第九話 五影臣
「が……ぐ……頼む……これで全部だ……」
「ふむ。全員言っていることが同じだから、嘘ってことはなさそうだな」
俺はこいつらから聞きたいことを搾り取ると、満足気な表情をした。
「うん。早速潰しに行こう――と言いたいところだけど、場所は分からなかったね」
「ああ、やはりこいつらは捨て駒のようだな」
だが、こいつらの目的と、その背後にいるやつを聞き出すことが出来た。
「こいつらはノアを奴隷にするつもりだったのか……そして、その背後にいるのは影の支配者のボス、ガスラーかよ……」
俺は怒りが抑えられずにいた。
「ノアを奴隷にするつもりだったのか……殺してやる。生まれてきたことそのものを後悔させてやる……」
俺は怒りのままに、そう決意した。そして、それはノアも同じだった。
「うん。こいつらはカインも連れていくとか言ってた。絶対に許さない。私もカインの意見に賛成」
ノアは拳に力を込めながら、力強く言った。
「ああ、それに影の支配者はこの街最大の犯罪組織と耳にしたことがある。だから、それを潰すことは多くの人の為になることだしな」
ただ、アジトの場所が分からない為、探す必要がある。だが、もう夕方なので、、捜索は明日行うことにしよう。
「ねぇ、こいつらどうする?」
ノアはボロボロになった五人をゴミを見るかのような視線で睨みつけた。
「ああ……衛兵の詰所に持ってくのはめんどくさいし、こいつらは二度と人を襲えない体にしてから放置でいいな」
俺はそう言うと、〈創造〉で木槌を作ると、五人の足首を破壊した。
こうして五人は叫び声と共に、二度と人を襲えない――と言うよりは、二度と歩けない体になった。
「じゃ、もう夕方だし夕食を食べてから宿に行くか」
「うん」
こうして一つの事件を片付けた俺たちは夕食を食べに向かった。
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ガスラー視点
さっき、部下が俺の前にあいつらを置いてきた。
「おい! 一体これはどういうことだ!」
俺は怒りの強さを表すかのように、目の前に転がっている五人を蹴った。
こいつらは、俺が蹴った瞬間、「ごめんなさい」とか「許してください」とか言ってきやがった。
「ちげーんだよ。俺は何があったのかを聞いてんだよ! 貴様らの謝罪なんて何の価値にもならねーよ!」
俺は怒鳴りつけると、五人に鞭を打った。
「は、はい……お、俺たちはあいつらが路地裏に入った時に襲いました。だ、だけど返り討ちにあいまして……」
なんだよこいつらは。元Bランクの冒険者とか言ってたけどあの程度の新人どもにいいようにされたのを見るに、こいつらは強さを偽っていやがった。
「ちってめぇら! 元Bランクっていうのは嘘だよな?」
俺は殺気をまき散らしながらこいつらを睨んだ。
「い、いえ……今はCランクですが、一時期Bランクでしたので……」
「ちっ使えねーな」
嘘をついていないことぐらいは目を見れば直ぐに分かった。だが、それとこれは別だ。こんな役立たずはさっさと口封じしてしまった方がいい。
「おい! こいつらを処理しろ」
「分かりました。ボス」
「ひ、す、すいませんでした! な、何でもするから許してください!」
「ど、奴隷になります。貴方様の奴隷になりますので、どうか、命だけは助けてください……」
こいつらは、殺されると分かった瞬間、必死になって命乞いを始めた。命乞いを必死になってやる人間は本当に哀れで、見ていて面白い。まあ、こういうのは希望を見せてから絶望に落とすと更に面白いのだが、今は時間がないのでさっさと処理してもらうとしよう。
「そうか。ま、せいぜい死ぬ間際まで惨めったらしく命乞いでもしてるんだな。おい! もういいぞ」
「分かりました。では」
扉の前に控えていた部下は一礼すると、役立たずどもを地下に連れて行った。
地下に連れて行かれたこいつらは焼却炉で燃やしてから骨を砕く。そして、ただのカスになったら適当な場所に捨てるのだ。
「はぁ~ま、役立たずだが、一応戦闘経験者だ。それを返り討ちに出来るってことは、雑魚ではないということか……よし、おい! 五影臣を呼べ」
「分かりました」
部下はそう言うと、鈴を鳴らした。すると、僅か十秒で扉が開き、幹部である五影臣が入ってきた。そして、俺の前で跪いた。
「「「「「ただ今参りました。ボス」」」」」
「ああ、お前らには例の少女と、追加で連れの男を俺の元に連れてくる任務を授ける。条件として、少女の方には傷をつけるな。分かったか?」
「「「「「はい。分かりました。ボス」」」」」
そう言うと、五人は一斉に部屋の外に出た。
「ふぅ……流石にあいつらなら大丈夫だろう」
五影臣は影の支配者の幹部であり、実力もかなり高い。冒険者で例えるならBランク上位からAランク下位の強さだ。むしろ過剰戦力もいい所である。
「……だが何だろうか。どこかヒヤリと感じてしまう……」
まるで首元にナイフが突きつけられているかのような――そんな感じがしたのだ。
「まあ、考えすぎは体に良くないな」
俺はそう呟くと、ぬるくなった紅茶を飲んだ。
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