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快楽殺人


        マーロ 領主の館


 空き部屋に設置された天界の門から3人が出て来た。


「私はモリガンに到着を伝えるわ、2人も一緒に来る?」


 エキドナの提案をイザナは断る。


「会わなくて良いかな...早く姿を隠したいし」


「なら私もイザナに着いてくね」


「そう、2人とも無理はしないように...ね?」


 エキドナは2人を残し外に出ると...


「さてと...イザナこれからっ!?」


 ライラは咄嗟に部屋の壁まで飛び退く。


(アレ?わかるんだ...面倒臭いな)


「冗談よね?それとも本気なの?」


 ライラは漏れ出た微かな殺気に反応した、イザナの目は本気だ。


「ライラママが邪魔だから、此処で殺っちゃおうと思って」


「貴方の邪魔にはならない!信じて!」


「う〜ん?でもライラママはディアス兄を殺せないよね?結局足手まといになるなら同じだよ」


「お願い!ディアスに会いたいの...」


 イザナは戦闘態勢に入る。


「その封印も気に入らない...負ける気があるからそんなのが必要になるんだ」


「これは...その...」


 図星を突かれて動揺する。


 ルークにはストレス発散と思わせたが実際は負けた場合の保険。


「2人とも動くな、そこまでだ」


 突然虚空から声が響く。


「その声...メイへ?」


「何時から見てた?」


 壁からメイへが現れる。悪魔の成長は早い、もう立派な青年になっていた。


「最初から見てたよ、イザナ?父さんを悲しませたら僕が許さないよ?」


「ハハッ!凄い!強くなったね!」


 会話になっていない。イザナの興味はもうメイへとの戦いに移っている。


「メイへ!私と殺し合おうよ!」


「順番を履き違えるな...」


 メイへの強烈な威圧にイザナは恍惚の笑みを浮かべ快感に震えていた。


「ヤバっ...あぁ...」


(凄い!パパ以外でこんなに感じるなんて!快感が止まらない!)


「イザナ、ライラ母様を手伝って欲しい、約束を果たせば相手になるよ」


「本当ね?」


「二言は無い」


 イザナはその言葉で戦闘態勢を解く。


「ライラママ、一時休戦よ」


「良かった〜はぁ〜」


「でも邪魔なのは変わらない此処に残って、コアは私が回収して来るから」


「嫌です!」


 メイへが割って入る。


「イザナ?僕は「手伝って」と言った、聞いてたよね?」


「はぁ...ライラママわかってる?終わるのが何年後かも分からない、それでも着いてこれる?」


「うん!頑張るよ!」


「まあその封印も無駄にはならなそうだし、気長に構えててね」


「えっ?」


 イザナはため息を着く。


「自己管理は自分でやってねって事」


「はっはい!」


「話は終わりだね、じゃあ此処から外に」


 メイへは壁に短距離移動のゲートを作る。


「何処に出る?」


「町外れの裏道、敵がエキドナ母様に食いつくまで町に潜んでて」


「了解」


「バフォメットの執拗さはメフィストから聞いてるから、直ぐに始まると思っていいよ」


 2人は頷くとゲートを潜る。



        町外れの小道


 マーロの外壁に近い小さな道に出る。


「誰にも見られてない...よし」


「これからどうするの?」


「先ずは冒険者に偽装するよ、その方が動き易いから」


 2人はギルドで手続きを済ませると小さな宿を拠点に様子を伺う事に決めた。


 宿の一室で今後の打ち合わせを始める。


「確認するね、私はライラママの事をライラって呼ぶ」


「うん」


「私は魔法使いライラは剣士で2人組で冒険者を生業としてる、で良い?」


 ライラは目をキラキラとさせていた。もう殺されかけた事はすっかり忘れている。


「なんで嬉しそうなの?」


「昔を思い出して懐かしいなって」


「話を続けるよ?私達の出身はテトラガーデンって事になってる、ルイ商会が保証人になってるからそこは大丈夫」


「調べられても安心って事ね」


「問題はライラの顔が敵にバレてる事...そこはもうしょうがない、整形は嫌よね?」


「うん嫌!」


 イザナはヤレヤレと首を振る。


「なら知ってる顔が居たら即、認識阻害の魔石を使ってね」


「は〜い」


「後は〜男を連れ込む時は別の部屋を取るように!鉢合わせたら気まずいから」


「男を連れ込む...」


 ライラの顔は真っ赤だ。


「いやいや...何その反応?」


「だって恥ずかしいよ」


「もしかしてパパ以外は知らない?」


「うっうん...でっでもイザナもまだだよね?」


「うん、ずっと天界に居たし...まあいいや」


 イザナは面倒臭くなって放っておく事にした。


「私は偶に居なくなるけど心配はしないで、ちゃんと帰ってくるから」


「???」


「こっちにもやる事があるの!良い?」


「はい!」


(人を殺しに行くなんて言ったら絶対邪魔されちゃうし)


「最後にライラのその剣は無闇に抜かないように!」


「流石に人目がある時は抜かないよ!」


 ライラの腰の剣は名も無き神剣、ルークがライラ用に新造した物だ。


「このくらいかな?じゃあ敵が動くまで自由時間ね」


「隠れてなくて良いの?」


「引き篭ってると宿の人に怪しまれるからね、適当に依頼受けて外の魔物でも狩らないと」


「そうか冒険者だもんね」


「そういう事、じゃ解散!」


 イザナはさっさと部屋を後にする。残されたライラはぼ〜っとしていた。


(ルークは良いよって言ったけど...これって浮気になるのかな?でもルークには会えないし、どうしよう困ったな...)


 今更怖気付くライラだった。


 一方 イザナはギルドにまた帰って来ていた。


(う〜ん?どれにしようかな?)


 強そうな冒険者を品定めしていると声をかけられた。


「姉ちゃんどうした?ここは初めてか?」


「ん?」


 振り向くと髭面の男性が気さくに声をかけて来た。


「えぇ今日着いたばかりなの」


「おお!べっぴんさんじゃねえか」


 男は鼻の下を伸ばす。


「へえ〜その若さでここまで来るとは...ツレは?」


「1人居るわ」


 男は驚きを隠せない。当然だ、黒の森をたった2人で抜けて来る者はそうそう居ない。


「マジか...」


「驚いた?」


「まあな、で?何か探してたのか?」


「強そうな冒険者は居ないかなって」


「ここは猛者ばかりだ、今は魔物狩りに出てるパーティーが殆どだがな」


 イザナは時計を見る。


「そっか、また夜にでも来ようかな?」


「男漁りなら俺なんてどうだ?」


「ふふ...考えとく、じゃあね」


 軽くあしらうとギルドを出る。


(そっか外で魔物狩りか...なら魔物に殺られて帰って来ないパーティーも居るよね...ふふふ)


 イザナは溜め込んでいた欲望を解放する為に町の外に出る...



        夕方 黒の森


 薄暗い森の中、魔物の叫び声と人間達の声が木霊する。


「グオオオオオオ!!!」


「ドドメだ!俺に合わせろ!!」


 男女4人の冒険者がヘルリザードに一斉に攻撃を浴びせ仕留める。


「よっしゃ!!」


 その様子を茂みの中からイザナが覗いている。


(いたいた...周囲に魔力反応無し...このパーティーだけ孤立してる)


 仲間同士で称賛していたその時、ヒュッ!!何かが通り過ぎ...


「ん?何だ?」


 ゴトンッ... 1人の女性の頭が地に落ちる。


「あああ!!サー...ゴフッ」


 駆け寄ろうとした男性の口から大量の血が吹き出す。


「いやああああ!!」

「何だよコレ!」


 もう1人の女性は腰を抜かしその場にへたり込み、男性の方は一目散に逃げ出した。


「たっ助けて!!誰か!!あっ!」


 走り出した男性の前にイザナが立っていた。


「あんた!助けてくれ!」


「何かあったの?」


「わからない!突然仲間が何かに殺られた!」


 イザナに縋り付いた瞬間、ドスッ!!脳天にナイフが突き刺さる。


 バタン... 声も無く即死した。


(ぁぁぁぁぁ気持ちいいぃぃぃぃ)


 イザナは快感に身悶える、長年夢見た命を摘み取る感覚に絶頂を覚える。


 残された女性はガタガタと震えている、イザナの姿は見えていない。


「ふふふ...君はゆっくり殺ってあげる」


 イザナは女性に歩み寄って行く。森の中で叫び声が響く、誰も助けには来ない...



          夜 ギルド


 イザナは宿に帰らずギルドに訪れていた。


(このまま帰ったら血の臭いでライラにバレちゃう...えぇっと...昼間の男は〜?)


 ギルドの中賑わう人混みを探す。


「あっ!いたいた!」


 昼間の髭面の男を見つけて後ろから抱き着く。


「おわっ!?何だ?」


「おじさん会いに来たよ〜」


「おお!昼間の姉ちゃんじゃねえか!」


 仲間と1杯飲んでいた男性は嬉しそうにその場を立つ。


「おい!ザック!いつの間に!」


 イザナはザックと呼ばれた男に耳打ちする。


「ねぇ私と遊ばない?」

「俺で良いのか!?」

「いいよ」


 ザックはイザナの腰に手を回し抱き寄せる。


「ぐははは!お前ら悪ぃな!これから野暮用が出来ちまった!」


「マジか...何処でそんな美女と...」

「ちくしょう!有り得ねえ!!」

「あの子趣味悪っ」


 2人はギルドを出ると。


「私はイザナよ、よろしくおじさん」


「俺はザックだ!しかしホントに良いのか?」


「最初に誘ったのはおじさんだよ?本当は嬉しかったんだからね」


「おお!嬉しいこと言うじゃねえか」


 2人は宿に向かいながらイチャイチャしている。


(丁度良かった〜おじさんの臭いで誤魔化せそう)


 宿に入ると部屋を取り中に入る。


「もう引き返せねえぞ?」


「あの...ひとついい?」


「何でも言ってみろ」


「初めてだから...」


 ザックは興奮が収まらない。


「マジか!任せろ!後悔はさせねえ!」


「うん」


 イザナは男には余り興味はない、あくまで命の消えるその瞬間しか興奮を覚えない。


 相手が強ければ強い程その興奮度は上がっていく。



      宿 ライラとイザナの部屋


 ライラは1人ベッドで寝ている。


(イザナが帰って来ない...って事は...もう!?早い!早いよ〜今の子はみんなそうなの!?)


 ライラは寝るに寝られず朝まで悶々として過ごす事になる。



         翌朝 宿の一室


「ぐがああぁぁ!ぐがああぁぁ!」


 ザックのイビキでイザナは目を覚ます。


「うるさっ!おりゃ」


「ふぐっ!ぶはぁ!!死ぬ死ぬ」


「あはは!おはよ〜おじさん」


 ザックはイザナを抱き寄せる。


「どうだ姉ちゃん俺は凄かったろ?」


「うん!私も初めてがおじさんで良かったよ〜」

(あ〜早く帰らないと)


「くぅ〜嬉しいねぇ!」


 イザナは時計を見て飛び起きる仕草をする。


「ヤバっ!相方に何も言ってないや!おじさん私先に出るね!」


「おう!またな〜」


 ザックはスッキリした顔で手を振っている。


 イザナは部屋を後にすると、ライラの待つ小さな宿に向かった。


(コレで昨日の殺人の臭いは消えたかな?まあバレたらバレたでその時か)


「ただいま〜」


「おっお帰り...」


「何?その顔寝てないの?」


「だって...言ったその日に朝帰りだなんて」


 イザナはライラに近付く。


「ほら起きた起きた!」


「う〜眠い〜」


(おっ!バレてない...殺った後は男漁りに決まり!)


 男の臭いが強く獣人の鼻でも嗅ぎ分けられない。


「あの...イザナ?そのお風呂に...」


「あっごめん!臭うよね」


 イザナは風呂に向かいながら昨日の殺人を思い出す。


(次はどうやって殺そう...ふふふ)


 良識のある殺人鬼そして戦闘狂が野に放たれた...まだ目的がある内は被害は少ないが、全ての敵を仕留めた後はどうなるか本人すら想像していない。


 彼女の手網を握る者はまだ現れない...



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