3.出会い
「どれがいいかね・・・」
何分刀しか振り回してこなかったからまっとうな仕事はできない思っていたわけだが渡りに船というかなんというか。
どの依頼もどこそこで魔物が出たから討伐してくれだの、山に薬草取りに行くから護衛してくれだの、最近町に盗賊団が出てるから退治してくれだの・・・まぁ丁度いいっちゃ丁度いいか。
「ご丁寧にランクの指標までついてやがる」
そういやさっき受付の女もそんなこと言ってたような・・・気がしないでもない。
そんな荒っぽい内容の依頼書の中で俺の目を引いたのは盗賊団退治の依頼だった。
金払いがいいのはもちろんだが個人的に思うことがあったのだ。
「ランクは・・・Cランク向けね・・・」
どの程度のやつらかは知らんが試しにやってみようか。
なーに、死んだら死んだでまたジジイに喧嘩売りに行こう。
カウンターに依頼書持っていったらめっちゃ怒られたけど自己責任で受けられるらしいので受けてやった。
依頼終了の証明は盗賊団の頭がつけてる腕輪を持ってくることだそうだ。
首でも持ってきたほうが話は早そうなもんだがな・・・
そんなこんなで依頼は受けられたからさっそくと思うんだが、盗賊なんてのは動くのは夜って相場が決まってる。
時間でもつぶすかとなけなしの金で団子を買い宿への道を辿っていた俺だったが。
「盗人だ!盗人が出たぞ!」
「例のガキだ!追いかけろ!」
「逃がすな!」
盗賊団・・・じゃなさそうだが・・・
嫌な予感もするしな、俺も追いかけてみるか。
「クソ!あのガキどこへ消えやがった!」
「盗賊団だけでも目の上のたんこぶだってのによ!」
「見つけたらただじゃおかねぇ!」
「・・・」
少女は息を殺して大人たちが去るのをじっと待っていた。
生きるのに必死だった。全力だった。
そのためには盗みくらい平気でやった。人も・・・殺した。
他人を殺してでも生き残りたかった。
やがて大人たちの気配は消えて少女が路地裏に姿を現すと
「よお」
「!?」
突然声をかけられた。
気配はなかったはず。
短い生ではあるがそれなりに修羅場はくぐってきた。
ただの人には決して見つからない自信はあった。
しかし見つかった。ここからの逃走は不可能。ならばもう・・・殺すしかない。
少女は腰の後ろに差した短刀を右手で引き抜こうとしたが
「いいさ、行けよ」
「・・・」
目の前の男が何を言っているのかわからずしばらく固まってしまった。
しかしそれも男が道を開けるように背中を壁につけたのを見て解けた。
何のつもりかは知らないがこの男は私を見逃すつもりなのだ。
私は男の横を走り抜け町の外を目指した。
盗んだ品を盗賊団の頭に渡すためだ。
この仕事が成功したら私を盗賊団に迎えてくれるとあの男は言った。
私はまだ生きていたいのだ。