第十八話:下剋上
一仕事終えてトリバレイ城へと舞い戻る。
最近の俺マジで働きすぎ。おかしいな、優秀な人材ばかり揃っているのになぜか忙しさは増すばかり。なんてったって他の人材が手の回らないことは全部俺のところに来るから、規模が増えれば増えるだけ忙しくなる。
各部門の先頭を走る女性陣の才覚がありすぎて、隙間を埋める凡人の供給が間に合っていない。普通は一握りの天才の下に多数の凡人、とピラミッド状になるはずなのに。組織構築完全にミスってんなこれ。
くたくたになって寝室に戻ると――
極楽があった。
俺が愛と忠誠を誓わせていただいた娘たちが、寝室で帰りを待ちわびてくれている。全員頬を染めながらローブやスカートの裾を持ち上げ、俺が贈った下着がよく似合っていることを見せてくれる。
男子冥利に尽きる景色。思わず両手を合わせて祈った。今すぐ昇天しても後悔はない。
「ただいま、みんな」
「お帰りなさい、あなた。今日もお疲れ様」
「ああ、みんなもお疲れ様」
日々の業務をねぎらうと、全員嬉しそうにへそ周りをもじもじさせる。
夜はこんなに素直なのに、昼はどうしてああも生意気な子が多いんだろう。特に佑香とかアンナとか、顎の持ち上がり方は愛情を確かめあっても変化なし。謎だ。昼のうちからこの雰囲気で接して欲しい。と何週間も前から要望は出しているけれど実現せず。悲しいね。
さて、素晴らしい眺めを堪能していると――堪えきれなくなった城ヶ辻綾子が駆け寄ってきて、腰をふり♥ふり♥と小刻みに振りながら降ろしていく。俺と彼女の体格差、特に脚の長さの差だとつま先立ちしても腰が腰に届かない。
生物学的に未来永劫交われない格差がある。が、女性の方が承諾して、両膝を外に向けたまま腰を下げてくれたときのみハードルは解消される。以前は短足具合をからかわれてお預けを食らったけれど、そういえば最近は「待て」を命じられることが全然ない。
「ど、どの子から? 今日はどの順番?」
「週末だし全員分一周するよ、綾子さん。ちゃんと平等にね」
「っ♥で、では早速……」
「……異議あり……」
綾子がいそいそと自分の体内に導こうとしていたそれを、佳苗が根本から差し止める。分厚いレンズのメガネをカチャリと押し上げて。極めて真剣な面持ちだが、やっていることはあまり学術的ではないような……。
「い、異議ってなにかな、佳苗」
「みなさんこちらを御覧ください」
「……これは?」
「葉介くんの発射量を可視化したものです。横軸が回数、縦軸が量」
そんなもんをグラフ化するな。魔法でつまびらかにグラフを掲げるな。他の子もおおー……とか言うな。それといつどうやってデータ取ったのか後で詳しく白状するように。
「綾子が気づいているように、一回目から右肩下がり。なし崩し的に一回目を譲るわけにはいきません」
「チッ。あとちょっとだったのに」
「じゃあどーすんの? 線形に落ちてないから折返し逆順にしても不公平になるし」
「佑香さんの言う通り。そこでサンプル数を百回として、式で補間したのがこちら」
「これ母集団が佳苗相手に偏ってない?」
「ご安心を。前立腺にスパイ精霊を仕込みまして、全数サンプルにしました」
「便利ですね」
泣ける。今すぐ外してください。
「精霊をチューニングすれば、量だけじゃなく濃度とか成分もデータ収集いけそう」
「体調面や栄養摂取を入力にしよう」
「そう、いずれはデータベースとして集積して、当日どのくらい出せるかを完全管理できます」
「「おおー……!」」
謎の拍手が沸き起こる。やっぱり学術的に分析するのはやめてェ。
これで夜伽のスケジュールが十年先まで組める、とか皆はしゃいでいる。彼女らにとってみれば大発明らしい。あっれ、おかしいな。部屋に入ったときは凄く凄く色っぽくなかったっけ。頭痛がしてきた。
「げ、これってもしかしてお相手ごとの量も可視化しちゃってる?」
「……しちゃってます……」
「やば、えー、一番誰だろ?」
「ふふ、実は一回あたりの一番は私です。ぴーす」
「うわ、綾子じゃないんだ」
「綾子は翌朝のもう出なくなるまで続けるので……。こんな澄ました顔していますが、やっていることは猿と同じです」
「こほん! ちょ、ちょっと待った。せっかく回数・量関係を求めたのだから、それベースに平均からの上振れ量で見るべき」
「変なとこで負けず嫌いだし」
「……ええと、それだと椿先輩が優勝ですね」
「あ、あら、なぜ私でしょう」
「なぜなら葉介くんはおっぱい魔人だからです」
あー……と納得の声が合唱する。仕方ないでしょ。大きいので挟まれるとドバドバなるの。
プレイ内容もデータベースに登録しよう、と頭のおかしい〆め方で打ち合わせは完了し、俺は寝具にものすごい力で引きずり込まれた。
――
ようやく全員分満足させて一息つく。
最初は馴れ初めのことを謝ってばかりだったルリも、
大人の女性として余裕をかましていたミカゲも、
先ほどの解析手法の理解でマウントとってきたみなみも、
どうにか優位に立って荷物持ち役職を復活させたい皐月も、
流石にそのサイズにも慣れたwと鼻で笑うアンナも、
胸の大きさが効くと聞いて俄然はりきった椿も、
どうしてもと土下座するなら貯金半額譲ってもいいたっぷり溜め込んである今すぐ土下座するなら全額にしてあげてもいいという毎日タイムセール状態の佑香も、
ひとり残らず快楽の波で呼吸困難にしてあげた。
さっきからガニ股晒した潰れカエルのような体勢で、仰向けになったりうつ伏せになったり。ひくひくとベッドの上で気絶している。
彼女たちを全部自分の手で幸せにしてあげたという、達成感が実に心地良い。お次は妙な研究ばかり進める佳苗を懲らしめ躾けて、最後は綾子の番。
「ふ、ひー……♥ ひーっ♥ お“っ、まって……」
「はい、追加一セットだよ綾子さん。がんばれ、がんばれっ」
「ど、どうして! もー! どうしてベッドの上だと勝てないの! もう、葉介に本気出されると全然無理! 勝てない! ずるい! ずるしてる!」
「なんでだろね。革命スキルは使ってないよ」
「うう……! こんなへなちょこ男なのに……この時だけは強いんだから……んんん!」
がばりと開いて受け入れた状態から、弱い内臓ばかり「とす♥とすっ♥」と狙われると勝てるわけ無いと思うのだが。
万事負けるのに慣れていない綾子の方は、この不利な体勢からでもどうにかしようと頑張っている。ぜえぜえ言っている。可愛い。頑張れ。
「よーし、そろそろ俺も反撃するぞ」
「……く、くっ」
「えいえーい」
「う……ま、まけ、まいった、まけましたっ!」
「勝ち~」
「あ”! す、ストップ、参ったって言った! テイム、が、追加されちゃう! 重ねがけされちゃう! お”っ!」
びびくん!
とのけぞって喉元を限界まで伸ばした綾子。その下腹部にテイム成功時特有の魔力がこびりついていく。
「おー……テイムは倒した時に発動するけど、こういう倒し方でもオッケーなんだ。っていうか重ねがけありなんだね」
綾子の他にも、ぐったり伸びている少女たちのへそ下や尾てい骨あたりに、ぼんやりと俺の魔力が定着している。ついうっかり全員テイムしてしまった。テイムのおまけ効果で椿の弓術や皐月の剣術も獲得だ。
今日のところはこれで勘弁するか。ファッション部門担当の皐月と共同開発した下着で包んで紐を結んであげる。それぞれに似合う柄の特注品だ。貞操を守る最上級幸運魔法バフ付き。
それに包まれた中身が完全に俺一人のものだと噛み締めながら紐で止める。
「く、ひ、だ、だめ……重ねがけとか反則……っ」
「一回も二回も変わらないのでわ?」
「か、変わります! もう、魔法音痴の葉介は分からないだろうけど。こ、これだと……テイムの魔力が魂まで染み込んで、来世も、その次も、次の次も掌握されちゃうでしょ……!」
「問題ないのでわ?」
「ら、来世も一緒ってこと?」
「そうだね」
綾子の方はしばらく唸っていたが、そこまで言うならと認めてくれた。もう二回重ねがけしておいた。
めでたしめでたし。超幸せだ。みんなとずっと一緒に暮らせればあとは何も要らない。
――
その満ち足りた幸せは、一つの早馬の知らせで突如切り裂かれた。
ムラクモ・ジル率いる艦隊敗北。南方の海荒れること甚だしく、艦隊の多くが撃沈されたとのこと。




