7.新しい服
なんやかんやとあったがようやく報酬を受け取った俺はギルドの扉を勢いよく開けまだ間に合うと信じて服屋へ向かおうとしていた。
「頼むから間に合ってくれよーあの身なりじゃ飯屋どころか堂々と道も歩けねぇ」
報酬の入った袋を握りしめいざ走り出そうとすると
「よお兄ちゃん。ずいぶんと稼いだみたいじゃねーか。俺たちもあやかりたいもんだぜ」
そう声をかけられた。
声のした方を向くと大柄な男を中心に4,5人の冒険者らしき集団がいた。
あーなんでこう急いでる時に限ってめんどくせーのが次から次へと・・・
「あーそうか勝手にあやかってくれやこっちは急いでんだどけ」
「まぁそういうなよ。その袋の中身をちょっとばかし分けてもらえりゃそれでいいんだ」
「ざけんな。これは俺の金だ。道開けねぇってんなら押し通るぞ」
「いい度胸じゃねーか。できるもんなr」
男の声はそこで途切れた。
既に走り出していたシロの飛び蹴りが男の顎に直撃しそのまま倒れ伏したからだ。
「ほんとに急いでんだ。わりーがまた今度な」
男に飛び蹴りした勢いそのままに走りながら、俺はリーダー格の男が一撃で倒され呆然としていた男たちにそう言って走り去った。
「まーた余計なことで時間食ったな・・・間に合ってくれよ」
やっとの思いで服屋の近くまで来るとまだ明かりはついている。
店の外に飾ってあった服を中へ持ち込もうとしている男に走りながら声をかけた。
「おいオヤジ!まだ店開いてるよな!な!」
「おいおいどうしたそんなに急いで。店閉める途中だったが何か買うってんなら開けてやるぜ」
「はぁーそうか。助かる。んじゃこのくらいの背をしたガキの服を一式頼む」
「予算は?」
「高いもんじゃなくていい。それなりに見れるような奴ならそれで十分だ」
「よし。ちょっと待ってろ」
「こんなもんでどうだ。金は全部合わせて・・・金貨1枚ってところだな」
オヤジの見繕った服装一式を見てそういえばと自分のミスに気付いた。
「あーわりぃ。女だって言い忘れてたわ。大して変わらねーだろーが」
「馬鹿言っちゃいけねーよあんちゃん。ガキっつっても女ならそれなりに奇麗にしてやんな」
「めんどくせーなー・・・それじゃ金は金貨一枚でいいから新しく女用に見繕ってくれ」
「よしきた」
「よし。これでどうだ」
「服のことはよー分からん。オヤジがいいってんならそれでいいだろ」
「どういう関係か知らねーがもちっと女の事勉強しなよあんちゃん」
「よけーなお世話だ。これ金な。んじゃ世話になった」
「おう。まいどありー」
買った服をオヤジに用意してもらった袋へ詰め込んで足早に宿へと向かう。
ゆっくり湯浴みをしたとしても十分な時間はたったはずだ。
早いとこ迎えに行って飯が食いたい。
もうじき長かった一日が終わりそうだ。