賑やかMy Way
私は傍らの彼に聞いた。
「起きておくれ。私に道を教えてくれないか」
「車ですか? 徒歩ですか?」
「歩いていきたい。遠いかね?」
「いいえ問題ありません。私の言うとおりで10分です」
「それは良かった。それじゃあ早速出かけようか」
私は外に歩き出す。
「この道まっすぐ行ってください。二つ目の信号は右へ」
「もちろんわかっているともさ」
「お次は左に行ってください」
「左に道はないようだよ」
「おっと行き過ぎ。戻ってください」
「こんなところにあったのか。私じゃ見落とすところだった」
「まったく世話の焼ける人ですね」
「じゃなきゃ君に頼らないさ」
「しばらくまっすぐ大通りまで」
とんとん歩いて進んでいく。
「おやおやなんだか騒がしい。一体何があったんだろう」
「さあて私は知りません」
「こちらに来るよ。なんだろう」
『火事だ。火事だ。大変だ。ちょっと通してくださいましよ。急ぎに急がにゃ間に合いませぬ。さあさあ火事だ。大変だ。仕事のためゆえお許しを!』
「火事とはそりゃあ大変だ。私の家は大丈夫かね?」
「私に答えは出せません」
「どうも冷たいじゃないか」
「それより次は斜めの道へ」
「そうか私は出かけてるんだ。目的地はどのくらい?」
「もう着いています。あなたの右側」
「本当だ。あっという間だね。さあ中に入ろうか」
「いらっしゃいませお客様。どうぞ中にお入りください」
「これは気の利く対応だ。ありがたく通してもらおうか」
「通りましたら離れてください。中へ奥へ進んでください」
「確かに邪魔だ。ありがとう。私は奥へいくことにするよ」
入ってぐるりと見回した。
「ここはいったいなんなのかね?」
「ここは便利屋。揃いの店さ。あなたも困りごとを解きませんか?」
「それは嬉しい。さっそく見よう」
「どうぞどうぞ。見るものこちらにそろえてあります」
「いやはや気の利く店だこと。ところでお前は何者かね?」
「私は明かり。文字の太陽。あなたの手元を照らす灯」
「なんとも小さいじゃあないか。本当に役に立つのかね?」
「もちろん役に立ちますとも。私はあなたに知識を与える。知識を与える手助けをする」
「そこまで言うなら試してみようか。いくら払えばいいのかね?」
「元の価格は1500円。も少し高くて1620円」
「私はどちらを払えばいいのだ?」
「後の値段が必要ですよ」
「ならば最初の価格は必要ないな。なのに何故二つある?」
「まあまあ怒りはごもっとも。しかし変化は世知辛い。どうぞ努力を汲んでください」
「そんなもんかね。仕方ない。それじゃあ一つもらおうか」
「ありがとうございます。またどうぞ。お荷物は私がお預かりしましょう」
「その必要はないよ。ありがとう。さあて次はどこへ行こうか」
「ちょっと待ってくださいな。周りを重くするつもりなのでしょう。しかし私が軽くていいのですか?」
「ああしまった。忘れていた。先に行くべきだったね。お望み通り君を肥えさせよう。まだまだ私は帰るつもりはないからね」
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「筆者の考え」「理詰め」「読点」「50文字より多い地の文」「現実に存在しないもの」「第三者(物語全体を見ている何某)」を抜きました。
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