2.麓の町
「さて、どうしたもんかな」
意気揚々と山を下り麓の町まで到着し宿を取ったまではいいが、金がない。
山でジジイと暮らしてた頃はほぼ自給自足で何とかなっていたが、やはり旅をするというのに路銀がないのはシャレにならん。
ジジイから拝借した金がまさか宿一泊分にしかならんとは夢にも思っていなかった。
「あー面倒だ・・・つってもしゃーねーし。とりあえず宿の主人にでも聞いてみるか」
恰幅のいい女主人の話では冒険者ギルド?とかいうところに行けと言われた。
なんだ冒険者ギルドって?仕事でも斡旋してくれるのかね?
なんてことを考えながら道行く人々に尋ねながら探すことしばらく。
ようやく目的地に着いたようだ。
さびれた町には似つかわしくないでかい建物だ。
とりあえず金の匂いはしそうだな。
扉を開けると汗、泥、酒それとかすかに血の匂いの混じった何とも言えない匂いが漂っていた。
何はともあれまずは仕事を貰わなけりゃならない。
カウンターのようなところに女が立っている。あそこで聞いてみるか。
「冒険者ギルド、アジン支部へようこそ。本日はどのようなご用件ですか?」
「あー仕事を貰えると聞いてきたんだが」
「・・・失礼ですが初めてのご利用でしょうか?」
「ああ、そうだ」
「でしたらまずギルドへの登録をお願いしたいのですが」
「ん・・・旅をしてるからこの町に長くいるつもりはないぞ」
「ご安心ください。登録さえしていただければどこの町でも冒険者ギルドから仕事を受けることができますよ」
「どこの町でもって・・・ずいぶんでかい組織だな」
「?」
「ああいや気にするな。それじゃ登録を頼もう」
「わかりました。少々お待ちください」
あの反応からするに冒険者ギルドってのは広く知れ渡っていると考えて間違いなさそうだ。
こんなことならジジイについてもっと街に出とくべきだった。
あーくそ・・・めんどくさがるんじゃなかった・・・
「お待たせ致しました。それではこちらに名前と扱う武器についてご記入ください」
「ああ」
「これでいいか?」
「拝見しますね。お名前は・・・フフッなんだk」
「笑うな。気にしてんだから」
「申し訳ございません。武器は刀ですか」
「ああ。こいつらだ」
腰の大小に手を添えて見せる。
「はい。わかりました。以上で登録作業は終了です。続いてギルドの説明に入らせていただきますがよろしいでしょうか?」
「ああ、頼む。なるべく手短にな」
その後手短にといったのが悪かったのか、それとも手短にしてああなのかわからんがギルドについての説明を受けた。
後半はあまり聞いていなかったが大事なことは前半にまとまっていたようで何とか覚えている。
冒険者ギルドに所属する冒険者にはランクがあり最低がE、最高がSだそうだ。
そんで俺が今Eランクで、依頼をこなしていくとランクが上がるらしい。
ランクが上がるとギルドから何らかの特典があるらしいがその辺は聞いてなかったからわからん。
あとカウンター横の掲示板に依頼書が張られているから受けたい仕事を選んでカウンターにもっていくだったかな。
さぁ金のために一働きしますかね。