9.沖田、行きます
会社だと、こういう話あるんじゃないかな・・・ ないわw
■■9.沖田、行きます
サスケ君はようやくショック状態から戻った。 しかし動ける状態ではない。 永倉はめずらしくイライラしていた。 サスケ君をここに置いて、沖田君達のところにいくか・・・ いや、それは駄目だ。 ふと気配がした。 冒険者が何人かこちらに来る。 赤坂さんがギルドで声をかけてきてくれたようだ。 驚くべき機転だ。 永倉は冒険者にサスケを町まで運んでくれるようお願いし、沖田君達のところに向かうことにした。
爆発音がする。 おそらく赤坂さんの魔法だろう。 続けてもう一度。 永倉が見たものは、丸こげになったオークだった。 そして逃げ惑うゴブリン達。 沖田君らしいものに駆け寄る赤坂さん。
赤坂さんは沖田君に何度も回復呪文を唱えていたが、やがて沖田君は光に包まれた。 死亡したのだろう。 泣き崩れる赤坂さんをしばらく見つめるが、赤阪さんに声をかける。
沖田君の死体がそこに残っていれば、赤阪さんは動くことを拒否しただろうが、赤阪さんは町に戻ることに同意してくれた。 そう、沖田君を迎えに行くために。
町に戻り、サスケ君を受け取り。ギルドへの説明を終えて、ようやく戻ってきた。
「たいした奴だ。」
沖田くんといい、赤坂さんといい、若手の域をこえている・・・
永倉はこの後の事後処理を考えると憂鬱だったが、自然と笑みが浮かんでしまう。
◆◆
永倉さんに声をかけられ、町まで戻ってきました。 町でサスケに会うまで、サスケのことは忘れていました。 先輩としては失格でしょう。 でも、今はサスケの顔は見たくなかった。 永倉さんがギルドへの説明などをしてくれたので、助かりました。 今の私にはとてもできそうにありませんでしたので。 一人前になれたような気がしていましたが、まだまだでした。 でも、初めて目の前で仲間が死ぬのを見ました。 しかもよりによって、沖田さんが・・・ そういえば、私はこれまで仲間が死ぬのをみていないことに、ようやく気がつきました・・・
戻った私がしたことは、斉藤課長にサスケの転属を訴えることでした。 サスケはそのまま病院に運ばれたらしいので、ここには居ません。 斉藤課長の答えはノーでした。 納得いきません。 ・・明日は休暇をとるようにと言わました。
◆◆
気がつくと、永倉さんが居た。 しばらくして見慣れない冒険者がきた。 自分は冒険者達と町に戻った。 そういえば、沖田さんがいないことに気がつく。 町でしばらく待っていると、永倉さんと赤阪さんが戻ってきた。 沖田さんは居なかった。 赤坂さんの目が怖い。 どうやら沖田さんは自分を助けるために、ゴブリンたちの集団に突っ込んでいって死んだらしい・・・ 自分が情けなかった。 自分が勝手に動かなければ、沖田さんは死ななかった。 そう、自分が沖田さんを殺したようなものだ。 いくら生き返るとはいえ、それは人として許されることではない。 戻ってくると、そのまま病院へ連れて行かれた。 このあとどうしようか・・・ 自分はこの仕事を続けられるのか。 続ける資格があるのか。
◆◆
「沖田さん、体温測ってね。」
「はい、はい。了解です。」
いや、ひさびさに死んだわ。 まあ、とりあえず、みんな無事だったみたいだし、よかったよかった。 ということで、会社規定により、一週間ほど入院中だ。 一応、3日間は面会謝絶。 なぜなら、体は仮想身体で影響ないけど、死んだという精神的なダメージが残るため、その経過を観察する必要がある。 まあ、人によっては、精神的不安定状態になることもあるけどね。 俺は一回もないけど。 とりあえず、明日までは面会謝絶なので、ぼーっとできる。 明後日からは、斉藤課長とか、田中とか、花子とか、永倉さんとかがやってきて、うるさくなるだろうけど。
でも、赤阪とサスケは大丈夫かね。 赤阪はどうも、仲間が死んだのを初めてみたらしいから。 まあ、大丈夫だろう。 だって、あの赤阪だもの。 きっとそうに違いない。 サスケも病院送りになったらしいから、トラウマにならなければいいけど。 ま、赤阪もサスケも、斉藤課長とかがフォローしてくれるだろうから、大丈夫でしょう。 とりあえず、休暇を満喫することにする。
◆◆
「沖田、大丈夫か。」
「あ、斉藤課長。 わざわざすみません。 忙しいのに。 ってなんで?」
斉藤課長が一番乗り、というのは正しい。 でも、なんで永倉さんはともかく、赤阪とサスケまでいるの?
「沖田さーーーん。」
いきなり、赤阪が泣きながら抱きついてきた・・・・ お前、そういうキャラだっけ?
斉藤課長と永倉さんは、やれやれって感じだ。 サスケは後ろで神妙にしてる。
うーん。 ここはやはり、テンプレ通りに頭を撫でるのが正解? 俺、そういうキャラだっけ?
頭を撫でてみる。 撫でてみる。 意外といいかも。 ふと思ったが、赤阪に「猫耳」つけたら、最強じゃね?
「沖田さん? 今なに考えました?」
うわっ。 なにこいつ。 いきなりじと目できやがった。 泣いていたのは演技?
「いや、赤阪ってかわいいな、と」
はい、演技派と呼んでください。 って、赤阪が赤くなってる・・・・ 斉藤課長と永倉さんもフリーズするのやめて!
「ところで、あの原因って分かりました?」
しょうがないので、斉藤課長と永倉さんのフリーズを解いて上げる。
「あー、やはりあの奥に新しいダンジョンができていたらしい。 まあ、規模は小さいから、それほど問題にはならないだろう。 で、おそらく、あの辺は人がはいらないから、でてきたらしい。 オークがゴブリンを統制するのは、前例もあるから、そこは特に問題はない。 まあ、定期的に討伐しておけば問題にはならないだろう。 一応、あの町は財政的には裕福だから、定期的な討伐ってことで一応解決している。」
「んー、いい感じですね。 よかった。」
「いえ、沖田さん死んだんですよ? 良くはないでしょう」
「いや、この仕事、死ぬのはしょうがないから。 むしろ、生き返るのがありがたいくらいだし。 それに、あのあとまだごたごたしてたら、ちょっとやじゃない?」
赤阪が斉藤課長と永倉さんをみる。 2人は、赤阪に向かって だろう? って表情をする。 なんか賭けてたっぽいな。
「そうそう、サスケだけど、本人から新人研修の切り上げ依頼があった。 特例だけど、認められたので、お前のチームに入る。」
「ん? チームって、俺チーム持ってないですけど?」
俺は赤阪と2人でペアを組んでいる。 チームは3人以上という規定があり、ペアはチームに含まれない。 この差っていうのは、3人以上だと、チームリーダーにはチームをまとめるスキルが必要と判断されるためである。 なので、チームを持つということは、チームをまとめるスキルがある、と認められたことになる。
「そそ、沖田君、赤阪さん、サスケ君の3人でチームだね。 チーム沖田ってこと。」
「沖田さん、頑張りましょう」
「自分も初心に戻って、一からやり直すっす。」
「いや、サスケ。 お前いまでも初心だし、二に進んでるかも怪しいくらいだから。」
「そんな・・・」
とりあえず、状況をまとめよう。
サスケはあの後会社に辞表を出したらしい。 が、当然斉藤課長は受け取らない。 なら、優先的に守られるという立場という点が論点となり、結果、新人研修の切り上げという話になったらしい。 これは、経験のある、中途採用に適用されるものである。 新人に適用された、という前例は無かったはずだ。 ただ、サスケの能力や、サスケの親の了解などがあったため、特例として認められた。 まあ、親の了解については、会社が訴えられないようにするため、っていうのが大きいと思う。 俺も同じ事をする。 特に、最近のモンスターペアレントは凄いから。 まあ、サスケの親は大丈夫だと思うが。 あと、サスケは斉藤課長や永倉さんと赤阪にがっつり絞られたらしい。 でも、斉藤課長と永倉さんのときは、神妙にはい、はい言ってただけらしいけど、赤阪のときは涙目だったらしい。 赤阪なにやったんだか・・・ とりあえず、こいつの暴走は心配しなくて良さそうなのは、ありがたい。
かくして、サスケは新人研修終了となり、チームに入る権利を得る。
次に赤阪。 こちらは、永倉さんが絶賛していた。 魔法少女としてではなく、業務としてだ。 まず、与えられた任務を正確にこなす、これは待機と情報の収集のこと。 つぎに、的確な判断、これは必要に応じて場所を割り出し、応援に向かったこと。 正直、永倉さんも、あの場に赤阪が来たことを、不思議に思ったらしい。 永倉さんですら思いつかない判断を、赤阪はとっさにしている。 これで、赤阪はサブリーダークラスの実力を持つ、と判断されたらしい。 まあ、サスケの転属要請だとか、いろいろあったみたいだけど。 でも、あいつ、いつの間に人の心を読むスキル見につけたんだ・・ 赤阪、恐ろしい子・・
最後に、俺と赤阪を足すと、まあリーダーとしてはやっていけるかな?というところに(二人で一人前のリーダーってことか・・・)、サスケという面倒なものがいるので、これをまとめてしまえ! って感じだと思う。 じゃないとありえないから。
そうそう、赤阪だけど、斉藤課長と赤阪の入る会議室に、永倉さんがサスケ連れてきたら、サスケが部屋に入ったとたんに、
「永倉さんどいて! そいつ殺せない!」
とかのたまったらしい・・・ お前なにもの? ちょっとチーム不安になってきた・・・
こうして、俺の退院をまって、チーム沖田はゆっくりと動き出した。 ・・はず。
ここから遅くなります。大筋はありますが、これから書きますので。いつになることやら。




