003入学式前日2
よろしくお願いします
湊は部屋を出ると、右隣の部屋の壁をノックした、すると部屋の中から先ほど聞こえた声で返事が返ってきた。
「誰だ?俺の部屋を訪ねてきたのは」
「すみません、先ほどの隣の部屋の者ですがー」
「ふむ、少し待ってくれ、今らか扉を開ける」
すると足音が近づいてきて、部屋の扉が開いた、部屋から出てきた男性は、身長が180程度、筋肉質な肉体をしており、尚且つ厳つい顔をしていた。
「どうした?腰が引けているぞ?」
「すみません、正直いいにくいのですが・・・」
「あーそうだったな、初見で俺を見た奴はいつもこんな感じになるのを忘れていた、すまないな、毎年こうなんだ。体格と顔だろ?」
「そう・・・です・・・ごめんなさい」
「はっはっは!気にするな」
彼は一歩、俺の方へ近づいてくると、背中をバシバシと笑いながら叩いてきた。
「それで?さっそく相談にも来たのか?さっきの顔のことは気にしないでいいぞ?先輩に何でもいってみろ」
先輩だったのか、なら知っているはずか・・・顔にびびったのは申し訳ないが、やはり知っている人に連れて行ってもらって、ついでに先輩ってことで手本を見せてもらうのがいいのか?それの下を適当に基準にして自分の実力を決めるのがいいかな?
「えっと、いつも魔法の練習をしているので、今日もいつもどおりと思ったのですが、先日、入寮したもので、訓練施設の場所がわからず、案内していただけないかと思いまして。お願いできないですか?」
「ふむ、朝練ということか、この階に部屋があるということは特待生だよな?生徒手帳を貸してみろ」
ズボンのポケットから生徒手帳を取り出し、先輩に手渡しする。先輩はパラパラと生徒手帳をめくり、お目当てのページがあったのかそこで止まった。
「ふむ、これなら問題ないな。俺ももう少ししたら朝練に行こうと思っていたのだ、そのついでだ、連れて行ってやろう、準備をするので、少し待ってくれないか?」
「ありがとうございます、ここで待ってます。」
「すぐにすます」そういうと先輩は部屋の中に入っていった。待つこと数分、上質な袋を片手で肩に担ぎ、先ほどとはうって変わって、魔法使いらしい格好をした先輩が部屋から出てきた。
「案内するぞ、こっちだ」
部屋を出た後、先輩は生徒手帳を部屋のドアノブの少し上の四角いスペースにかざし、袋の中へ入れた。一瞬光ったように見えた。
「それは?」
「ん?これか?生徒手帳を読めば書いてあるが、部屋のロックだ、俺等特待生は個人の部屋を持つことを許可されている。プライバシー保護の為、盗難防止の為、こうやって部屋に鍵をかけておくんだ。最新式で3年前に導入された物だったはずだ」
「へー、よく読んでいませんでした、鍵をかけてきます」そういうと隣の自分の部屋の前に行き、先輩と同じように鍵をドアノブの上のスペースにかざした。すると同じように一瞬光った気がした。
「よし、それじゃあ朝練に行くぞ、特待生専用の訓練施設へ向かう。一般生徒と同じ訓練施設に行ってもいいが、そちらは朝練の為に使っている上級生が結構いるはずだ。初めから便利な方を教えておく。特待生専用の方が色々と便利だからな」
「何か違うんですか?」
「違うな、まず、訓練施設に備わっている防衛機能が数倍良い、まぁ俺等がやりすぎても建物が無事に残りやすいってことだな、使われている資材全てに常駐式の防御魔法が組み込んである、これは一般生徒用に使われている資材の8倍以上の防御力を誇るそうだ、中級魔法、魔力を抑えた上級魔法なら耐えきる。そしてそこそこ広い、校庭の4分の1はあるだろう、最後に専用図書室がある、知りたい情報がほぼ全てに手に入るはずだ、まぁ全てといったがこの学園で使用される技術に関してほぼ全てと言い換えておくか、まぁ便利だ、国家機密ギリギリの本が残っていたり、逆にここの本が機密に指定されることもある、さらに年に8回新しい本も増える。豆知識ではないが、そこにある本は全て学校長の物だ、趣味で魔道書やそれに連なる本、世界の様々な技術が載っている本を漁っているらしい、置く場所がなくなった来たので、それならいっそ実力がある特待生に開放してその技術を伸ばす手助けになれば良い、といってこの訓練施設におかれたそうだ、持ち運びはできないが、一般生徒には解禁されていない本が大量にあるので、俺もたまに足を運んでいる」
話の合間合間に相槌を入れながら先輩の話を聞いていく、まぁこの世界での俺を知る上で、この世界の情報を得る上で便利な場所との解釈に落ち着いた。色々と教えてくれている先輩には申し訳ないが、俺の心の中での最重要案件は、自分で魔法を使えるか、そこが重要だ。教えてもらっているのにすみません、先輩。
先輩の話はこれから少しの間続き、やっとのことで目的地に着いた、その道のりは思ったより長かった。
初めは学園の敷地内だったのだが、途中で道を外れ学園の周りを囲んでいる城壁の方向へ進んでいった、そしたら進んだ先にあった古い建物に入り、入ってすぐの所にあった階段で下へと降り、薄暗い地下通路を歩くこと数メートル、そこにある扉を開けるとあら不思議、そこは地下なのに外にいるかと勘違いするほど明るく、緑と水があふれる豊かな自然があり、尚且つ、地下空間だよね?と思うほどの天井の高さ、広さがあった。
視線を左右に振ってみると、自身の付近にはアンティークな雰囲気をかもし出したテーブルとイスが適等な感覚で設置してあり、休憩スペースのようになっていて、奥のほうに視線をずらすと、右側に石造りの大きな建物が、左手側に木造建築物の大きな建物が、そして正面に貴族でも住んでいるかのようにしっかりとしたつくりの家らしきものがあった。
「はっはっは!なにやら固まっているようだが、さすがに驚いたか、そうだろうそうだろう、俺も初めて此処に来たときは驚いた。さて、ここが特待生の持つ許可証がないと入ることのできない、特別訓練施設、タルト荘だ」
「・・・・・・」
「まだ驚いているようだな、まぁ軽く説明するので耳だけ動かしておけ。まず右で側にある石造りの建物が、まぁ魔術などを使って訓練するために作られた訓練施設だ、そして右側にある木造建築の建物は先ほど説明した、学校長の本が置いてある図書館とでもいおうか、真ん中にある建物は、特待生なら誰でも使用することができる宿舎だ。」
「地下なんですよね?」
「あぁ地下だ。特待生である限り自由に使って良い場所だぞ、ちなみにだが、卒業した後も、使うことはできる、まぁ学校長に気に入られたらだがな。運がいいと御偉い様方や、有名人に会うことができるかもな。さて、図書室と正面の宿舎はまた今度ゆっくりと見るといい、今は訓練施設だ、呆けてないで行くぞ」
先輩は驚いている俺の肩に腕をかけると無理やり訓練施設へと引きずっていくのであった。
湊(地下空間すごい、さすが異世界)
先輩「はっはっは!後輩よ!そろそろ戻って来い」
湊の体を強めに先輩が揺すり、ぐわんぐわんと頭が揺れる
湊「だいじょうぶれす、ゆらさないれください」
先輩「おっとすまなかったな力加減を間違えたようだ」
湊「うっ!オロォ・・・ゴクン、危なかった」
人の頭を過度に揺らすと気分が悪くなり最悪吐きそうになるので皆さんやめましょう、私との約束ですよ。私も吐きかけたことが・・・・ナッナイデスヨ?