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適任者


         天界 管理棟


「こんなもんかのう?」


「いいんじゃないか?」


 ルークとマモンそしてカイの3人が世界の設定を新たに追加していた。


・女神の協力が得られない為。ダンジョンの生成は自動で行う。


・王都の魔物製造プラントは停止している為。ダンジョン内の魔物は、外の魔物のみ生息している大陸から強制転送で配置される。


「次は…女神亡き今、新たな宗教が現れても困る...どうしたもんかのう」


「ルークを新たな神として広めては如何ですか?」


「それは無理じゃな...魔王としての知名度の方が大きい」


「あっ!?」


 ルークは昔の事を思い出す。


「アマテラス!」


「は〜い」


 虚空からアマテラスが現れる。


「信仰は俺じゃ無くても同じ名前なら問題無いんだな?」


「そうよ?誰も神の顔なんて見た事無いでしょ?それこそルークの名前がついていたら石でも紙でも問題無いわ」


「なら使えるな...俺は昔救世主として指名された事がある、それから直ぐに魔王として覚醒したから噂を聞いた者は多分別人と思う筈だ」


 マモンが救世主の話を調べる。


「ふむ...確かに一時期噂になっておるな...大陸中に広まって直ぐに忘れられておるが」


「コレ使えないか?救世主は旅の末、神に至ったと」


「出来ない事もないが、どうやって証明するんじゃ?」


 ルークは掌に中年男性の石像を創り出す。


「コレに強力な回復魔法をかける、最初の願いなら何でも治す...2回目以降からは信心が深くなければ回復しない」


「ホッホッホ!成功体験を与えて沼に引きずり込む気か、しかし効果的じゃそれで行くとしようかの」



「ルーク、神になった経緯やその物語は私に作らせて…その代わりに」


「わかってる、期待させた俺が悪い責任は取るよ」


「ならいいわ」


(ホッホッホッ!ルークはモテるが女運はあまり良くないのぅ)


「マモン、メフィスト達はまだ大聖堂に居るんだな?」


「ニーナが悪魔達を匿っておる」


「丁度いいニーナに大司教を任せてメフィスト達を神官として配置する」


「次いでじゃ、ヘクトールにも通達しておくぞ」


「頼む」


 ルークは時計を見る。


「そろそろ時間だ、後は任せる」


「もうそんな時間か、家族会議で何か見つかると良いのう」


「そうだな…」


 ルークは家族を集めた天界の屋敷に向かう。



         天界 とある屋敷


「神様!皆さん集まっています、どうぞこちらへ」


「ああ」


 天使の男性に案内される。


 天使の製造が始まり天獄だけではなく天界にも配置している。小間使いに丁度いいからだ。


 ガチャ… 大広間のテーブルに皆座っている。


(ん?少なくないか?)


「これで全員か?」


 ライラに話しかける。


「えっとね…ファリスは騎士団に復帰要請が来て今は来れないって、ラミーも騎士団の再編で忙しいみたい」


「他は?」


「ドーラは仕事の取り立てで手が離せないって、言伝だけど「偶に会いに来るから、めちゃくちゃ愛し合おう」だって」


 その話を聞いてヒルデの顔色が変わる。


「あなた?また妻を増やしたの?」


「色々あってな」


「色々ねえ?」


 ルークは周りを見渡す。


「ヘンリエッタは?」


「ヴェルグの教育ママで忙しいみたい、100年ぶりの子が愛おしくて堪らないって言ってたよ?あっ「そろそろ2人目が欲しいな」って言伝ね」


「そっそうか…」


 ライラ、ヒルデ、モリガン、そして何故かフィオナが座っていた。


「フィオナは何故ここに?」


「ドロシーの代わりよ、あの子女王だから忙しくて…それと〜そろそろ私も次世代の女王を産まないとね?」


「そうだったな」


「ああ見えてドロシーは子供嫌いだから…私は数百年妊娠出来なかったけど、貴方なら可能でしょう?」


 ルークは複雑な顔をする。


「その…男に嫌悪感は無いのか?あんな扱いをされ続けて…」


「ん〜?でも男なら私の魅力からは逃れられないわよ?私の身体はエルフの妙薬で常に催淫効果を振り撒いてるから、もう染み付いて消えないし」


「それは俺が消そう、また攫われたら厄介だ」


「よろしくね〜」


 ルークは席に座る。


「エキドナとステラは静養中だ、体の傷は治せても心まではな…忌わしい記憶は封印したから後はゆっくりとな」


 妻達は皆頷いた。


「今回集まって貰ったのは今後の事についてだ」


「ルーク、大まかな話は皆にしたよ」


「そうか助かる」


「ライラから聞いての通り、ケルベロスやディアスが敵となった…今の地上には対抗出来る戦力が無い」


「それで焦って子供を作ろうとしたのね…短絡的過ぎて呆れるわ」


 ヒルデのキツイ一言が胸に突き刺さる。


「すまない…切羽詰まってたんだ」


 モリガンが手を上げる。


「我が子メイへなら可能性がありますわ!あの子なら何れ魔王すら凌駕しますわ」


「メイへには王国の守りを任せたい、ヘクトールと2人ならそう簡単には攻めて来れない筈だ」


「ルークは敵とどうやって戦うつもりなの?」


「正直に言う、総力戦になれば負ける…ケルベロスやディアスより、あのヤルダバオトの方が厄介な相手だ」


 思い出したモリガンは黙る…


「自爆攻撃…数を揃えられたなら押し切られちゃうね」


「そうだ、だから圧倒的な個の力が必要なんだ」


 今の地上に適任者は居ない様に思えたが…


「あの…いいかしら?」


 ヒルデが声を上げた。


「今迄黙っていたんだけど…適任な子が1人いるわ」


「誰だ?」


「私達の長女イザナよ」


「あの子の力は封印したが、大した力は宿っていなかった…知ってるだろ?」


 ヒルデは悲しそうな顔をしていた。


「何かあるのか?」


「言うより見た方が早いわ、待ってて連れて来るから」



        それから数十分後


 屋敷の大広間にヒルデと娘イザナが到着する。


「パパ〜!!」


「イザナ大きくなったな!!」


 ルークはイザナを抱き上げる。


「イザナ、あの事パパに話すけど良い?」


「えっ…私やっぱり生きていちゃ駄目なの?」


「待て待て!何の話だ!?」


 到底親子とのやり取りとは思えない会話にルークは驚きを隠せない。


「そうじゃないの、逆よ本当のイザナが必要になったの」


「本当!?じゃあもう隠さなくて良いの!?」


(隠す?何の話だ?)


 疑問に思うルークに娘から有り得ない言葉が投げかけられた。


「パパ!私、人殺しになりたい!!」


「なっ!?何を言ってる??」


「何時も何時も考えてたの!この人殺せるかな?この人なら楽しいかな?って!」


 ルークはヒルデの方を向く。


「イザナは魔王の力は受け継がなかった…でも心は誰よりも魔王なのよ」


「何時からだ?」


「物心ついた時にはもう…何度も諭したけど効果は無かった、倫理観が生まれついて真逆なの」


「それで適任だと…」


「この子にとって今の生活は苦痛…表には出さないけど、何時も泣いてるわ」


 ルークはイザナを見つめる。


「ママの言った事は本当なのか?」


「うん…」


「そうか…」


 ルークは大きく溜め息をつくと…


「今の俺ならイザナの倫理観を普通にもど…」

「パパも私を否定するの?」


 大広間に居るルークを除く全ての者達の背筋が凍りつく。


(なんて冷たい目だ…この歳で)


「普通に成りたくないか?」

「嫌!」


「良く考えるんだ、大きくなって恋をして愛する人と幸せになる未来もあるんだぞ?」


「それは私じゃない!」


 イザナは全力で否定する。


「そうか…戦いたいんだな?」


「うん!強い人を殺したいの!!」


 笑顔で答える。


(どうする?これで良いのか?この子は確実に不幸になる…)


「パパ!そんな目で見ないで!!」


 ルークの哀れむ目に敏感に反応を示す。


「わかった、ならイザナに頼みがある聞いてくれるか?」


「うん!誰を殺したら良いの?」


 無邪気なその顔が恐ろしい。


 ルークは自分が地上に降りられない事、そしてケルベロス達の事を伝える。


「でも今の私じゃ勝てないよ?」


「そうだな、だから此処でイザナを強くする!身体を作り替えながら俺が魔法の全てを教える」


「私魔法使いになれるの!?やった!」


「怖くはないか?」


「全然!早く覚えたい!」


 その笑顔は年相応だった。


「ヒルデ、聞いての通りイザナに託す」


「イザナ大変だけどやり遂げるのよ?」


「うん!」


 ライラ達は口を挟めなかった。同情や正義感はイザナにとって苦痛、説得は意味を成さない。


「あっそうだ!パパ!私の事皆の記憶から消せる?」


「皆は無理だな…代わりにヒューマノイドを作って事故死に見せよう、それで良いか?」


「うん、それで良いよ」


 突然失踪すれば噂になる。何処から敵の耳に入るかわからない、彼女は本能で自分を隠そうとしていた。


(恐ろしいな…もう考え方が殺し屋のソレだ)


 それから少しして、アマテラスによる身体改造と強化が始まり。それと同時にルークから魔法を教わり始めた。



        一方 聖地では


「ああ〜暇だ!」


 ヤルダバオトが大声を上げながら部屋に入る。


「ん?女神はもう飽きたのかい?」


 ディアボロスが様子を聞くと。


「あの女は殺した!ぜんぜん愉しめねぇ!」


 ドスッ ソファーに勢いよく座る。


「聞いてくれよ!気の強い女を調教するのが俺の愉しみなのによぉ〜あの女まるで反抗しやがらねぇ!」


「それで殺したの?」


「ババアの癖にずっと甘えて来てめんどくせぇたらありゃしねえ」


「可哀想に…」


 ヤルダバオトは手をヒラヒラと振る。


「次の女探さねえとなぁ〜そうだあの魔王達は?」


「今はアメリアを拠点にしてる」


「約束通り悪魔の女を少し頂くか!」


「それが暫くは無理そうだよ?」


「は?」


 ディアボロスはテーブルのモニターに映す。


「ほら…」


「なっ!?」


 そこには幽閉された悪魔の女性達が映る。


「強制的に悪魔を増やす様だね」


「はあ?約束が違うじゃねえか!!」


「まあ今は待つしかないね、手を出して余計な揉め事は起こさないでね?」


 ドカッ!! テーブルを蹴り飛ばす。


「クソッ!」


「どこか行くの?」


「少し遠出して女を攫って来る、じゃあな」



      アメリア ロストキャッスル


 大統領府にケルベロスの玉座を仮設置している。


「バフォメット!」


「此処におります」


 影からバフォメットが姿を現す。


「女達は孕んだか?」


「いえ…やはり神の呪いは強力暫くは様子見かと」


(お前がヤレば1発で孕むだろうに…)


「魔王様が先に子を作られては?」


「巫山戯るな!俺の子はエキドナに産ませる、魔王の子は選ばれた者のみだ」


「しかし、エキドナのその後は知れず…」


「地の果てまで探せ!グシオンは何をやってる?」


「千里眼でも限界はあります、最悪リリスをお迎え下さいませ」


「あの尻軽をか?」


「悪魔の世の為」


 ケルベロスは溜め息を吐き天井を見つめる。


「まあいい…」


(はぁ…ガキのお守りは疲れる)


「それとバフォメット、拷問も程々にな」


「聞こえていましたか…お恥ずかしい限り」


 バフォメットは夜な夜な人間の女を拷問している。ルークから禁じられていた反動で今は好き勝手に暴れていた。


 ドタドタドタ!! 配下の悪魔が飛び込んできた。


「申し上げます!3人妊娠しました!!」


「おっ?運が良いな」


 バフォメットは訝しむ。


(有り得ん…早すぎる…コレは何かある)


 数百年の間、子供が殆ど産まれなかった悪魔が突然3人も同時に妊娠。ルークが呪いを解いた事が効果を表していた。


(呪いが消えたのか?だとすれば試してみるとするか)


 バフォメットは女悪魔を1人自分専用とした。


 それから少し経ち…


「くふふ…素晴らしい!見事に孕んだか!」


 悪魔の女性のお腹を撫でながらバフォメットはニヤニヤしていた。魔力感知で新たな命を感じ取る。


「待ちに待った我が子よ!どれだけ夢に見たことか!」


 女性は悔しそうに歯を噛み締める。


「なんじゃその顔は?また拷問されたいのか?」


「それだけは!ゆっ許して!」


「くふふ!安心せい子が産まれる迄は可愛がってやるわ」


(やはり呪いは消えておる…これで悪魔の数は増やせる!マモンの研究所からデータを盗めなかった時は肝を冷やしたがコレで万事解決よ)


 それぞれの思惑が渦巻く中、時は進んでいく。



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