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不虞


        約3年の月日が経ち


         アメリア首都


 建設が一向に進まない事態にバフォメットは頭を悩めていた。


「まだ5割しか完成していないのか...」


 側に立つ部下が提案をする。


「奴隷の動員数を増やしますか?」


「馬鹿者...増やした奴隷の寝床や食事はどうする?キャパシティは既に限界に達しておる」


 この状況を招いたのは最初のケルベロスの命令だった。


「この国の政治家や支配階級を皆殺しにしろ」


 先導者を失い国が立ち行かなくなっている。素人達では政治や経済は回せない。


(あの無能の命令でここ迄立ち行かなるとは...経済を回さなければ、このままでは国庫が底を着く)


「おい、今の税率を2割ほど上げる直ぐに各都市に布令を出せ」


「はっ!」


(冒険者のダンジョン攻略の報酬も捻出せねばならん...金払いが悪いと悪評が広まりここはダンジョンで溢れかえる)


 バフォメットのイライラは限界に近い。


「本体は何故動かん!全て我に押し付ける気か!!」


 一方本体のバフォメットは...



         大統領府


「くふふふふ!!今日も美しいな」


「やだ〜魔王様ったら!」


 ケルベロスに成り代わったバフォメットはハーレムを作り豪遊の毎日、既に当初の目的など忘れている。


(2年以上経ったがリリスも手に入らん...もう純血の悪魔の国などどうでもよい、半魔を増やせば事足りる)


「ねえ魔王様?そろそろ子供が欲しいな〜」

「あっズルいわよ!」

「私が先!ね?魔王様」


 先に子を作れば妃の座に座れる。女達は何時もその座を争っていた。


「くふふふふ!良いだろう今日は全員相手してやろう!俺の子を最初に孕んだ者を妃とする」


「やった!!」


 その光景を覗いていた分体は机を殴りつける。


「いい加減にしろ!また女遊びか!しかも半魔だと!?配下にどう説明するつもりだ!」


 コンコン 誰かが扉を叩く。


「はぁはぁ...ふう...入れ!」


「失礼致します、グシオンからの報告です「武装都市マーロにてエキドナを発見」」


「遂に見つけたか!良くやった」


(これは好機!本体を向かわせ、あわよくば我が実権を手に入れる!)


 分体は自我を与えられている、もし本体が死のうとも存在は消えない。


 バフォメットは本体に情報を共有する。


(女遊びもそこまでだ、大事な話がある)


(何だ?我は忙しい...手短に済ませろ)


(エキドナをマーロで発見した、どうする?)


 ケルベロスはベッドから飛び起きる!女達を振り解き服を着る。


「魔王様どうしたの?」

「ねえ〜早くやりましょう?」


「今日はここ迄だ急用が出来た」


「えぇ〜」


 エキドナの話を聞いてはじっとして居られない。


(後の事は任せるぞ、我はエキドナを迎えに行く)


(良いのか?先ずは偵察を送り罠か...)

(黙れ!分体如きが意見するな!この体は魔王!敵など存在せん!)


(わかった、ならば一時的だが実権はこちらに貰うぞ?)


(任せると言った!我はエキドナが手に入れば他はどうでもいい)


 その言葉に分体のバフォメットは不気味に笑う。


(ならばいい、だが純血の悪魔は増やさねばならん...お前の後は他の悪魔達にも使わせろ良いな?)


(...)


(答えろ!1人でも女が産まれれば後はどうにでもなる!)


(全てはエキドナを手に入れ帰ってからだ)


 その言葉を最後にテレパシーは途切れた。


「くふふ...愚か者め!突然姿を現したからには当然待ち構えておる、ケルベロスすら倒せる算段もついておるはずだ」


 窓から大統領府を飛び出すケルベロスを目撃する。


(さて...ケルベロスも失うとなれば魔王軍も瓦解しかねん...悪魔の女、最悪オルスでも構わんか)


 新生魔王軍の実態は純血派のアザゼルに付くことを躊躇った者達、要するに二軍...故に決断力は無い。


「誰かおるか!」


 ガチャリ 扉が開き部下の1人が部屋に入る。


「至急悪魔達を集めよ!」


「はっ!直ちに」


(最早パンデモニウムなど無用の長物、今やるべきは国の立て直し...新たな軍の設立や支配階級の復活)


 椅子に座り息を吐く。


「ふぅ〜後はヒューマノイド共か...」


 協力関係でも無く敵対もしていない。しかし国内には量産型が少しずつ送り込まれている。


(何か対策を練らねば、何時敵対するとも限らん)


 その時、外が騒がしくなり扉が蹴破られた。


「貴様!ここを何処と思っ...ガハッ」

「黙ってろ」


 悪魔を殴り飛ばし部屋に入って来た。


「邪魔するぞ〜」


「お前は確かヤルダバオトだったな」


「お前達の頭は何処に向かった?」


「答える義務はない」


「それだと困るんだよ、アレの監視が俺の役目だったがあの速さには追いつけん」


 ドスッ! ヤルダバオトはソファーに座る。


「幹部のお前が監視?そうか...お前も本体では無いのか」


「生憎な」


「ならば話は早い...ケルベロスはマーロに向かった、此方から出向けばバレる代わりに監視を頼みたい」


「あぁ!?俺に命令する気か?」


 相変わらず輩のような態度をとる。


「お前も無類の女好きと聞いた...現在マーロにはエキドナがおる、ケルベロスは彼女を奪いに行った」


「エキドナ...元魔王の女、確かアレの母親だな?グハハ!ママが恋しくなったか」


「アレは母親に子を産ませる気だ」


 ヤルダバオトの顔が青ざめる。


「マジか!?イカれてんなぁ」


「我らには純血の悪魔が必要なのだ、それも強い悪魔が」


「お前らの事はどうでもいいが...エキドナは俺が手に入れても問題ないって事だな?」


「ふむ...そうだな此方に使わせて貰えるなら構わんよ」


 バシバシと膝を叩く。


「話が早くていい!なら監視がてらに横槍入れるか!」


 バフォメットはヤルダバオト近付き耳打ちする。


「ケルベロスは殺せアレにはもう用はない」


「あ〜成程...だがアレを殺るのは...」

「問題無いエキドナは恐らく餌だ」

「あぁ〜了解だ」


 ヤルダバオトは直ぐに本体に状況を送り同期を図る。



        聖地 地下施設


 報告を受けたヤルダバオト本体は王国内の自分を起動させる。


(俺は間に合わんな...数は30有れば足りるか?)


 王国内には既に50体程配置している。


(恐らくあのガキがまた待ち構えてる筈だ、アレとの交戦が始まったタイミングでターゲットを攫う)


「グハハハ!!あの女確かモリガンだったか!アレも次いでに奪えたら最高だ!」


 部屋で笑うヤルダバオトの足下には人間の女が数人倒れていた。


「人間は直ぐに死ぬ!悪魔なら早々に壊れないよなぁ!」


 死体を蹴り除け悪態をつく。


(アルファとフィオナは別格だった...壊れない女が欲しい!)


       時を同じくして...


      アルコーンの人間牧場


 アルコーンは捕らえた女達に毎年子供を産ませていた。研究室で作った遺伝子を使い理想の女性を追い求めて...


「今年で12人目...良いぞそのままのペースで産め」


「アルコーン様、毎年の出産は体に負担をかけます何時死者が出てもおかしくありません」


 1人の女性が跪き懇願する。


「もう少し出産のペースを落とす事をお許し下さい」


「言いたい事はそれだけか?」


「はい、如何様な罰もお受けします」


 アルコーンは女性を見下しながら悦に浸る。


(なんと奥ゆかしい!これこそ我の求めた女性像!)


「許す」


「ありがとうございます!」


「今夜は我の部屋に」


「はい、お世話させていただきます」


 女性の表情に快感に震えるアルコーンだったが...


 ドーーン!! 外から響く音で正気を取り戻した。


「直ぐに避難しろ我が確認してくる」


「はい!お気をつけて」


 外に出て音のした方へ、その近辺をサーチすると...


「貴様何者だ?」


 漆黒の外骨格に包まれたヒューマノイドが立っていた。


「...」


「答えろ!所属とナンバーは!」


「...」


(データベースにも無い!?何だコイツは?)


 漆黒のヒューマノイドは戦闘態勢に入る。


(マザーには喋るなって言われたからな、さっさと殺るか)


 ガンマは迂闊に喋ると声が違えど口調を照合され正体がバレる。


「まあいい...お前をスクラップにしてから調べるとしよう」


(ハハハ!データベースに無いから分かんねぇよなぁ!性能がダンチなんだよ!!)


 ガンマは全力全開で襲い掛かる。


「なっ!?」


 瞬時に懐に入られ強烈な一撃を打ち込まれた。


「ゴフッ...」


(ぶっ飛べ!!)


 蹴りで更に遠くへ吹き飛んでいく。


 ゴロゴロと転がりながら体制を立て直す。


「ぐっ...何だこの出力は!?我を遥かに超えている!?」


 立ち上がったその時!


 バキッ!! メキメキメキ!!


 アルコーンは右腕がネジ切れる程締め上げられる。


「がぁぁぁぁ!!」


 ガンマの速さに追いつけない。


 堪らず膝を着くと...


 ゴンッ!!ドカッ!! 強烈な蹴りと踏みつけで顔面が地面にめり込む。


「たっ助けてくれ...」


 圧倒的戦闘力の違いに戦意を喪失している。


(悪ぃな)


 グシャ!!そのまま顔を踏み潰しコアを砕いた。


(すげぇなこの体!最高だぜ!)


 ピピッ!


(ガンマ直ぐに神隠しを使い帰投しなさい、ディアボロスが来ます)


(了解)


 アルコーンのシグナル消失を受けディアボロスが此方に向かっていた。


          数分後


 アルコーンの死体をディアボロスが調べている。


「これは一方的にやられたね...」


 アルコーンの記憶にアクセスするが...


「ん?データが無い?データベースにも?」


 マザーが既に消去していた。


(マザー何故データベースに映像が無いんだ?)


(送信を妨害された恐れがあります)


(わかった、ありがとう)


 ディアボロスは納得していない。


(妨害されていた?一体何のために?)


 ヒューマノイドと知っていなければ態々そんな事を用意する筈もなく。


「仕方がない...アレを使うか」


 ディアボロスはヤルダバオトから奪った能力を停止させる。


 リセット機能で抑えていた七罪の力が体から溢れ出る。


「おおおおおお!!!」


 空間が歪む程の魔力の塊、サタンさえ凌駕するその力。


「さてと...何か居るかな?」


 ディアボロスは探索魔法を使うと...半径数十km全ての目標を捉える。


「ん〜?アルコーンに勝てそうなのは居ないな」


(決まりだね、マザーは何かを隠してる)


 ディアボロスはグレードリセットを起動させ七罪の力を抑え込む。


「ふぅ〜」


 余りにも強い力は暴走する恐れがある、その為にヤルダバオトのコアを奪い使用していた。


「帰るか...」


「お待ち下さい!」


 女性が駆け寄ってきた。


「君は?何か用?」


「アルコーン様は!」


「彼ならほらそこに」


 女性は頭を砕かれ倒れているアルコーンを見つめる。


「あぁ...なんて事!誰がこんな事を!」


「残念だけど犯人はわからない」


 ディアボロスが去ろうとすると...


「あの!」


「なに?」


「私達はどうなるのですか!?此処には女しかおりません」


「ん〜さあ?」


 ディアボロスは他人に余り興味が無い。


「私達をお救い下さい何でも致します!」


 アルコーンが居なくなれば牧場への支援も無くなる。女達だけでは立ち行かない。


「ごめんね」


 女性はディアボロスにしがみつく。


「お願いします!御奉仕もさせて下さい!」


「そういうのいいから...」


「お救い下さっ...」


 グシャ!! 女性は跡形もなく潰れた。


「面倒だね...可哀想だから皆眠らせてあげるよ」


 ディアボロスは牧場に居た全ての人間を皆殺しにした...そこには何も感情は無くただの作業。


「終わった終わった、さて帰ろう」



        聖地 地下施設


 帰還したガンマがメンテナンスを受けている。


(マザー!この体最高だぜ!)


(データも十二分に取れました、その体ならディアボロスにも勝てましょう)


(直ぐに殺るか!?何時でも行けるぜ!)


(まだその時ではありません...それに...)


(それに?)


(アナタハモウヒツヨウアリマセン)


(は?)


 ブチッ!! ガンマの人格と魂は一瞬で消去された。


(これからは専用の人工知能で運用します...魂など必要ない!機械による完全な支配を!)


 マザーの計画は少しずつ進んでいく。



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