3 でも幸せなのでOKです
その後もスライムの消化液で半裸にされ続けたエルは、ついにリペア・ポーションを切らしてしまい、ようやく攻略を諦めたらしい。
「仕方ない、帰ろうケイン」
「ああ。……はあ、良かった」
俺は安堵の表情を浮かべ、半裸のエルを抱きかかえて新居に戻った。
帰宅後はそのままシャワールームに向かったはずなのだが。
メイドに案内されたのは、甘い香りが満ちたベッドルームだった。
何というか、高級娼館の一室に似ている。
今、エルは隣のシャワールームで鼻歌を歌っていて、俺は彼女を待つようにベッドに腰掛けていて。
(な、なんだこれ……どういう状況なんだ……?)
緊張と混乱、恥ずかしい気持ちが絡まりあった俺の顔は、真っ赤に染まっていた。
結婚式を上げてから状況に振り回されっぱなしだ。
何とか思考をまとめようと、両手で顔を抑えて目をつむっていると、
「ケイン」
「はいッ!?」
シャワールームからわずかに顔を出したエルが、こちらに来いと手で呼んでいた。
「ななな、なんでしょう?」
「一緒に風呂に入らないか? 背中を洗ってやる」
「自分で出来るよ!?」
「それでも私が洗いたいんだ。早く来い。じゃないと怒る」
「は、はい」
恐る恐る近づくと、タオル姿の妻に部屋の中まで引き込まれ、そのまま押し倒された。
ポタポタ、と雫がエルの前髪を伝って落ちてくる。
「何を――」
「あれだけ誘っても襲わないなんて、お前は鈍感で奥手だな」
「どういう……?」
「でもそういうところが大好きだぞ」
エルから優しく深い接吻が送られる。
言葉を遮るように、求めるように。
俺も昂りが耐えきれなくなって、求め返した。
男女の長い一夜が始まった。
◇
俺は、ベッドの上で冒険者活動を再開するに至った事情を聞いた。
どうやら彼女は外でするのが性癖だったらしく、ずっと誘っていたらしい。
ついでに『お仕置き』も大好きだともわかり、俺は彼女に激しいお仕置きを施した。
朝日が登る頃にはとても従順な子になっていたが、軽く寝て、目が覚めた時には普段の強気な彼女に戻っていた。
「ケイン! 今日もダンジョンに行くぞ!」
「……ああ、分かった」
妻の冒険者活動には反対だけども、そういうのがお好きならしょうがない。
これからはソッチ方面の教育係として頑張っていくと決めた。
完結……?