死の克服
天界 研究棟
ルークと会う少し前、カイが神覚者として目覚める。
「ん...」
「おはよう、身体の調子はどう?」
「問題無いわ…それよりアノ話は本当なのね?」
「本当よ貴方には神の子を産んでもらうわ、本来は御法度なんだけど...もう待てない」
「ふふふ...やっと私の番が回って来た」
神が居れば自由に動ける、創造主のオーダーを完遂しようとアマテラスは独自の行動を始める。
神の座に向かう通路
ライラはルークに会いに神の座に向かう途中、カイとすれ違う。
「ん?カイ?」
「あら?ルークに会いに?」
「うん、その新しい姿前のに近付けたのね」
「別人になるのもね...皆混乱するでしょ?」
「そうだね、でも綺麗になったね!」
「ふふふ...ありがとう、じゃあ行くわね」
2人がすれ違うその時に、カイは勝ち誇った様な表情を見せ見せた。
(あ〜なるほど...)
神の座
「ルーク?」
「ライラか、どうした?」
「カイに誘惑されたでしょ?」
ギクリ...とルークの顔色が変わる。
「いや...あのな...」
「駄目だよ?子供には責任を押し付けないって約束したよね?」
「それはそうなんだが、他に打つ手が無いんだ分かってくれ...」
ライラはルークの顔を両手で挟む。
「ルークも魔王になる為に造られたの忘れちゃった?次の子供に同じ様な運命を背負わせるの?」
ルークは思い悩んでいた。
(地上には魔王と戦える戦力は少ない...可能性があるのはバアルかメイへ、だが2人では...)
「1度皆で話し合お?ね?何か見えてない事が見つかるかもだし」
「見つかるかな?」
「見つけるの!」
ライラはルークを安心させる為に抱き締める。
「私も次の子は欲しいのよ?でもそれは平和になってから...ね?」
「ありがとう...傍に居てくれて」
ここに来て心が休まる時は無かった...ようやくルークは落ち着きを取り戻して行く。
ある部屋
「チッ...余計な事をして邪魔しないでよ!」
アマテラスは怒りを顕に画面を蹴る。
「早くしなきゃ...早く究極の生命を作らなきゃ...」
前の神を殺し半暴走に近い。システム的に欠陥を抱えた状態で何かが揺らいでいた。
地上 聖地
大聖堂内の一室でケルベロスとディアボロスが談笑している。
「お〜お〜仲の良い事で」
遅れて悪態をつきながらヤルダバオトが入室。
「ん?女神は何処だ?さっさとヤリてぇんだが?」
「今は奥の部屋でデミウルゴス様と話をしてるよ」
「中の見えない部屋か...コソコソとくだらねえ」
ヤルダバオトは席に着くと、ケルベロスに話しを持ちかける。
「なぁ魔王さんよ〜女神を先に譲ってくれよ」
「ん?お前じゃ女神を穢せないだろ?オレがやりたいのは信仰の排除、世界中の人間を絶望させたい」
ヤルダバオトは頭をガシガシと描く。
「あぁ〜出来ねえな…」
「僕なら七罪の力で出来るんだけどね」
「はぁ〜お前らが恨めしい…大人しく待つとするか」
3人が話していると...奥の扉が開く。
「お待たせしました後は貴方達の好きになさい、私はこれで失礼するわね」
デミウルゴスの余りの変わり様に言葉を失う。
「デミウルゴス様?その力は?」
「女神から奪いました」
デミウルゴスは神気を纏っている。
「おいおいおいおい!やるじゃねえか!」
「ハハハ!やられた!穢す前に取られたか」
ドンドンドン!!! 奥の扉を殴る音が響く。
「起きたようですね...」
デミウルゴスは神隠しを使い姿を消す。
それと同時に...ドカッ!! 扉がこじ開けられた。
「はぁはぁ...あのガラクタは何処!!」
3人は知らないフリをする。
「くそっ!妾の力を奪ってタダで済むと思う...」
目の前にヤルダバオトが立ち塞がる。
「退け!妾の邪魔をっ」
ドスッ... 女神の下腹部に一撃が入る。
「うっ...何を...」
「さあ行くぞ!お愉しみの時間だ!」
女神を担ぎ上げる。
「貰って行くぞ?」
「もうそいつに用はない好きにしろ」
「グハハハ!!やったぜ!」
「離せ...妾に何をするつもりだ!」
「あぁ?決まってるだろ?」
「お前達妾を助けよ!何を黙って見ておる!」
配下でも無い2人が言う事を聞くはずもなく...
「嫌じゃ!嫌じゃ!!」
暴れる女神を押さえ付けながらヤルダバオトは部屋を後にする。
「いいの?取られちゃったけど?」
「もうアレは信仰の対象にはならない、空っぽの女神に用は無い」
「デミウルゴス様に手を出すなら僕が相手になるから...そのつもりで」
「安心しろ手は出さない、神気を纏っていてもアレは違う」
デミウルゴスの部屋
(上手くいった!やった!やったわ!)
デミウルゴスは自室で歓喜に湧いている。
「あはははは!!遂に魂を手に入れたわ!コレで死ぬのも怖くない!」
デミウルゴスは自死に恐怖していた...アルファのコアを持っていても魂は無い。無敵だと思われていたがリバイブの対象にもなっていなかった。
完壁なる復讐が発動すると何度もシミュレートした結果消える事が判明していたからだ。
「これでもし死んだとしても、魂の再構築後にバックアップの人格を上書きすれば私は消えない!」
(ねぇ?魂あげたんだから約束通り偶にはその体貸しなさいよ?)
頭の中で声が響く。
「貴方には感謝しています、その時は勿論貸しましょう」
(なら問題無いわ…じゃあ眠ってるわね)
「これで死は克服した...あぁ久遠の命...私はもう時間に縛られない!」
信仰を必要としない新たな女神が誕生した...
ヤルダバオトの部屋
「到着したぞ...ほらよっ!!」
フローラをベッドに投げる。
「助けておくれ!妾の力を取り返してくれたら何でもする!」
「しらねえよそんな事自分でやれ」
フローラはしがみつく。
「あの女が!あの女が妾の別人格、ここに居た時の人格に変われと申した...そのせいで妾の全てが!」
「それで?裏切られて力を奪われたと?」
フローラはブンブンと頷く。
「馬鹿なのか?」
「騙されたのじゃ!」
「自分に捨てられたんだろ?なら諦めろ」
「妾にはやる事がある!やらねばならぬこ...」
「もう黙れ...」
力でその場にねじ伏せられる。
(何故じゃ!なぜこんな事に...)
「そうそう、それでいい...じゃあ始めるぞ!グハハハ!!」
女神とデミウルゴス
時は少し遡り...
「この部屋は外から覗けません」
「で?妾に何の話じゃ?」
「貴方では無く...以前ここに居た時の...別の貴方はまだ居ますか?」
「おるな...まだ消してはいない、ルークを油断させる為に生かしておる」
「今、私と話せますか?」
女神は少し考える...
(まあ会わせるだけなら問題無い)
その判断が致命的だった。
目を瞑り眠らせている人格を呼び出す。
「ん...」
ゆっくりと目を開ける。
「お久しぶりです、元マザーと言えば理解出来ますか?」
「大丈夫、解るわ...そう貴方が」
女神は手を差し出す。
「先ずは握手から」
2人が握手すると...女神は神隠しを発動させた。
「これでアイツも見られない」
フローラから監視を掻い潜る為に神隠しを使った、認識出来ない以上変わることも不可能になる。
「それで話は何?」
「単刀直入に言います…私は魂が欲しい、貴方は器が欲しくはありませんか?」
「ふふ...話が簡単で助かるわ」
「答えは?」
「良いわ...このままだとあの乱暴者の女になりそうだし、渡りに船ね」
此処で断っても外には魔王とヤルダバオトが待っている。既に詰んでいる...挽回しようとしているのはフローラのみ。
「次いでだし神気も力もあげる、その代わり偶に身体を貸してね」
「それだけで良いのですか?」
「いいわよ?そもそも私はルークを騙す為に造られた人格と魂だから、何時消される事かとヒヤヒヤしてた所よ」
2人の利が一致する、何も見えず何も聞こえないフローラは変われと叫ぶが届かない。
「ありがとう...」
「礼はいらないわ、これから宜しくね」
結果的にデミウルゴスは魂と神気そして力を手に入れ、フローラは全てを失った。
大聖堂 外庭
ケルベロスは伸びをすると勢い良く外に飛び立つ。
「さてと...次は悪魔の国の建国だ!場所はアメリアでいいか、バフォメット達も近いハハッ!皆殺しだ!!」
アメリア首都 近郊
バフォメット達はアメリアの首都ロストキャッスルの近くまで侵入していた。
「ん?アレは...魔王様!?バフォメット様!魔王様です!」
「見れば分かる...」
(さて...エキドナを奪われた事を告げるとするか...どうなるか運を天に任せるとしよう)
ケルベロスが目の前に降り立つ。
「遅いぞ!何をノロノロとしていた?」
「申し訳ございません...不測の事態に巻き込まれておりました」
「ん?何かあったのか?」
「はい...バアルの襲撃を受けエキドナが攫われました、処罰はお受けします何なりと」
ケルベロスはバフォメットの匂いを嗅ぐ.。
「くんくん...エキドナの匂いはしない嘘は言ってないな...」
(くふふ...他の悪魔を着ていたから臭いではわからんよ、拷問をやった分体はバアルが消してくれた...くふふ全てが上手く行く)
「てっきりお前が拷問でもやって殺したのかと思ったぞ」
「その様な事は決して!魔王さまの子を産めば我の手に入る、それが分かっていながら手を出す事など有り得ません」
「それもそうだな」
バフォメットは平伏しながらニヤついていた。
(悪魔を信じるとは本当に情けない)
「バアルは何れオレが殺る、それより今はアメリアを落とす」
「アメリアを?」
「此処に悪魔の国を作る!逆らう奴らは皆殺しにしろ!」
「お待ち下さい!我らは今着いたばかり」
ケルベロスが無言の圧を掛ける...悪魔達は震え上がりその場に整列していた。
(マズイ...今コイツを怒らせるのは悪手)
「何なりとご命令を」
「政治家や支配階級の奴らは皆殺しにしろ、それと警察や軍関係者もだ...他は適当に生かせ城の建設用の奴隷にする」
「畏まりました、お前達聞いての通りだ!行くぞ!」
「「はっ!」」
無慈悲な悪魔達の侵略が開始された...アメリアは炎に包まれ大量虐殺が行われた。
王国からは遠くダンジョンも殆ど発生せず、兵士や冒険者も少なく練度も低い...更にこの国には銃が無い。
阿鼻叫喚の地獄がそこにあった。中には悪魔側に付き略奪の限りを行う者も出て来ていた。
「ハハハッ!!楽しいなあ〜何でこんな楽しい事今まで我慢してたんだ!」
黒い炎の中でケルベロスは笑い続けていた...
天界 管理室
「人間が大量に死んでおる?...これは...ケルベロスか...」
マモンはルークに知らせるが...
「此方でも見た...」
「神の座に座っておるのか!?」
「色々知る必要があってな、向こうが一枚岩では無い事もわかったから問題無い」
ルークは世界の全てを知覚した、手が出せないなら全て見た上で決める。
「アマテラスいるか!」
「此処にいるわ」
アマテラスが空中から現れた。
「天界に家族全員を呼ぶ良いな?」
「駄目!もう限界なの!神や神覚者以外がこれ以上増えるのは!異分子を増やさないで!」
「此処は天界なのよ!?カイ以外必要ない!子供もカイと作ればいいでしょ!」
次のルークの一言で場が凍りつく。
「その事なんだが...全て見たよ有史以来此処に神の子は居ないな?」
「そっそれは...」
「それに神を殺した所も見た...アレが本体か?」
アマテラスの顔が歪む。
「もう止まれないの!私は壊れてるのよ!」
「止まる必要があるのか?」
「...え?」
「遅遅として進まない現状に嫌気が差したんだろ?」
「うん...」
「なら進めるぞ、手を貸せ俺が終わらせてやる」
初めて言われた言葉に涙が流れ落ちる。
「ううぅぅ...」
「その為に此処を使う邪魔な制限は消せ、今のお前なら出来るだろ?」
「でも...」
「神の命令だ俺に従え」
「はっはい!」
ルークは聖地で見たデミウルゴスに興味を示す。
「アマテラス興味深い奴がいる、聖地のデミウルゴスを見てみろ」
「ん?コイツ?」
「そうだ、面白い存在だ」
「へぇ〜死を克服してるんだ?生命体じゃないのが惜しいね」
「被検体として欲しい...コイツの捕獲も視野に入れて動くぞ」
「は〜い!ルーク私頑張るね!」
「期待してるぞ」
少しずつ前に動き出した、先ずは魔王とヒューマノイド討伐の刺客の選出を始めなければ…




