確かなものはない
この世の中に確かなものなんて、きっとないんだろう。
よくは解らないが、ただ漠然とそう思っていた。
たとえば、恋愛だってそう。いくら好きになっても、いくら好きだと言われても、その気持ちが、その想いが永遠に続くなんてことないと思ってる。
今までずっとそうだった。
『ああ、この人が私にとっての大切な人なんだ』
何度そう思っては離れてしまったか。
振られたわけじゃない。
私の気持ちが続かないのだ。
学生時代からずっとそうだった。
片想いの相手がいて、ドキドキしながら日々を過ごして。
少しずつ少しずつ距離が縮まって……そして。
告白されてめでたく付き合い始めて。
最初は楽しい日々を送りながらも、そのうちに少しずつ『なんか違うな』って。
一度そう思ったらもう後はだんだん嫌になっていくばかり。
あんなに心待ちにしていた連絡さえも、うっとうしく感じてしまうほどに。
あれだけ好きだった気持ちはどこへ行ったの?
いつもいつでもどんな時でも考えていた人を、こんなにもあっさりと『どうでもいい人』と認識できるようになるなんて、我ながら呆れる。
もう一度好きになろうと努力はしてみるけれど、いくら頑張っても一度迷子になったこころは、もう元に戻ることはない。
どうしてだろう。
そんな繰り返し。
握りしめた手から零れ落ちる砂のように、はみ出した想いが零れてゆく。
なんでこんなに苦しいのか。なんでこんなに切ないのか。
退屈な日々の中で、呼吸をするのもままならない。
なんのために同じような日々を繰り返すの?
答えなんて誰も知らない。
ただひとつわかったこと。
この世の中に確かなものなんて……きっとないんだろうってこと。
人の気持ちも変わってゆくもの。
あの大空を流れる雲のように、同じ状態ではいられない。
きっとそれらの出逢いは、私にとっての本当の出逢いではなかったのだと、こころに言い聞かせてはまた誰かを好きになる。
そしてまた……。
お読み下さりありがとうございました。
次話「言うまでもない」もよろしくお願いします!
更新は明日の朝の予定です。