4.覚醒 するわけない
新メンバー(仮)追加と、ダンジョンいきます。
■■4.覚醒 するわけない
今日からまた仕事。 といっても3日間ぼけーとしてたけど。 赤坂は美容室いったり、買い物いったり、忙しかったそうだ。 こいつ何者?
部のみんなは平常運転。 あの目はもうどこにもなかった。 聞いたら、近藤部長直々に通達があったらしい。 近藤部長って素敵。 別に抱かれたくはないけど。 アバラとか背骨とか折れそうだし。
とりあえず、上条さんのところに装備を受け取りにいく。
「おお、来たか。 ちょっと待ってろ。」
上条さんが倉庫から装備を運んでくる。
「あれ? これって中級装備では?」
「ああ、結局何もなかったんだよ。 で、調べてもああいう現象はお前1件だけ。」
「つうことは、大丈夫ってこと?」
「いや、大丈夫か、って言われると、正直わからん。 どっちかっていうと、モルモット?」
「つまり、またあの現象がおきたら、データをとると?」
「そそ、さすが沖田。 理解が早い。」
「いや、納得してないから。 それおかしいから。 組合に訴えるから。」
「じゃあ、素手でいく? 死ぬけど。 それ以外の装備だせないから。」
「あれ? そういえば、前のやつって性能上げたとか聞いた記憶があるんですけど。」
「ああ、あれね。 結構みんなやってる。もっと過激にやってるやつもいるけど、それも含めてあの現象はお前だけ。」
とりあえず、受け取りました。
早速、斉藤課長に呼び出されました。 というか、土方課長ともう一名いるんですけど。
「おう、来たか。 沖田のところの新メンバーだ。」
え? この人? この人が新メンバーなの?
「1課の方ですよね?」
「ええ、2課と兼任することになりました、永倉です。 よろしく。」
「沖田です。よろしくお願いします。」
「赤坂です。よろしくお願いします。」
「うちの永倉なんだが、早い話がお前ら暴走するだろ? で、お目付け役ってことだ。」
俺達って要注意人物ってことですか?
とりあえず、遊んでいるわけにもいかないので、仕事する。例によって、簡単な討伐のお仕事by田中。
「やっぱり赤坂さんて、そのカッコなんだ。」
赤坂の魔法少女クレナイは封印されているけど、そのほかはOKがでたらしい。 今日は魔法戦隊チャーリーだった。 ま一人だけで戦隊というのかどうかは知らないが。
「それって魔法戦隊チャーリー? 凄く良くできてるね。」
永倉さん、何で知ってるんだ? 結構マニア?
「ふふふ、オーダーメードです。」
お前のって、オーダーメードなのかよ!! つうか幾らするんだよ!
「あの、永倉さん。 その装備って・・・」
それより永倉さんである。 漆黒の装備。 たしか1課の選抜部隊である超エリート 通称<ブラックシャドウ>の装備だったはず
。
「ああ、これ? 代わりが間に合わなくてさ。」
「それってブラックシャドウの装備ですよね?」
「そう。 結構いいよ、これ。」
いや、それ結構じゃなくて、うちの最高の装備だから。
「永倉さんてブラックシャドウってことですよね。」
「うん、そうだけど?」
「なんでうちらみたいな底辺に・・・」
「ああ、それ? 土方課長に頼まれたってのもあるけど、あと真田課長からも頼まれたか。 それに個人的に興味あったし。」
その興味って、赤坂のカッコ? さっきから赤坂のカッコをガン見なんですけど。
途中、赤坂が今回の案件の説明をする。
「今回の案件は、最近良く魔物が現れて被害が出ているということで、その付近の討伐。 数は大体5匹ぐらいのグループが複数確認されているとのこと。よって、トータル20匹がノルマです。 魔物の種類については、ダークウルフとか、ゴブリンとかが確認されているようです。」
まあ、田中の簡単なお仕事も、今回ばっかりは信用してよさそうだ。 永倉さんもいるし。
ドンガラの冒険者ギルドに到着。 安定の「猫耳」お姉さん。 沖田はモチベーションが上がった。 でも「猫耳」お姉さんの視線は永倉さんに向いている。 沖田は100のダメージを受けた。 沖田は倒れた・・・ 仕事しよう・・・
指定地域に到着して、とりあえず回りの調査を進める。 レーダーを見る限り、この辺には2グループが確認できている。 西側のグループから討伐することにする。
「じゃあ、俺はここでみてるからがんばって。」
え? お目付け役ってみてるだけ? にっこり笑いながら見送られた。
「じゃあ、ファイア(範囲)で奇襲かけますね。」
「了解。よろしく。」
赤坂が、ダークウルフの集団にファイア(範囲)を放つ。 何匹かがそのまま崩れ落ちる。 残りが俺達に襲い掛かってくるが、俺がひきつけて、1匹づつ倒していく。 その隙に赤坂もファイアを放つ。 範囲だったらやだな、と思いながら、ちょっと動いたのは秘密。 赤坂は気がついていないみたい。 よかった。 あっさり全滅させる。 赤坂が周囲を警戒しているうちに、俺は討伐部位を切り取っていく。 ちなみにダークウルフの討伐部位は尻尾。 もふもふ。 でも血がついているので、あまりうれしくはない。
場所をかえて、北側も討伐していく。 こっちはゴブリンだった。 こっちは7匹。 まあ、ゴブリン7匹は楽勝。 どっちかっていうと、ダークウルフのほうが面倒かな。 西側にレーダーの反応があった。 早速移動。
「うーん、特に変わったところはないな。 敵が弱すぎるのかな。 真田課長、そっちどうですか」
「別に変わったところは見られないな。 やっぱりなんか条件があるのか。」
永倉は目視で、真田はデータで沖田たちの動きを見ていた。 情報がたりない。 それが開発部の結論である。 であれば情報収集が必要である。 戦闘部に申し入れがあり、土方の1課から緊急事態に備えて人員を出す、という提案で、斉藤がしぶしぶ了解した。 というのが今回のいきさつであった。 さすがに魔法少女クレナイは開発部も封印は解かなかったが。
無事、討伐を終了して、ギルドに報告にいった。 やっぱり「猫耳」お姉さんは、永倉さんばっかり見ていた。 心なしか、赤坂の目も同情しているように見える。 負けないんだから・・・
そんな感じで、特にトラブルもなく案件をこなしていった。 まあ、フラグたちますよ。そりゃ。
「簡単なお仕事、パート150!」
いや、田中。 お前そんなに仕事もってきてないから。
「ひさびさのダンジョンです。 救出と調査ですね。 冒険者のグループがいくつか、ダンジョンに入ったきり消息をたっているようです。」
「カブキチョウダンジョンか。 そんなにレベルは高くないはずだが。 千葉、お前のところと、沖田のところで頼む。」
「了解です。 つーことで、沖田、よろしくたのむわ。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
今回は千葉さんのところと合同だ。 千葉さんのところは、前衛職の千葉さん、弓職の埼玉さん、魔法職の静岡さんの3人で、いれもベテランである。 うちは俺と赤坂とお目付け役の永倉さん。
とりあえず、作戦会議である。
「では、営業部より説明させていただきます。 クライアントは冒険者ギルド。 場所はカブキチョウダンジョン。 ここはご存知のように、3層構造のボスあり。 比較的低レベル用のダンジョンとしてしられております。 主な魔物は、1層がゴブリン。 2層がハイゴブリンや、スパイダー。 ハイゴブリンは、前衛職、弓職、魔法職がそれぞれ確認されております。 3層目はオークやスパイダーが確認されています。 ボスですが、ジャイアントオーク単体ですね。 あと、ジャイアントオークがいる以上、ジャイアントスパイダーがいる可能性もありますが、確認はされておりません。 まあ、ジャイアントオークとジャイアントスパイダーが共存できるほどの瘴気はないため、その可能性はほとんど無いですが。 今回の調査ですが、2層もしくは3層で行方不明になったと考えられております。 それぞれのフロアで、行方不明になった冒険者の装備品が確認されています。 まあ、すでに死亡しているということも当然かんがえられますが、付近に大量の血の痕跡がみられないため、生きている可能性も捨て切れません。」
田中がサラリーマンぽい。 いや、サラリーマンなんだが。
「行方不明の冒険者のレベルはどうなんだ?」
「はい。行方不明の冒険者ですが、現在3チームが確認されております。 これは冒険者ギルドからの情報です。 ギルドに連絡せずにダンジョンへ入った冒険者もいる可能性はありますが、そちらの確認はできませんので、不明です。 この3チームですが、チームAが大体1層から2層クラス、Bが2層、Cが2層から3層となっていますので、おそらくボスまでは言っていないかと思われます。 よって2層、もしくは3層にて行方不明になったと思われます。 チーム構成ですが、それぞれ3名から4名、いづれも前衛職と魔法職がいるとのことです。 また、これらのチームは比較的リスクを考えて動くチームだったようですので、特に無理をしたということは考えにくいとの、ギルドからの情報があります。」
「じゃあ、突発的な何かがあった可能性はあるな。 千葉、どう思う?」
「はい、斉藤課長の言うように、突発的な何かという線は十分にありえますね。 ただ、今の情報だと、それがなんだかまでは思いつかないですが。 血が無いという点から考えると、スパイダーの大量発生というのはありえるかもしれませんね。」
「だな。スパイダーというのはありか。 あと、突然変異というのは無くはないが、あのダンジョンでそれが起こるか、というと、瘴気が足りなすぎると思う。」
魔物というのは、瘴気が必要である。 ゴブリンのように、瘴気から生まれるものもいれば、オークのようにイノシシが瘴気を取り入れることで魔物化することもある。当然、瘴気からオークが発生することもあるけど。 そして魔物はオークがジャイアントオークに変わるようにレベルアップする。 ただしレベルアップには、自分と同じかそれ以上強い冒険者など、もしくは魔物同士が戦うこと、それと十分な瘴気があること、の2つの条件を満たす必要がある。 よって、ボスがジャイアントオークである以上、それ以上への進化に必要な量の瘴気はない、といえる。
「まあ、入ってみないとなんともいえませんな。 うちと沖田のところだったら、ボスも楽勝ですから、まずは情報収集をかねて、一回入ってみるってのはどうです。」
「営業部としては、問題ないです。 いかがでしょうか、斉藤課長。」
「そうだな。 やってみるか。 じゃあ、千葉がリーダーで対応してくれ。」
「「「了解しました」」」
そのまま、千葉さんを中心に作戦会議をして、翌日からダンジョンにいくことになる。
「あれ? ひょっとして赤坂ってダンジョン初めて?」
「です。楽しみです。」
「いや、ダンジョンきついから。 汚いし、汚れるし。 空気悪いし。」
「え? マジですか?」
赤坂、びびってるw
「まあ、確かにそうだけど、この仕事してたら、ダンジョンは避けて通れないけどね。」
「永倉さんて、どの辺のダンジョンいったんですか。」
「一番きつかったのは、秘境グンマーのやつ。 あれはマジきつい。 ボスとか泣けてきた。 まあ、倒したけど。」
「それ、最強のダンジョンですよね・・・ あそこのボス倒すとか、ありえん・・・」
「それはさておき、今回のは低レベル向けだから、デビュー戦としては丁度いいんじゃない。」
「そうですね。赤坂にはちょうどいい経験ですね。」
「がんばります!」
ダンジョンに到着。 フォーメーションは、埼玉さんが斥候。 俺と千葉さんが前衛。 その後ろに静岡さんと赤坂。 お目付け役の永倉さんは一番後ろで、緊急対応。 それぐらいはやってもらわないと。 一応、静岡さんには、赤坂の回復呪文はやばいことを伝えてある。 まあ、知ってたけど。 有名だから、あれ。 ちなみに今回の斥候はガチです。 ダンジョン内だと、レーダーがあまりうまく働きません。 おそらく電波かなにかが反射するのかと思われ。 しらんけど。
「まあ、なんだ。 赤坂ってほんとにそういうカッコしてるんだな。」
今日の赤坂はマジカルプリンセス☆エリー。 なんで俺は知ってるんだ・・・ 汚れるっていったのに、相変わらずの平常運転。 当然、永倉さんはこのキャラクターを知ってた様子。 つうか千葉さん達、意外と冷静。 やっぱり経験なの。 つうか、どういう経験なの? そういう夜のお店とかあったりするの? いってるの? ていうか、静岡さん、このキャラクター絶対知ってるよね。 独身だから、娘いないよね。 姪とか、見え透いた嘘、すぐわかりますよ? 魔法職として常識とか、ありえんでしょう、それ。 永倉さん、やめて。 これからダンジョンはいるのに、その手のネタで盛り上がらないで! もうHPは0よ。 ・・・俺帰っていいですか。
気を取り直して、ライトをつけたら、突入である。 ちなみにライトは標準装備。 ちょっと違うのは、前方だけでなく、360度明るくすることもできる。 なんとLEDである。 エコってやつ? でも、謹製テントの冷暖房完備とか、どこがエコなの?って気もする。 おそらく、利用時間とか、携帯性とかで変えているものと信じたい。 信じたい。 いや、担当者の趣味っぽいな。 あ、斥候役の埼玉さんは暗視カメラね。 さすがに斥候がライトとか、意味ないし。
埼玉さんが、敵発見のハンドサインを送ってくる。 別にマイクでいいと思うけど、そこは気分らしい。
「ゴブリン5匹か。サクッとやるぞ。」
千葉さんの号令のもと、静岡さんと赤坂が魔法で奇襲をかける。 ちなみにダンジョン内でファイアは危険である。 酸素が無くなって、窒息するでしょ。 あと水系も危険。 水溜りで滑りやすくなるから。 日が当たらないので、なかなか乾かないのである。 一応、新人研修で教わる。 なので、風系とか雷系が多い。 今回は風系ね。 とか言ってるうちに、終わってるし。 魔法で瞬殺でした。
さらに進む。 進む。 見つける。 瞬殺。 進む。 飽きてきたところで、1層終わり。 2層突入。
「スパイダー2匹。 サクッと。」
埼玉さんも、千葉さんも飽きている。
「ん? 赤坂さん、大丈夫か?」
なんか赤坂が固まってるらしい。 静岡さんが赤坂をゆする。
「蜘蛛・・・」
どうやら、赤坂は蜘蛛が苦手らしい。 スパイダーなんだから、蜘蛛だろ?、普通は分かる。 でも、赤坂の場合には、頭が変換するこを拒絶していたらしい。 そして、今ここでその驚愕の事実を突きつけられた・・・
って、知らんがな、そんなの。
飽きてきている千葉さんが、赤坂にやらせることにした。 別に離れて魔法うつだけだから、大丈夫とは思うけど。 念のため千葉さんが抑えて、その隙に2発で1匹を倒す。 もう一匹は俺が倒した。 まあ、こればっかりは慣れてもらわないとね。 苦手意識の克服は重要だ。 でも、俺もGの魔物とかいたら、速攻逃げるけど。 あれと面と向かって戦うとか、どんな罰ゲームよ。 ちなみに全員が合意していた。 あの永倉さんでさえも。
さくさく進む。 で、突然埼玉さんが立ち止まる。
「千葉さん、ちょっときてもらっていいですか。」
「どうした?」
「ここ、なんかありますね。」
なんかそこらじゅうべたべたする。 どうも、蜘蛛の糸っぽい。
「やっぱり、スパイダーの異常発生ですかね。」
すかさず固まる赤坂。 まあ、誰も気にしないけど。
「ちょっとこの辺念入りに調査してみるか。」
ということで、調査開始。 赤坂は相変わらず固まってるけど。
「んー、特にないですね。 巣とかあるかと思ったんですけど。」
赤坂、いい加減に解凍しろよ。 とりあえず、一発いれたら即解凍。 これってパワハラじゃないよね? あとで訴えられないよね? とりあえず、俺は録画カメラがあると思われる方向に、両手をチョキにする編集サインをだしておいた。
さらに進む、進む。 討伐する。 進む。 赤坂のフリーズが減ってきた。 まあ、20匹以上みてたら、いい加減慣れるよね。 俺はそういう慣れは嫌だけど。 ただ、赤坂の目つきがちょっと変なのが気になる。
2層目が終わって、3層目に突入。
もう、永倉さんと静岡さん、赤坂の3人は、ずーっと魔法少女ネタで盛り上がってる。 赤坂の緊張を解くためって・・・ 千葉さん、黙認するのやめてもらえますか? まじで組合に訴えますよ?
んー、3層目も討伐完了。 あとはボスを残すだけ。 途中、2層みたいにべたべたするところがあったけど、結局なにもなし。
「空振りか。 さてどうするか。 ボスは今回は関係なさそうだけど。」
「ボスがダンジョン内を歩き回ってる、ってことはないんですか?」
「あー、赤坂は初めてだから、知らないかもしれないけど、それはありえんな。」
千葉さんが赤坂の疑問に答える。
そう、ボスはダンジョン内を歩き回れない。 なぜなら、活動に必要な瘴気が足りないから。 よって、ボスは瘴気の濃いところ、通称ボス部屋にいる。 このダンジョンだと、3層ぐらいまでなら動き回る可能性は無くないが、さすがに2層にボスが出ることはない。 あれ? これって新人研修で教わったような。 おい赤坂、さては寝てましたね?
「じゃあ、私たちが強すぎて、出てこれないとかは?」
「あー、それはあるかも。 って幾らなんでも、この辺の魔物にそんな知能あるかい。」
ノリ突っ込みしておく。 ボスのジャイアントオークならともかく、スパイダーぐらいだと、見つけたら即攻撃ぐらいの単細胞である。 ん?待てよ・・・
一斉にその存在を理解する。 そう、ジャイアントスパイダー。
「瘴気探知機ですか。」
ボス部屋クラスまで瘴気がたまっているところがあれば、ジャイアントスパイダーがいることも考えられる。 レーダーだと複雑すぎてダンジョン内では使えないが、単純な探知機であれば、使える。 さすがに今回はもってきてない。 というか、骨董品レベルのものであり、開発部に作ってもらわないといけないだろう。 そして、ジャイアントスパイダーなら、糸という面倒な武器があるので、ジャイアントオークより厄介な敵といえる。
「そうだ、おそらくジャイアントスパイダーの発生が行方不明の原因だろう。 2層と3層にあったあのべたべたはおそらくやつの糸によるものと思われる。 少なくとも、スパイダーによるものであれば、どれほどの量が必要になるか。 しかし、ここで討伐したスパイダーの数は、それほど多くなかった。 とすれば、ジャイアントスパイダーが発生しうるほどの瘴気がどこかにあるはずだ。 つまり、瘴気の集まっているところを探せばいい。」
そう、その通り道らしきものが複数あるということは、2層と3層に繋がった新しいボス部屋が誕生している可能性がある。
「でも千葉さん、そのべたべたのところを探したら、別に瘴気探知機はいらないんじゃないんですか。」
おそらく赤坂は、またこのダンジョンに入りなおして、あの蜘蛛を一から討伐するのを避けたいのだと思う。
「いや、それは無理だろう。 それに一旦戻るべきだ。 理由は3つ。
まず、赤坂。 お前はダンジョンが始めてだ。 そろそろ瘴気酔いの症状がでてもおかしくない。 たしかに俺達はとんでもないスピードで討伐していった。 しかし、本来なら初めてダンジョンにはいるやつは、こんなに長く入っていられない。 すこしづつ強くなりながら滞在時間が伸びていくものだ。 つまり自然と瘴気になれていく。 今回のお前ほど瘴気にふれつづけることはない。 そしてべたべた付近を捜すといったが、さっきあれほど全員で探している。 しかし何もみつかっていない。 ということは、より広い範囲を探す必要があるが、その時間はない。」
「二つ目。 救出についてだが、ダンジョン内には行方不明者は見つかっていない。 なので、仮に生きているとすれば、どこかに無理やり閉じ込められていると考えるべきだろう。 しかし魔物に捕虜という考えがあるとは思えない。 よって、おそらく死んでる可能性が高い。 さらにジャイアントスパイダーがいたとしたら、糸にからめとられてるだろう。」
「そして三つ目。 これは、ジャイアントスパイダーの討伐を前提としているが、おそらく1匹だと思う。 しかし、状況が分からない以上は、ある程度の対策は必要だ。 考えられる対策としては、ファイアの使用に伴う窒息死というのもありうるだろう。大量の敵にたいして、窒息死は有効だ。 だが、その場合、このダンジョンを封鎖し、再開までの管理が必要となる。 そのためには冒険者ギルドに許可を取る必要がでてくる。」
永倉さん達も同じ考えのようだ。 リーダーは千葉さんなので、千葉さんに従い、一度撤退する。
一応、永倉さんが赤坂に魔法少女ネタを振り始めたのは、瘴気酔いを確認するため、ってことになってるが、半分は本当だろう。 半分は。 いや、2割ぐらいかも・・・
あ、もうひとつ撤退すべき理由があった。 永倉さんたちの魔法少女ネタに、途中から千葉さんが耳をダンボにして聞き入ってたのを俺は見逃していない。 おそらくこのままだと、千葉さんがそっち方面に覚醒してしまうという恐ろしいことが・・・・ やめて、千葉さんが魔法少女のカッコで剣を振り回すとか・・・