第6話 以外な特技
周りがザワザワ騒がしい。
ゲーム機の音やら遊んでる人達の声が大きく、五月蝿い。
ゲームは嫌いなわけじゃないが人が集まる場所は俺にとっては息苦しい。
「三夏ちゃん、美鈴ちゃん!何する?」
「そうね、私は何でもいいわ」
「私も何でもいいですよ」
そして、どういうことか三夏とその姉、美鈴もいるのだ。
「じゃーね!リズムゲーム!」
陽菜がいつも以上に楽しそうで、
「姉さん得意だもんね」
遼も心なしか頬が緩んでいる気がする。
「それならお兄ちゃんも負けないよ!」
「なんで俺なんだ……」
雪那も、よくわからない対抗心で俺を指名してきた。
確かに得意といえば間違いではないが。
「よーし、レッツゴー!」
陽菜を先頭に雪那、遼、俺、三夏、美鈴とゾロゾロとついていく。
陽菜の身長では、先に進まれると人混みに飲まれて時々見えなくなり、はぐれないか心配で仕方がない。
足元に光る感知パネルがあり、テレビの画面ほどの大きさの画面のついた機械の前に陽菜が立つと、早速百円玉を一枚取り出し、俺も陽菜に一枚渡し、機械に入れた。
「陽菜ちゃん、踊れるの?」
三夏が意外そうに尋ねる。
「うん!もちのろん!」
ニッと歯を見せて笑った陽菜は、画面に向き直り選曲する。
もちろんというか、難易度は最も難しいもの。
「負けないからね、しんくん!」
「おー、頑張れ」
始まれば軽快に足を動かしステップをし、パネルを踏む。
陽菜の動きに合わせて二つに結んだ長い髪がワンテンポ遅れて揺れる。
アドリブの振り付けまで付け余裕のある風だった。
そのダンスは周りの人を引き込み、人々の注目は陽菜に集まっていた。
得点は百点満点設定のゲームで、どちらがより高得点を取れるかを陽菜と競うことになっていっていた。
踊り終えた陽菜は少し息を切らせながら画面に見入る。
得点発表がされ、画面には[97.8点]と出ていた。
「うーーん……」
普通の人は叩き出せない高得点だが不満そうな陽菜。
そんな陽菜に反して、周りで観戦していた人々は大きな拍手と喝采を送っていた。
「次は俺か……」
「お兄ちゃん、がんばって!」
このゲームは二曲遊べるため、途中で陽菜と交代して踊る。
フェアにするために、同じ曲、同じ難易度を選択。
結果は[99.7点]。
「やっぱりー。うぅ……」
予測していたかのように言う陽菜。
周りで観戦していた人たちは驚きで固まっている。
「なんで普段外に出ようとしないあんたがそんな点数叩き出せるのかしらね」
「真也さんすごい特技ですね!陽菜さんも!」
そしていつも通りのこの姉妹の話し方の温度差。
「でも全国三位の陽菜ちゃんに勝っちゃうお兄ちゃんって一体……」
「ほんと、そうだよね〜。雪那ちゃんの言う通りだよ。どうしてだろうね〜」
雪那は頭を抱えてしまい、遼はあくまでもマイペース。
俺にもわからねぇ……運動神経だけは良いんだよな。
あー、でも中学の時の部活動が体力作りの手助けをしたっていうのはあるかもしれない。
でも、三夏の言う通りで外出とかあんましたくはないし、まずしない。
「で?この後何するの?」
仕切り直すように三夏が声を上げ、
「遊びまくるよ〜〜‼︎‼︎」
それに対して、元気に宣言した陽菜の声はゲームの機械音に勝るほどのものだった。
______そんなこんなで、結局日が暮れるまで楽しんだ。
ども!えーと、話の中に出てくるゲームは作者、やったことがありません!w
なので、「え?ここなんか変じゃない?」ってとこがあったらごめんなさい。
今はまだ、ほのぼのした彼らの日常を楽しんでいただけたらと思います。
それでは、また次回!
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