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早いよっ誤字報告!投稿して30分で誤字発見するって?!

いや、すいません、自分が悪いのは分かってるけど!

なぜ読んで直ぐに分かる誤字に気付かないのか自分?!と反省してます!

ありがとうございました!

グダグダなまま終わった卒業パーティーから1ヶ月。

パーティー後すぐに騎士団による捜査が行われ、裁判の準備が始まり、王太子殿下主催で王城で卒業パーティーのやり直しのパーティーが開かれた。

前回騒ぎを起こした関係者が、誰一人参加していないパーティーは穏やかで賑やかでとても楽しい催しになった。

王城で開催された事で、極度の緊張に陥った数名が、薄められた物とはいえ果実酒をガブ呑みして沈没してしまったりもしたけど、大変盛り上って思い出に残るパーティーとなった。

私も、実はゴーリンデ地方出身でそれを隠して澄ましていた令嬢や令息達に次々声をかけられて、卒業後になって、友人との楽しい会話というのが初めて出来た。

他の地方出身者とも話して、それぞれの訛りを笑い違いに感心して、機会があればまた会おうとお互いに約束して別れた。


話題になったことで異例の早さで裁判が行われ、やり直しの卒業パーティーで知り合った友人と傍聴にも行ったけれど、裁判はプードゥル侯爵令嬢の悪行の数々を裁く為の裁判だった。

本当に裏から指示を出し、数々の令嬢や令息を陥れていた事が判明し、傍聴席をどよめかせた。

第二王子殿下とその取り巻きの杜撰な調査とは違って、キッチリと証拠も証人も揃った騎士団の捜査には、この国最高峰の弁護士団を揃えた侯爵家でも反論が出来ない程、その罪は明白になった。

プードゥル侯爵家側の弁護団は、第二王子殿下の不貞のせいで悋気を起こし犯行に至ったと弁明していたけど、例の自称ヒロインが転入してくる前から数々の犯行の指示を出していたので、相手にもされなかった。

プードゥル侯爵令嬢には二つの選択肢が与えられた。

一つは近隣国の好色で有名な第5王子殿下の第13妃になるか、私財から被害者に慰謝料を払って修道院に行くか。

プードゥル侯爵令嬢は修道院行を了承し、即日送致された。

騎士団によってプードゥル侯爵令嬢の私物が押収され売却され、それを被害にあった令嬢や令息に、被害の大きさによって配分され慰謝料として支払われた。


そして今、私は何故か王城に居る。

本当に何故?!

対面に座るにこやかな人物は、


「態々来て貰って悪いね」


全然悪いとは思ってないだろうにこやかな笑顔で言う王太子殿下。

最初に型通りの挨拶を済ませて、お茶とお菓子を出されて対面している。

王太子殿下の侍従さんとお茶を出してくれたメイドさんが部屋の隅に居るので二人きりではないけど、私にどうしろと?!

私、底辺のド田舎貧乏男爵家の末っ子ですよ!

なんと返事をして良いものか全然分からないので無言になってしまう。

でもそんな私の態度は関係ないとばかりに、


「今日来て貰ったのは、君には大変迷惑な事だっただろうけど、あの件での当事者の1人にされてしまっただろう?だからね、一応説明しとこうかと思って呼んだんだよ」


ナハハ~と笑う王太子殿下。


「これは王家としてもあまり公に出来ないことなんだけど」


なら話さないで頂きたい!何故底辺貴族の私を巻き込む?!言えないけど!


「例の件は、実は王子とその婚約者への試練として仕組まれたものだったんだよ~!僕の時もあったんだよね~!僕は優秀だからサクッと見破って母上に抗議したら、笑ってタネ明かしされたけどね!」


またアハハ~と笑う王太子殿下。

ハニートラップに引っ掛かるかどうか、そんな婚約者を見てどんな行動に出るか、を試されていた様子。


「で、今回は最悪のケースになったね!ランディは無駄に強い正義感を利用されて、まんまと引っ掛かって騒ぎを起こしたし、婚約者は次々気に入らない者を排除しようとしたし。王子としてもその婚約者としても失格で最悪だった。側妃殿の選んだ役者の筈の令嬢も、途中から欲を出して勝手に動き出してたし、もう収拾の付けようが無いよね!」


アハハ~と笑ってるけど目が笑ってない事に気付いた!怖っ!


「元々側妃殿は、僕の王太子任命も面白くなかったらしいし、侯爵家の令嬢を後ろ楯に王太子の座を奪おうと画策してたようなんだけど、その前に折角選んだ婚約者は最悪の性格だったし、息子である王子もコロッと騙されるアホだったって事だね!僕的にはランディが王太子になったって全然構わなかったんだけど、今回の件で、あんなにコロッと1人の令嬢に転がされた事で、王になる資格無しと見なされちゃったんだよね~。あ~面倒くさっ!」


これはあれだろうか?王家の秘密とか言って、大袈裟に脅しといて愚痴を聞かされてるんだろうか?

面倒くさっ!ってこっちのが面倒臭いわ!と言えるなら言ってみたい。


「ランディは今回の事で王位継承権を剥奪され、ダンダリン女辺境伯に婿として入る事になった。そのお付きの令息達も各々の家で処分される事になったけど、関わり具合が微妙なんで、処分は各家に丸投げされてるね。側妃殿が自ら選んだ婚約者も罠に掛けるための令嬢も大変な問題を起こしたことで、側妃殿も離縁されて実家に帰される事になったし、プードゥル侯爵令嬢はあの通り修道院行き。例の令嬢は国外追放される事が決定している」


そこまで言って、一口お茶を飲む王太子殿下。

勧められてお茶を飲み、お菓子を摘む。実に高級な味のする菓子である!ついつい2個目3個目を食べようとして、何とか思い止まった。

対面では笑いを堪えようとして吹き出してる王太子殿下が居るけど!


「で、君に態々来て貰ったのは、騒ぎを起こした3人に巻き込まれて当事者にされてしまった事で、騎士団が関連する君の調査も行ったところ、学園での立ち回り、成績、人柄、街での評判、それらが実に良くてね!学園では訛りを気にして殆ど誰とも会話をしなかったようだけど、普通はそんなことは不可能なんだよ。でも君はそれをやってのけた。その上王城の官吏試験にはトップ合格。そしてどの派閥にも属していない地方の男爵家出身。だからね、君を僕の補佐官に任命するよ!僕が直接声を掛けたことで、給料は他より高くなるし僕の補佐官だから身分の事で文句を言う奴も居ない。やってくれるよね?」


ニカッと笑顔で脅迫されてます!

これは断れないヤツじゃん!

確かに官吏試験は受けたけども!地方自治の官吏試験だったはず!なのになんで王城の官吏試験に受かってんの?!担任か?!担任が変な気の回し方をして別の試験を受けさせたのか?!奴は悪い人ではないんだけど、良かれと思ってした事が、悉く裏目に出ると言う不幸体質の持ち主!くそぅ!領地の近所の伯爵家で官吏としてのんびり仕事しながら婚活する予定だったのに!

断れない相手から、絶対にブラックだろう職場に誘われてしまった!


ニコニコと圧の強い笑顔で了承の返事を待つ王太子殿下。

断られるとは微塵も思っていない笑顔。

ちょっと断りの言葉を投げ付けてやりたい衝動に駆られるが、そんなことをしたらどうなるか、想像も出来ないのがより恐ろしい!

小心者の私が断れる訳もなく返事は一択。


「はい。謹んでお受けいだします」


「良かった!これからよろしくね!あ、そうそう、君にもプードゥル侯爵令嬢からの慰謝料と、ランディからの慰謝料が支払われるから、はいこれ。金額は二千万デイル、確認して!」


軽い口調で王太子殿下が言い、侍従さんが革袋を4つ机に置く。

ジャラッと音のする袋を。

二千万デイルとは前世の通貨に換算すると約二千万円くらい。計算が楽で良い!

ではなく!私本当にチョロッと巻き込まれただけなのに、凄い大金を渡されてしまった!

領地では金貨なんて見たこともなかったのに!それが机の上にドサッと無造作に置かれてる!

前世も庶民で今世も貧乏男爵家出身なので、大金は嬉しいよりも怖いです!


「君は3人に巻き込まれてしまったことで、慰謝料が高くなったけど、プードゥル侯爵令嬢とランディの私物を売ったお金だから、遠慮無く貰ってね!領地に送金するにも自分用に取っておくにも、国の金融機関に預けるのがお薦めだよ!」


ブルブル震える手で金額を数えて、仕事の内容を聞き、高級菓子を包んで貰って、準備のために一週間の猶予を貰い、王城に出入りするためのメダルを貰ってやっと解放された。

ヨロヨロしながら王城の金融機関にお金を預けて、安宿の部屋に戻って、気を失うように眠った。


翌日目覚めて一番に確認したのは、王城に出入りする際に必要なメダル。

金貨に青い宝石の埋め込まれたメダルは、王太子殿下の側近専用のメダルなんだとか。

これを売ったら幾らになるかを想像してすぐに止めた。

そんなことをしたら間違いなく犯罪者になる。


露店で朝食を買いモソモソ食べて、学園の元担任を訪ね文句を言ったのに、大出世だ!と騒がれ祝われ、王城に勤めるのだから!とマナー担当の教師に服装などの注意点や質のアドバイスをされ、大勢の教師に見送られて学園を出て、教師に貰った紹介状を持って人生初の、入り口に警備員の配置されたブティックなる服屋に入り、店員さんに色々と相談をしながら、普段着ている服とは桁が二桁違う服を薦められ、慌てて王城の金融機関に駆け込んで、昨日入金したばかりの金貨をおろし、またブティックに戻って会計を済ませ、店員さんに紹介された化粧品店と美容院に行って、またもやヨロヨロしながら安宿に戻りバタンキュー。

翌日からは、領地の親に手紙を書き、安宿から少しランクの上がった宿に移り、荷物の確認をして、王都に住んでる出来たばかりの友人にも手紙を書き、カフェで落ち合い祝われたりと忙しく過ごした。


大騒ぎで大忙しの一週間後。

失くさないように首からメダルを下げ、大荷物を持って王城に行くと、門番に見せたメダルに驚かれ、荷物検査を受けて迎えが来るのを待ってたら、王太子殿下本人が現れ!王城内の案内をされ、私に宛がわれた部屋の広さ豪華さに仰天し!職場やそれに関係する部署に紹介され、やっぱりヨロヨロになって部屋に戻り、フカフカ過ぎるベッドに落ち着かず、ソファで寝落ち。

翌朝はメイドさんに起こされて驚き、自分よりたぶん身分の高いメイドさんにお世話され、朝食を食べてから職場となる王太子殿下執務室に行った。


そして初仕事として連れてこられたのが、第二王子殿下の辺境伯家行きの見送り。


「ランディ、体には気を付けるんだよ!」


「兄上、本当に申し訳ありませんでした。どうか兄上もお元気で」


何だかんだ言っても仲の良い兄弟だったのだろう、最後に握手する手は確りと握り締められていた。

第二王子殿下は、例の自称ヒロインにコロッと騙されていたようだが、恋愛感情が有った訳ではなく、本当に強すぎる正義感から自称ヒロインの訴える被害を聞いて、義憤に駆られて騒動を起こしてしまったらしい。

第二王子殿下の取り巻きは本当に惚れ込んで、偽証だと分かっていても、第二王子殿下を唆していた疑いがあり、今は家からも追い出され行方は不明だそうだ。

王族の婚姻としては酷く質素で王太子殿下以外の見送りは無く、荷物も馬車一つに収まる少なさが、これは祝い事ではなく罰なのだと言っているかのよう。

ダンダリン女辺境伯様は、女傑として国内でも有名になる程の女性。

兄弟も多く居る中、男に領地は任せられない!と言って兄弟達を蹴落として辺境伯の地位を実力で手に入れた方。

憧れる女性は多いけど、その分男性には嫌われると言うか煙たがられる存在。

婿の成り手も中々見つからず、この世界では行き遅れと揶揄される25歳を越えてもまだ独身。

その女辺境伯の元へ婿として入る第二王子殿下。

立場的にも状況的にも尻に敷かれること間違いなし。


「考えたら、女性にコロコロ転がされるランディなら、女傑のダンダリン辺境伯に転がされて、真っ当な人間になるかもね?元々頭は悪くないんだし、選んだ女とその周りが最悪だったけど、一途に信じ込んだって考えれば、辺境伯領行きは中々良い案だったのかも?父上やるね~」


1人納得して歩きだす王太子殿下。

黙ってそれについていく。

次に着いたのは牢屋。

中に収監されているのは自称男爵令嬢の、罠の仕掛人。

仕掛人なのに欲を出して大失敗に終わった人。

檻に背を向け1人ブツブツ何かを呟いている。


「なんでこんな事になってるの?王妃に誘われたじゃない!王子だって落としたし!他の攻略対象だって落としたし、悪役令嬢だってちゃんと悪役だったじゃない!なんで最後の最後で失敗するのよ?!折角貴族のマナーだって覚えてちゃんと令嬢やってたのに!危険な目に遭ってまで王妃に会うために国境近くの街まで行ったのに!何が間違ってたの?!フラグ踏み忘れた?でも、卒業パーティーでは間違いなくハーレムエンドの形だったじゃない!もう!リセットボタン無いの?!……………」


ずっとブツブツ言っててとても不気味。


「何だかドンドン正気を失っていくんだよね~?最初の頃はもう少し話が出来たのに、今ではずっとあんな状態」


「修道院行きとかにはなんね~んだべか?」


「修道院てのも表向きは慈善事業を謳ってるけど、生きていくにもお金は必要だし、それなりに寄付金を払わないと受け入れては貰えないよね?その点プードゥル侯爵令嬢は侯爵家が嫁入り道具とか揃えて、見た目的には普通に王家に嫁いだって体裁は整えたよね。

ぶっちゃけ貴族女性の修道院行きってのは、問題を起こした令嬢や婦人の隔離施設な訳だし、余計にタダじゃ受け入れて貰えないよね?彼女にはお金を出してくれる身内は居ないそうだし?」


「結局あん人は何もんなんだべ?」


「王都生まれ王都育ちの平民だね。母親が貴族の家のメイドをしていたそうで、娘に貴族令嬢のマナーを教えてたらしい。夢見がちな人だったらしく、貴族と同じマナーや教養があれば、貴族に見初められると思い込んでたそうで、娘にもそう言って教えてたらしい。下手に魔力も有ったもんだから勘違いから増長しちゃったのかな?今はもう流行り病で亡くなってしまったそうだけど。雇用主の貴族家では、憐れに思って娘もメイドとして雇おうとしたんだけど、ある日突然居なくなったんだって」


ああ、その辺で前世の記憶、と言うか乙女ゲームの記憶でも思い出して、側妃様に会うために国境近くの街ヘ行ったのかな?

トントン拍子に進んでいく攻略、悪役令嬢が悪役らしく暗躍するのを見て、乙女ゲームの場面と照らし合わせ楽しんでいたのかな?

ん?でも待てよ?そもそもこの自称ヒロインが国境の街に態々出向かなければ、他の令嬢がヒロインだったってこと?え?この人ヒロイン役を奪っちゃったってこと?


「最初っからヒロイン役を奪ったんだばうまぐいぐわげねーべろ」


思わず溢れた本音に、


「え?何て言ったの?よく聞き取れなかった」


王太子殿下が聞き返すのに、何でもないと答えようとしたら、グイッと引っ張られガンッと檻に叩き付けられた!


「お前!お前が転生者なんだろう?!だから上手くいかなかったんだ!そうだろう!何をやった!どうやった!何故お前がシークレットルートの王太子を攻略してんだよ!この!許さないからな!」


ガンガンと何度も引っ張られ、檻に打ち付けられる!痛くて声も出せない!

王太子殿下が止めようと声を出すけど聞いちゃいない自称ヒロインにガンガンやられて、頭を庇うのがやっと。


「ギャウン!」


石をぶつけられた犬のような声がして、私の掴まれていた腕と服が解放された。

王太子殿下の護衛騎士様が、自称ヒロインを剣の鞘で払ってくれたようだ。

ぶつけられた肩や腕を擦りながら立ち上がれば、鼻血を流しながらもこちらを睨む自称ヒロイン。

今にもこっちに飛び掛かってきそうに睨んでる。


「とうとう正気を失って、人に危害を加えるようにまでなったか、これは立派な犯罪だね。私の補佐官を害した罪は償って貰うよ」


底冷えするような冷えた声で自称ヒロインに申し渡す王太子殿下。

自称ヒロインもその声にはビクッとして、


「違う!違うの違う!わたくしが悪いんじゃないの!そこの女が全て悪いの!その女が邪魔をしなければ、わたくしは今頃王妃だったのよ!その女が全て悪いの!」


「話にならんな!」


もう話すことは無いとばかりに歩きだす王太子殿下。

私達も後に続く。

後ろでは何かを叫んでるけど誰も振り向かない。


連載の方も書いているのですが、直ぐ脱線して短編を書きたくなる不思議。

そして短編が長くなる不思議。

スパッと1話完結とか書いてみたい。


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― 新着の感想 ―
「直ぐ脱線して短編を書きたくなる不思議。」 あー試験勉強とか提出期限が迫ると掃除したく成るってゆうアレですね。。。 長くなるのは物書きの業ではないのかと。。。。。。。。。。。。。  無理しないで下さい…
読んでいる途中なのですが、一点疑問が。 主人公の地の文で裁判を傍聴していた時、侯爵令嬢の刑は修道院に行くと意思表して即日送られたとあります。ですが、主人公と話している王太子?第一王子?のセリフでは、外…
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