安は悪い筈!あぁ楽しみ!)


 暫くすると。 ガチャ... 扉が開く。


「ただいま〜」


「おかえり」


 雨具を床に置く。


「ペンちゃんコレも担げる?」


「任せろ!」


 馬鹿でかいバックパックを背負い更に雨具を備え付ける。


「重くない?大丈夫?」


「余裕余裕!」


 グッとポーズをすると。


「ふふふっ何それ」


 ライラは笑顔を見せる。


(うおっ!?可愛いな...見とれてしまった)


「どうしたの?」


「何でもねえ!ほら出発するんだろ?」


「うん」


 3人は宿から出ると東の門を抜け外に出る。



          黒の森 


「ここはまだ監視対象地域だ、迂闊に魔力を冒険者より高めたら即ターゲットにされるぞ」


 ペンちゃんが念を押す。


「急ぎすぎるのもマズイか...仕方ない歩きますか」


「ペンちゃんは荷物持ちね!魔物は私とイザナに任せて!」


 ペンちゃんは2人の荷物を両手に抱え後ろに控える。


 するとライラはマーロで買った新品の剣を抜いた。


「その腰の剣は使わねぇのか?」


「あっコレはね強過ぎるから普段は鞘で封印してるの」


 ルークの作った神剣は聖剣とは比べるまでもなく最強、強過ぎる故に無闇矢鱈と目立つ。


「お喋りはそこまで!来るよ」


 イザナの言葉と同時に木々の陰から魔物が顔を出す。


「グギギギ!!」


「黒いゴブリン?新種?」


「パパが言ってたでしょ!魔物は他の大陸から召喚してるって!」


「そうだった!それじゃあ行くよ!」


 ライラは一瞬で間合いを詰めるとゴブリンの首を跳ねた。


「ギッ!!」


 ガサガサガサ! 木々の上や周りから次々とゴブリンが集まって来た。


「お〜お〜うじゃうじゃと何匹いんだ?」


「ライラ飛んで!」


 イザナが右手を左肩に振りかぶり。


「喉元を穿て!ウィンドブラスト!!」


 爆風と共に部位指定の風の刃がゴブリン達を目掛け飛ぶ。


「ギイィ!」


「遊ぶ気も無しかえげつねぇな...」


 最小の魔力消費で最大限の結果を生み出す。


「雑魚と遊んだって楽しくないし」


「はは...イザナは加減しないから」


「にしてもだな...ほらあるだろ?自分の力を試してみたいとかよぉ」


「無い無い!ほら行くよ」


 少し歩くともう次の魔物と鉢合わせる。


「グオオオオオオ!!!」


「ダークウルフだ!初めて見るけど大きいね〜」


「おお!強そうだな」


 2人を他所にイザナはさっさと攻撃に移る。


「拘束しろ!フォレストバインド!!」


 避けようと飛び上がったダークウルフを木の枝が叩き落とす。


 地面に落ちた瞬間、無数の木々から枝やツタ地面から根が伸びダークウルフを縛り上げた。


「グウウウ!!」


「ワンちゃんごめんね、アイスコフィン」


 ガチンッ!! 頭部のみ氷で押し固める。


(マジで戦闘は効率厨だな...凍らせるのも最小限か)


「はい終わり!」


「出番無かったよ〜」


 後ろで見ていたペンちゃんは2人の強さを再確認する。


(コイツら強いな...当然力の片鱗も見せてない、ディアボロスと闘る気なのも嘘じゃないか...)


「お前らが強くて楽でいいな!」


「ん?何言ってんの?日が暮れたらアンタの出番よ?」


「ああ...なるほど」


 それから半日が経ち森も暗くなって来た。


「大分暗くなって来たね、そろそろ夜営する?」


「そうね...簡単な食事で済ませてさっさと寝ますか、アンタ...ペン...ちゃん荷物を下ろして」


「無理に言わなくてもいいぞ?」


「ずっとアンタだと可哀想でしょ」


「へいへい」


 ペンちゃんは荷物を下ろしテントや寝袋を出す。


「良かったねペンちゃん!」


「そうだな」


(何でコイツはこんなに屈託もない笑顔を俺に...俺は敵だぞ?)


「俺が敵だったのをもう忘れたのか?まるで仲間の様に接するじゃねえか...」


 ずっと引っ掛かっていた疑問が口に出る。


「え?でも以前のペンちゃんとは別なんでしょ?」


「それはそう何だが...」


「なら大丈夫だよ!心配ないよ!」


「説明になって無いぞ?」


 ライラはニコニコ笑っていた。


「ねえ?私には?」


「お前はずっと警戒してるじゃねぇか!」


「あっバレてたか」


 ペンちゃんはライラを見て不思議な感情に囚われる。


(コイツは許せるタイプか...稀にいる珍しいタイプの人間だな)


「わかった...ライラ今日はゆっくり休め、俺が守ってやる」


「ペンちゃん頑張ってね!」


 イザナが余計な一言を付け加える。


「どうせ命令されたら断れないでしょ?」


「こういうのは心構えの問題だ!」


(何よコイツ...もうライラにメロメロじゃない)


 2人は食事を済ませると...イザナが少し離れた場所に魔法で目隠し用の敷居を建てる。


「ん?アレは何をやってんだ?」


 恥ずかしそうにライラが答える。


「とっトイレだよ...」


「ああ!確かに必要か!」


「見ちゃ駄目だよ?」


 ライラが釘を刺す。


「あんな奴のしてる所なんて見ねえよ!ライラなら別だがな!」


「えっ!?駄目!絶対に見ないで!」


 ライラには絶対服従、強制力が働く。


「了解...って命令しなくても冗談だ冗談!」


「セクハラだよ?」


「今更俺に言うのかよ!俺の女好きは知ってるだろ?」


「う〜ん?でもセクハラは駄目!!」


「了解...マジかよ俺の楽しみが...」


 ペンちゃんはガックリと肩を落とす。


 余りの落ち込み様に見るに見かねたライラは小声で話しかけた。


「私と2人きりの時なら良いよ、他の人には迷惑になるからね?」


「おお!!了解だ!ライラにはセクハラするぞ!」


「はしゃがないの!」


「おっおう...」


 イザナが2人を見ながらニヤニヤしている。


「随分仲良くなっちゃって!いい感じじゃない?」


「そっそんな事ないよ!気の所為!」


「気の所為じゃねえな、俺はライラに惚れた!」


「ちょ!ペンちゃん!?」


「言うね〜まあ後は仲良くやってて、私は先に寝るからお休み〜」


 イザナはさっさとテントに潜り込む。


「わっ私も寝ようかな...」


「待ってくれ!」


 真剣なペンちゃんにライラはその場に留まる。


「どうしたの?」


「2人きりだ...セクハラしても良いか?」


 真剣な顔でアホなことを抜かす。


「ペンちゃん...朝まで警戒頑張ってね?お休み〜」


 ライラはテントに入る。


「頼む!頑張るから元気をくれ!」


 ライラはテントから顔を出すと...手招きをしている。


「なんだ??」


「チュッ!」


 ペンちゃんの頬にキスをするとテントに隠れた。


「よっしゃ!!」


(キスでこんなにもヤル気が出るのか??今迄の女達とは違う...これが愛??愛なのか?)


 ペンちゃんは感じたことの無い感情に喜ぶと同時に、女を性欲の捌け口としてしか見てなかった自分を恥じていた。


(以前の俺はサカリがついたサルだな...みっともねえ...)


「さて...仕事に戻るか」


 周辺をサーチする。


(北200m先に2体...他は...遠いな、先ずコレから殺っとくか)


 朝まで9時間 ペンちゃんはライラ達を守る為に接近する魔物を仕留め続けた。



            翌朝


「んん...」


「ふあぁ〜おはよう」


 2人は目を覚ましテントから出ると...


「よう!起きたな、良く眠れたか?」


「おはようペンちゃん」


「ん?何アンタその怪我」


 ペンちゃんの左腕には傷が見て取れた。


「ああコレか?そこそこ強いのが居てな、名誉の負傷ってやつだ」


「ペンちゃん大丈夫!?起こしてくれたらよかったのに!今回復魔法かけるね」


 ペンちゃんはライラを制止する。


「問題無ぇよ、そもそも回復魔法は効かねえ...今自動修復中だ半日あれば元に戻る」


「へぇ〜便利ね」


 それでもライラはペンちゃんの腕に包帯を巻く。


「だから意味ねえって!」


「ほっとけないから良いの!」


 ペンちゃんは顔を背ける。


(やべぇ...嬉しすぎて顔を直視出来ねぇ)


 そっぽを向いてニヤけるが...目の前にイザナが居た。


「ぷっ!何よその顔!」


「うるせぇな!ほっとけ!」


 その時!ピピッ! ペンちゃんのセンサーに人間が引っ掛かる。


「ん?待て、人間だ東に300m」


「数は?」


「1人だ...どうする?」


 イザナは直ぐに察した。


「恐らく全滅しかけたパーティーね、方角からして旧エルフの国から来た様だけど...」


「助けないと!」


「駄目よ面倒事はごめん、迂回するわよ」


 イザナはテントを片付け始めるが...


「ペンちゃん行くよ!」


「おう!」


 2人は東に走り始めた。


「えぇ...はあ〜面倒臭い...」


 イザナはテントを担ぎ不機嫌そうに2人の後を追う。


(あの2人もう息ピッタリね、まあコレで変に誤魔化しも要らなくなったと思えば...ふふっ)


 旧エルフの国は今や無法地帯、人殺しも容易な事も想像に難い。イザナは胸をときめかせていた。



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