弱気な自分
冬の寒さが身に沁みる。
枯れ葉ひとつない木々の枝を揺らす寒風。
クリスマスを控えた街並みはイルミネーションに彩られ、行き交う人々の幸せそうな笑顔。
子供達の楽しそうな笑い声。
いつもなら微笑ましく見ている光景も、こころの寒さには勝てずに全てが灰色に見える。
いつもは強がっているけれど、街に流れる楽しげな音楽のせいか、色とりどりに木々に揺らめく煌めきのせいか、心なしか弱気な自分が顔を出す。
去年のクリスマスはどうだったっけ。
ああ、先日別れた彼とレストランで食事して、その後大きなツリーを見に行って。
そのツリーの前で『来年のクリスマスもまた一緒にこのツリーを見に来ようね』なんて。
ウソばっかり。
でも、その時は本心からそう思ったわけで。
決してウソじゃなかったわけで。
やっぱりこの世の中に確かなものなんて、きっとないんだろう。
恋愛だってそう。いくら好きになっても、いくら好きだと言われても、その気持ちが、その想いが永遠に続くなんてことない。
今までずっとそうだった。
握りしめた手から零れ落ちる砂のように、はみ出した想いが零れてゆく。
なんでこんなに苦しいのか。なんでこんなに切ないのか。
退屈な日々の中で、呼吸をするのもままならない。
なんのために同じような日々を繰り返すの?
答えなんて誰も知らない。
ただひとつわかったこと。
この世の中に確かなものなんて……きっとないんだろうってこと。
ああ、ひとつあった。
この時期はとてつもなく寒いってこと。
身体も。そして心も。
お読み下さりありがとうございました。
次話「最高のクリスマス・イヴ」もよろしくお願いします!
本日、クリスマス・イヴの夜に更新します。