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やるせない怒り


     エキドナが地上に降りる3ヶ月前


 ルークは長期休暇を取り会いに来ていたファリスとラミーを見送りに来ていた。


「ルーク様また来るっす!」


「ああ、何時でも来てくれ」


 ファリスがルークに抱き着く。


「騎士団長なんて辞めたい...」


「辞めても良いんだそ?」


 ファリスは首を振る...それはただの確認だった。


「やっと立て直せたのに、今辞めるのは無責任」


「そうか...」


「大丈夫よ!この子もいるから」


 ファリスはお腹を擦る、ファリスはルークの子を宿している。


「傍に居てやれなくてごめんな」


「仕方ないわ、地上に降りられないんだから」


 2人は再度抱きしめ合い別れを告げると、ルークはマモンの研究所に向かう。



        天界 研究所


「神様マモン様がお待ちです」


 天使がルークを案内する。


「作業は終わってるのか?」


「はい、今は健康状態のチェック中です」


 プシュー 扉が開き中に入ると。


「あっ!ルーク!見て見て!」


 ライラがポーズをとりながら姿を見せる。


「本当にイザナに着いて行くのか?」


「も〜何度も話したでしょ!」


 ライラはイザナのサポートをする為に身体を強化した。


「マモン、どの位強化したんだ?」


「かなり無理をしたが魔王と戦える程には強くなっておる」


「大丈夫なのか?元は普通の獣人だぞ?」


「本人からの要望じゃからのう...」


 ルークはライラの傍に寄る。


「どこも痛くないか?」


「心配し過ぎよ、それに強くないとあの子に会えないし」


「俺としては反対なんだが...ディアスは何も覚えてないんだぞ?」


「でも魂はあの子よ?絶対に思い出す!」


 半ば諦めていたライラだが、この数年の内に心変わりしディアスを取り戻す決心を固めていた。


(無駄だと言っても聞かないよなぁ...)


「最悪アイツのコアだけでも回収してくれ」


「コア?心臓にある?」


「そうだ魂はそこに宿る、魂さえ有れば生まれ変わらせる事も可能だからな」


 希望を持たせる為に言ったが、七罪の力を持つディアボロスを倒しコアを奪うのは至難を極める。


「コアを奪うのは最後の手段だけど...やってみる」


 ライラの今の状態をカイが告げる。


「何処にも異常はありませんでした、後はその身体に慣れるだけですね」


「ありがとう」


 カイはルークを見つめる。


「ん?」


「はぁ...」


 カイはため息を着く。


「カイどうしたんだ?」


 察しの悪いルークにライラが釘を刺す。


「ルークわからない?」


「何がだ?」


「ファリスやフィオナの事よ」


 2人の共通点は妊娠した事...


 今やエルフの里は大騒ぎになっていた、フィオナの妊娠しかもフィオナの意向でルークの神気を宿している。


 神の子が産まれるエルフが神に選ばれたと、選民主義の強いエルフ達は自信を取り戻していた。


「あ〜なるほど...しかし神覚者との子は御法度だぞ?」


「何で駄目なの?」


「神と神覚者の子は必然的に自認が神になる...生まれ持っての神は他人を救いたがる」


「それがいけないの?」


「お前達は可哀想だから救ってやるって言われたら、ライラはどう思う?」


「ちょっと嫌かも...」


「しかも当人は悪を知らない生まれ持っての聖人、自分を信じて崇める者以外は躊躇いなく消す」


 ライラはハッとする。


「もしかして前例がある?」


 ルークは頷いた。


「カイが神覚者をやめるなら問題無いんだが...」


 カイの方を見ると...


「嫌です!この力失いたくない...」


 作られたとはいえ神に近いその力、バアルが悪魔になっても忘れられなかった力...それを捨てられる筈もなく。


「なら諦めるんだな」


「意地悪!ファリスの時みたいに神気を与えない事も出来るはずよ!」


 ルークはカイの額をつつく。


「カイが神気を与えたら同じ事だぞ?」


「与えないから!信じて!」


「う〜ん」


 アマテラスの誘惑に簡単に乗った手前信じられない。


 カイに悪意が有れば子を宿した直後地上に姿を消す筈だ。神覚者は神では無い故に地上に降りられる。


「今度は裏切らないから...」


(信じても良いのか?)


「お願い...」


 悲壮感漂う雰囲気にマモンが助け舟を出す。


「ワシが経過観測をするから安心せい!」


「ルーク、カイだけ除け者は可哀想だよ」


「わかったわかった!」

「本当!?良いの?!」


 カイの表情が明るくなる。


「条件がある!出産まで門の使用を禁止する!それでいいな?破れば天使が討伐に向かうからな?」


「それでいいわ!」


「アマテラス居るか!」


 空中にアマテラスが現れる。


「はいは〜い何か用?」


「カイの天界の扉使用を禁止する、扉に監視の天使を付けてくれ」


「了解〜」


 一段落ついた所でマモンが話を切り出す。


「ルークよ天使の事じゃが...アレの製造を始めるぞ?」


「えぇ...本当に造るのか?」


「今の天使達は纏まりが無い、管理者は必要じゃよ」


 天使の支配階級。セラフ達の製造。


「これから毎日アイツらの顔見るのか...」


 ミカエル、ウリエル、ラファエル、ガブリエル達を思い出す。


「他に居ないのか?」


「あの四人しか登録されておらんからのぅ」


「特例があった奴は?」


「メタトロンか...奴は特例中の特例じゃ製造記録も消されておる」


 ルークはため息を着く。


「性格は変えてくれよ?あの傲慢さは見るに堪えない」


「そうじゃな任せておけ、カイよ早速で悪いが天獄に向かうぞ」


「はい!」


 カイはご機嫌に仕事に向かった。


「ルーク、私の特訓もよろしくね」


「イザナに着いていける様にならないとな」


「それともう1つ」


 ライラは上着をたくしあげる。


「ん?どうした?」


「封印をよろしく〜」


 ライラは下腹部をツンツン指を差す。


「そんな必要無いだろ?信じてるよ」


「それは嬉しいんだけど〜もしルークに恨みを持った相手に捕まったらって考えるとね...」


「今のライラに勝てるヤツなんて...」


「油断大敵よ!」


「わかったよ」


 ルークはライラのお腹に手を当て強力な封印を施した。


「これでよし...俺が解呪しない限り妊娠することは無いぞ」


「ありがと!」


 ライラは何故か嬉しそうだ。


「何で喜んでるんだ?」


「だって私も...いや何でもない!」


(あ〜なるほど...そういう事か)


「ライラ程々にな?ちゃんと帰って来いよ?」


「あっ気付いちゃった?へへ」


「イザナに着いて行くって事は死ぬ可能性もある、後悔の無い様に」


「は〜い!」


 イザナの戦いが何時終わるのか想像もつかない、ライラもまだ若いストレスの発散は必要だ。


(我慢だ我慢!俺に多くの妻を娶るのを許してくれたんだ、ライラを縛る権利は無い)


「それじゃあ明日からガンガン鍛えるぞ!」


「よろしくお願いします!」



         翌日 早朝


 イザナとライラがウォーミングアップを始めている。


「ライラママ本気で着いてくるんだ?」


「そうよ?ディアスにも会いたいし」


「ディアス兄を取り戻せたらいいね」


「頑張るわよ!」


 気合を入れるライラを見てイザナは自分の計画の成功の第一歩を確信した。


 ライラの心変わりはイザナが少しずつ焚き付けたからだ。


(これでパパの弱みを側に置ける...最後はパパと殺し合うんだから!門を閉じられてさようならって訳にはいかない)


 イザナはルークと殺り合う計画も同時に進めている。


「2人とも準備は良いか?そろそろ始めるぞ」


「は〜い」


 今日からライラも交えた戦闘訓練が始まる。


「連携は程々にお互いの邪魔をしない戦い方を目指す!いいな!」


「ルーク?私達連携しなくていいの?」


「何時も一緒とは限らない、連携前提の戦闘は頭に入れなくていい」


 常に2対1の場面を作れるとは限らない。相手が複数なら尚更だ。


「先ずはイザナの邪魔をせずに俺に攻撃する事、ライラはかなりブランクはあるがやれるな?」


「大丈夫!それなりに体は動かしてたから!」


「よし!殺す気でかかって来い!」


 2人の訓練が始まる...



        それから2ヶ月後


 ルークはエキドナと話をしている。もうすぐイザナの訓練も終わり地上に降り立つ日が近い。


「本当に良いのか?また奴と対峙するんだぞ?」


「覚悟は出来ています...それに私の手で殺さないと、忌わしい記憶を忘れる為に」


「俺の力を...」


「駄目です!私に変化があれば誘いに乗って来ません!」


「心配なんだ、せめて封印を」


 エキドナは手を翳し静止する。


「それも駄目」


「また酷い目に合わされたら俺は...」


 ルークは怒りに震える。


「大丈夫よ今回はメイへも居ます、あの子は強い」


「バフォメットはケルベロスに寄生し、その体を手に入れている...奴を殺すって事はケルベロス毎になる」


「それも覚悟の上です、あの子をこの手で解放してあげないと」


「無理だけはするなよ?最悪メイへに任せるんだ」


 ルークの心配は尽きない。


(バフォメットと対峙した時、必ず記憶がフラッシュバックする...それに耐えられるか)


「安心して、顔がケルベロスなら怖くありません」


(そうだといいが...)


 迂闊にエキドナに魔法をかけると残滓を嗅ぎつけられる。今は成功を信じるしか無い...



        数日後 神の座


 ルークは数年ぶりに神の座に座り世界を見渡し今の現状を把握する。


(聖地に強力なヒューマノイドがいるな...隠しても無駄だ)


 同時に聖地のデミウルゴスにも目がいく。


(また変化してるな...しかもコレは...何だ?)


 デミウルゴスらしき女性を詳しく調べる。


(神気を纏い魂を持つ...心臓はシルファのコア、身体はこの感じフローラに近い?興味深いな)


「アマテラス!」


「は〜い」


「聖地にいる神覚者モドキを見たか?」


「うん、変なのがいるね」


「コイツは使えないか?創造主のオーダーを二つクリアしてるぞ」


 アマテラスは少し考えると。


「不死と個としての確立はしてるね...でも女性だから番が必要」


「それさえクリアすれば究極の生命体と言えないか?」


「どうだろ??取り敢えず捕まえてからかな?」


 ルークは謎の多いデミウルゴスに狙いを定める。


「次いでだイザナに捕獲させるか」


「そんな隙できるかな〜?」


「その位やってもらうさ」



      エキドナが地上に降り立つ日


 エキドナをはじめイザナやライラも準備を終え最後の別れを惜しんでいた。


「イザナ頼んだぞ」


「任せて!全部殺してくるよ!」


 笑顔で怖い事を言う。


「敵の戦力は伝えた通りだ、俺はもう手出し出来ない此処から見てるよ」


 あくまで地上に降りるイザナの意思、ルークの意向は聞くまでもなく強い相手と殺し合う。その為に地上に降りる。


「えっと女神らしき人物がいたら攫うんだよね

?ふわっとしてるけど良いのコレ?」


「それで良い、目標を教えると神の過干渉になるからな...お前に任せる」


「私はディアスに会いに行くだけ!」


 アマテラスが苦言を呈する。


「大目に見るの今回だけだからね!」


「ありがとう!」


 ルークは3人とハグをする。


「成功を祈ってる」


「行ってきます!」


 3人は門をくぐり光の中に消えて行った。


「上手く行くかな〜?」


 アマテラスは隣のルークを見ると...


「...」


 ルークの怒りに満ちた表情に申し訳なくなる。


「ごめんね」


「謝るな、神になった事は後悔していない」


「うん...」


 もう助ける事も出来ない...何が起きても見ているだけ。その行為しか出来ない自分に腹が立つ。


(全てが失敗に終われば俺は多分世界を壊す...)


 サタンの時を思い出す程に怒りに囚われかけていた。



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