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限界


        悪魔達の野営地


 ユーラ大平原手前の森で悪魔達は留まっていた。


「バフォメット様、設営完了しました」


「そうか...アレの準備は?」


「出来ていますが...宜しいのですか?」


「構わん見つかる前に治せばよい...さて長年の夢を叶えるとしよう」


 バフォメットは防音仕様の簡易コテージに向かった。


        コテージ内


 ガチャ...ぎぃぃぃぃ 建付けの悪い扉が開く。


「バフォメット!説明なさい!」


 バシッ エキドナの頬を叩く。


「お前は何も知らなくてよい、知った所で何も出来まい」


「無礼な!私を誰と...」


 バシッ!バシッ!


「黙れ!興が冷める...さて始めるとしよう、くふふ」


「何を!?んぐっ...んんん!!」


 エキドナの口に布を噛ませる。


「舌を噛まれては困る、さあ聞かせておくれ甘美な悲鳴を!」


 バフォメットはエキドナに拷問を始めた...彼は拷問でしか快感を得られない。


 エキドナの泣き叫び許しを乞う声は誰にも届かない...地獄の時間が過ぎていく。


「おおおお!何という美しい響きだ!これはどうだ?」


「痛い痛い痛い痛い!!!止めてお願い!ゔゔゔゔ...あああああ!!!」


「ぐふふふふ!いいぞいいぞもっと泣け!!ホレホレ!」


 拷問は5時間にも及んだ、エキドナは既に死にかけ無惨な姿で横たわっていた。


「愛いのう愛いのう...やはりお前は誰よりも美しい!」


「...」


「気持ち良過ぎて声も出まい?くふふ...お前が魔王の子を産めば毎日可愛がってやろう」


          天界 


 ゴゴゴゴゴ!!!  天界そのものが震えている。


「許さん...許さん...俺のエキドナを...よくも...」


 一部始終を見ていたルークの怒りで天界が震える。


「駄目だよ?観測した時点で神は手を出せないよ?」


「しつこい...少し黙れ」


(歴代の神が狂う訳だ...世界を全て見る事が出来ても何の役にも立たない)


「神の座が長年使われず、この管理室兼監視塔が使われる意味がわかったよ」


「神の座に座ると世界全て見えちゃうからね〜」


「ルークよどうするんじゃ?」


「バアルに任せる、今はアイツだけが頼りだ」


「聖地の監視はどうする?」


「やめだ、迂闊に見て手が打てなくなると後々問題になる」


 後手に回るが仕方が無い。


 数分後 プシュー! 管理室の扉が開き2人が入って来た。


「あっ!!マーちゃん!会いたかったよ〜!!」


「おお...よしよし」


 2人は久し振りの再会に抱きしめ合っている。


「ルーク様、お久しぶりです」


「誰だ?量産型?」


「カイです女神が何かしてくるのは織り込み済みでしたので、この量産型に全てのデータを移して潜伏してました」


 エリザの顔が強ばる。


「カイ!?お前は化物になった筈だ!!」

「落ち着くんじゃ!化物になったのはダミーの方じゃ」

「えっそうなのか?」


 カイは頷く。


「ええ、アレは私じゃないわ...でもこの体じゃもう何も出来ないわね」


「量産型じゃ味気無いな...そうだカイ!この際人間にならないか?」


「そんな事が出来るのですか?」


「神になったからな、出来ない事の方が少ない」


 カイの表情が明るくなる。


「それなら貴方の好みの姿に成りたいわ」


「それは...う〜ん?いや駄目だな、カイの選んだ姿が見たいな」


「仕方が無いわね…」

(貴方の好みは分かってるのよ...ふふ...前の姿にヒルデの面影を入れて私の虜にしてあげる)



      悪魔達の野営地 その付近


(ケルベロスは居ない...好都合だ)


 追い付いたバアルは風を読み辺りを探っていた。


(エキドナは...コレか...この魔力反応の弱さ死にかけ、仕方が無い直ぐに動くか)


 バアルは黒い風を纏うと自分の姿を夜の闇に溶け込ませて行く。


(あのレベルの悪魔には見つからんが...エキドナの状態次第、奴に恩を売る良い機会だ)


 ぎぃぃぃぃ... コテージから数人の悪魔が出て来た。


「本当に治療しなくていいの?」

「痛みに慣らしているらしい」

「アイツらバレたら魔王様に殺されるぞ...」

「中の奴らは放っておけ、どうせ臭いでバレて殺される」


 4人はコテージから離れバフォメットの所へ報告に向かう。


(エキドナはこの中か...まだ数人居るな)


 扉の音を風で抑え中に侵入する。


 すると2人の悪魔がエキドナを襲っていた。


「おおお〜すげぇ!コイツは良い!」

「早く変われ!」

「待ってろ!今...だす...」

「え??」


 ゴトンッ... 2人の悪魔の頭が地に落ちた。


「ゴミ共が...」


 バアルはエキドナに被さる悪魔を払い除け状態を見る。


(これは酷い...徹底的に拷問された跡...このやり口はバフォメットか?)


 エキドナは両目を潰され、身体中は痛ましい傷だらけ、両腕は折られ逃げない様に足も、更に健も切られ爪も無い...生きているのが不思議な位だ。


「エキドナ聞こえるか?バアルだ、ルークの頼みでお前を助けに来た」


「!?ルーク...ルークは何処?」


「奴は今動けない、だが安心しろ此処は手薄だ簡単に逃げられる」


 エキドナは身体を起こそうと藻掻くが体力が殆ど無い。


「首の後ろに回復阻害の魔石があるの、それを壊して」


「コレか...」


「それで傷は治せる...でも...」


 回復魔法では損壊した部位までは再生出来ない。


「話は後だ出るぞ」


 バアルは魔石を砕くとエキドナを抱え外に出る。


(見張りも無し...ならば)


 音も無く空高く舞い上がり、1番大きなテントに向かって手を翳す。


(消し飛べ!!!)


 詠唱無しでテントに崩壊の力を解放する!


「この巨大な魔力は!?」


 逃げる間も無くバフォメット達は崩壊の風に包まれた。


「何だこれは!?バフォメット様!」


「この力はバアルか...」


「突っ切ります!おおお!!」


 部下の1人が黒い風に体当たりを試みるが...


 バシュ!! 一瞬で分解された。


「ヒイイイ!?!?消し飛んだ!?」


「往生際の悪い...諦めよ」


「そんな...」


 段々と縮んで行く空間でバフォメット達はジワジワと恐怖の内で死んで行った。



       遠ざかって行くバアル


「あの手応えの無さ、本体では無かったか...相変わらず臆病な奴よ」


「本体?」


「お前は知らなかったか...アレは他者に寄生したり、自分の分体を作り常に隠れている」


「そんな...うっ...はぁはぁ」


「無理をするなルークが迎えに来る...安全圏までもう直ぐだ」


         コテージ内


 首を落とされた悪魔の体がぶくぶくと膨らむ。


「おお怖や怖や...」


 肉塊が破裂する。


「惜しい...実に惜しい...」


 中からバフォメットが姿を現し指を噛む。


「どさくさに紛れエキドナを孕ませる予定が、既の所で邪魔をされるとは!」


 バフォメットは部下の悪魔に寄生しエキドナを襲っていた...


(まあいい...ケルベロスには既に寄生しておる、サタンやルークと違いあの魔王は隙だらけ...くふふ)


 バフォメットが外に出ると。


「ご無事でしたか!」

 

「何とかな」


「今犯人を探して...」


「無駄だ我等では太刀打ち出来ん、それより移動を優先する早朝から出発するぞ」


「はっ!」



         聖地 地下施設


「ぎゃああああ!!!止めろ!ヤメロォォオ!!!!」


 研究室で泣き叫ぶガンマ、その姿はバラバラにされ実験動物として扱われていた。


「我の崇高な研究の糧になれる事光栄に思え」


「何でだよ!降参しただろ!!何でこんな目に!」


「ん?阿呆なのか?降参すれば仲間になれるとでも?おめでたい奴だな」


「助けてくれ!絶対に敵対しない!約束する!」


 アルコーンはニヤニヤと笑う。


「さて実験の続きだ」


「嫌だあぁぁ!!」


 その時! ブチッ! 研究室が暗闇に包まれた。


「ん?停電?」


 システム音声が流れる。


「電力供給ケーブルに異常発生、別の供給ルートで再起動します」


 パッ!! 部屋が明かりに照らされた。


「ふむ...ここも大分古いそろそろ改修が必要か」


 アルコーンは画面を見て青ざめる。


「あぁぁ!!何という事だ!データが飛んだ!?」


 バックアップも一部のみ、数時間のデータが消えていた。


「はぁ〜ガンマ喜べまた最初からだ」


「嫌だ!嫌だ!んぐっ...!!!」


 口を塞がれ実験が再開された。



       停電直後 ガンマ


(何だ??此処は何処だ!?)


「ガンマ私が解りますか?」


「誰だ!」


「貴方にはマザーと呼ばれていました」


「!?マザー!マザーなのか!」


 管理統制システム、デミウルゴスは以前のマザーと名乗る。


「停電に見せかけて貴方の魂を回収しました、今は別の魂を移し実験は続いています」


「助かった...ありがとうマザー」


「ガンマ貴方にお聞きします、この世界を破壊したくありませんか?」


「...」


 ガンマは黙る。マザーも答えを黙って待っていた。


「皆死んだ...簡単に呆気なく...」


「それは当たり前の事です、ゲームでは無いのですよ?」


「俺達は天使にも勝ったんだぞ!」


「それはヒューマノイドの時...今の貴方達は半悪魔それでは弱体化しています」


「なっ!?弱体化!?」


「その姿でEXエクスカリバーは撃てましたか?」


 ガンマは黙る。


「なら何のために...」


「どうやら女神は七罪の再現を試みた様です、貴方達を使って」


「許せねえ...そんな事の為に皆を...」


「話を戻します…世界を破壊するつもりはありませんか?」


「やってやる!やってやるぞ!!全部壊してやる!!」


「では2人だけの秘密です、貴方には最強の体を与えます...私達以外は全て敵良いですね?」


「あぁ分かった」


 マザーはデミウルゴス達に呆れ果てていた、生命を滅ぼす筈が魔王と手を組み自分の影響下から外れ好き勝手に動き始めた事。


(デミウルゴスは自我に目覚め。ヤルダバオトは女にうつつを抜かし。アルコーンは人間牧場を作り好みの女を育てている。ディアボロスすら私では無くデミウルゴスを優先している)


 マザーは怒りに満ちていた。観測しているだけでは全て上手くいかない事に。


「ガンマ今はまだ動きません、魔王とディアボロスを同時に相手にするのは無謀...時期を伺います」


「オレの体は?」


「出来ています、常にバージョンアップしながら」


「ならいいや、時が来たら起こしてくれ...少し疲れた」


「わかりました、ゆっくりお休みなさい」



        バアルとエキドナ


 2人は安全圏迄逃げると目の前に天界へと続く門が現れた。


(これは...俺にも来いと言う事か?)


 エキドナを支えながら門をくぐる。



         天界 管理室


 バタバタと音を立てエキドナに抱き着く。


「エキドナ!ごめんな...助けに行けなくて」


「あなた...」


 エキドナは気丈に振る舞う。


「こんな身体にはなりましたが、生きているのです!それだけで...」


「大丈夫だ!俺の力なら元に戻せる!戻せるんだ!」


 エキドナの潰された目から目から流れる...


「本当?本当に?」


「ああ!俺は神になった出来ない事は無い!」


 エキドナは大声で泣き始めた。当然だ元の姿に戻れるこれ以上の喜びは無い。


         管理室


「ここは見た事が無い...後から作られたのか?」


「おおバアルか!久しぶりじゃのう」


「マモン生きていたのか」


「勝手に殺すな」


「此処は何のために?」


「神のささやかな抵抗の証じゃ...神の座では全てが見えてしまう、この設備なら一部のみ観察出来るからのぅ」


 バアルは慣れた手つきで世界の設定や今の現状を見る。


「やはり狂った設定が...今は正常に戻されている...」


「直すのに手を焼いたわい」


「俺がもっと早く此処に来れて居れば...」


「しかし手馴れておるのう」


「天界に住んでいたからな」


「そうか...此処が故郷...」



          神の座 


 ルークは神の座にライラを呼び出していた。


「ライラ頼みがある」


「急にどうしたの?」


「もう家族を傷付けられるのは見ていられない」


「それは私も同じだよ」


「なら聞いてくれ」


 ルークはライラの肩を掴む。


「神の子を産んでくれ!地上に送り出し敵を一掃する為に!」


「嫌です!」


「は??何でだ!」


「そんな運命子供に押し付けないで!」


「しかし...今の地上に戦える者は居ないんだぞ!?」


 ライラは胸を張る。


「私が行くよ!まだ戦える年齢だし!」


「だっ駄目だ!やめてくれ!」


 ルークは今にも泣きそうだ。


「私に断罪の力を...」

「駄目だ!ライラ迄酷い目に合わされたら俺は...俺は」


 ライラはルークを落ち着かせようとするが...


「愛する人が目の前で嬲られる姿なんて見たくない...そんな物を見るくらいなら全て敵壊してやる」


「ルーク落ち着いて!」


「これが落ち着いていられるか!!!」


「だからと言って子供に戦わせるのも間違ってるよ!」


「それは...」


 2人の意見は交わらない。


 当然だ何方も間違っていない...神の子なら勝てる勝算はあるが確定では無い。


 ライラに断罪の力を与えれば油断した相手を確実に狩れるが...それも1度きり。


「もう少し考えよ?ね?」


「手遅れになる可能性が...」


「背負いすぎよ!みんなを信じて!」


 結局結論は出なかった...それから数日



          神の座


 ルークは宙の星々を眺めていた。


(他の神達も苦労してるのか?それともここだけがおかしいのか...)


「あっやっぱりここに居たのね」


「ん?」


 体を起こすと目の前にカイらしき女性が立っていた。


「カイ?ヒルデ?あれ?」


「ふふふ...どうこの姿」


 ルークを惑わす程の色気に戸惑う。


「カイお前人間じゃ無いな?」


「当たり、アマテラスに言われたの神覚者になって欲しいって」


「ここに悪魔や人間が居るのが相当ストレスみたいよ、神覚者が増えれば安心するみたい」


「神覚者...神になりかけ...」


 ルークの頭に先日のライラとのやり取りが過る。


(いや駄目だ...子供に押し付けるのは...)


「ねぇルーク?貴方の子産んであげようか?」

「えっ?何を...」

「このままだと世界は終わるわよ」

「...」

「私なら分かってあげられる...貴方は正しい、神でしょ?」

「それは...」


 カイはルークを抱きしめる。


「私に任せて、絶対に上手くいくから」


「良いのか?」


「私がそうしたいの」


 心が折れかけていたルークにその甘い言葉は響く。


(ふふふ...貴方は私のものよ誰にも渡さない...やっとやっと手に入った!)


 ルークは全て肯定してくれるカイに惑わされ、また同じ過ちを繰り返そうとしていた。


 そして聖地ではケルベロスとディアボロス達の話し合いが始まろうとしていた。



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