2.お仕事です。
第2話です。仕事します。
■■2.お仕事です。
異世界に到着して、冒険者ギルドに向かう。 この世界には、魔物討伐とか、護衛とかをする冒険者という人たちがいる。それらを束ねる組織が冒険者ギルドである。 俺達は冒険者ではないが、今回の案件では、冒険者ということになっている。 冒険者ギルドに到着すると、受付の「猫耳」のお姉さんに到着を伝える。 当然、さりげなく、さわやかにである。
そもそも、俺がこの仕事を選んだのは、もともとMMORPGをやっていて興味があったというのが表向きの理由で、本音は「猫耳」「エルフ」にあえるという、その1点だけである。 大体、俺は文系のインドア派で、たいしてスポーツとかしていなかった。 本来なら総務とかの内勤になるのだが、戦闘部を希望して、その栄誉を勝ち取った。 しかし、戦闘部の新人研修はそれなりに体力に自信がある人ですら、悲鳴を上げて逃げ出すレベルだった。 きつかった。 でも、俺はそれに耐えた。 そう、すべては「猫耳」のために・・
「・・・・」
赤坂の視線が痛い。
「いつまで見てるんですか? 行きますよ?」
しょうがないから、仕事をすることにする。 俺は先日受け取った新装備だったが、赤坂がこの世界の普段着っぽいカッコをしているのが気になる。
「例の新作は着ないの?」
「ふふふ、内緒です。」
気にしたら負けっぽいので、気にしないことにした。 ただ、それ以上突っ込まれなかった赤坂は、ちょっと不機嫌ぽいが、それも気にしない。 スルースキル発動。
他のメンバーはすでに集まっていた。
「ボーランドさん、お久しぶりです。」
「沖田さん、久しぶりですね。よろしくお願いしますよ。」
ボーランドさんに挨拶したあと、ほかのメンバーにも挨拶していく。
商人が4チームで馬車が全部で6台。それぞれに冒険者がついていたので、俺たちも入れて冒険者も4チーム。 冒険者の内訳は俺達と変わらないぐらいの年の前衛職、魔法職、弓職の3人、結構ベテランぽい前衛職と弓職のペア、前衛職2人の3チームである。 なんか、前衛職2人のところは、見た目が冒険者というより盗賊っぽいのがちょっと気になる。 まあ、冒険者といってもいろいろな人がいるので、たまにそういう人がいてもおかしくはないのだが。 それよりも、なんと若手の弓職は「猫耳」の男だ。 市ね。 カス。
とりあえず、冒険者チームで打ち合わせをする。ベテランがリーダーをやるのかと思いきや、どうもリーダーが怪我で休んでいるため2人で仕事をしているそうで、2人ともリーダーには向いていないとのこと。 盗賊っぽい2人に任せるのもなんとなく嫌だし、俺と同じぐらいの若手3人はそれほど経験がないそうだ。 結局、俺がリーダーをやることになった。 まあ、いいけど。
そうそう、若手の魔法職は回復呪文もできるらしい。 これは助かる。
赤坂も一応回復呪文が使えるはずなのだが、どうも苦手というか、使うつもりがないようである。 以前、戦闘中に俺が回復呪文を要求したら、いきなりファイアが飛んできたことがあった。 俺達の装備には、誤射とかを防ぐために、味方には攻撃できないような防御システムが実装されているので助かったが、しっかり記録されていた。なんとか無事に案件は終了したが、戻った俺たちは斉藤課長からたっぷりと絞られ、赤坂はオペミスで、俺は監督不行届きで始末書を書かされた。 赤坂に回復呪文要求するのって、監督不行届きなの?
打ち合わせが終わったので、ボーランドさんに、盗賊っぽい2人のことをそれとなく聞いてみる。 知らない顔だとのことだが、依頼主の商人については知っているようで、どうも盗品とかも扱ってる噂のある、評判の悪い人とのことだ。 盗品を扱う商人と、盗んでくる手下?という考えが浮かぶが、余計な詮索は面倒を生むのでやめておく。 とりあえず気をつけておけばいいか。
弓職と、盗賊風のうちの1人に斥候を任せて、俺がと盗賊風のもう一人が先頭。 赤坂と弓職が真ん中付近。 魔法職と若手前衛が後ろ、というフォーメーションで先を急ぐ。 途中、魔物がでたが、あっさり討伐した。
で、お約束のイベントは4日目の夜に発生。 盗賊風の2人が見張りの当番だったので、イベント発生フラグは立ってたわけで。
突然、警戒アラームが鳴る。 俺達の装備には、レーダーとかそういう現代装備がついている。 すかさずレーダーを確認する。あれ? 魔物反応がないぞ? 対人レーダーに切り替えると、50mぐらい先に結構な数の集団を確認する。 盗賊か。 まさにテンプレ展開。
俺達はテントを飛び出す。
あ、ちなみにこのテント、男子部屋と女子部屋に分かれている。 しかも、鍵もかかる。 ついでに、防弾、防音、シャワーはないけど冷暖房完備で、性能テストではロケットランチャ2発に耐えたらしい。 うちの開発部謹製の優れものだったりする。
盗賊風の2人とその雇い主がこちらを見る。 足元に人が倒れていた。 商人の1人のようだ。 盗賊風の2人は剣を抜きながら、こちらに攻め寄ってくる。 俺は盾を構えると、その1撃を受け止める。 その音で、他の冒険者達もテントから出てくる。
「襲撃です。 赤坂と弓職の2人は迫ってくる集団の牽制をお願いします。 無理はしないで即時撤退で。 前衛職は俺とこいつらの相手、魔法職はけが人の手当てをお願いします。」
見えもしない盗賊の本隊を、俺が知っていることに驚いていたが、すぐに立ち直ると、俺に再度襲い掛かってきた。
「メイクアップ!」
赤坂、お前なにやってんだ? と思ったら、いきなり光りだして、そこには魔法少女クレナイがいた・・・ いや、魔法少女クレナイのカッコした赤坂か。 ここで突っ込んでる暇もないので、盗賊風に集中する。
赤坂が唖然とするメンバーに指示をだし、牽制に向かう。
若手二人が盗賊風の雇い主を取り押さえ、けが人の手当てを確認すると、俺は盗賊風を見据えて、スキル「怒り」を発動させた。
俺のスキル「怒り」の効果は、俺が怒る、以上。 特に攻撃力アップも、防御力アップもしない。 しかし、最初に赤坂がこれを見た時には絶句していた。 なぜなら、俺は普段まったく切れることがない。 俺が怒るということは、ありえない事とされていた。
「ん?なんだこれ?」
俺は盾で防御しながら、自分の剣と装備を見た。 なんか光ってる? なにこれ? 上条さん光ったりしないっていってたよね?
考えてもしょうがないので、戦闘に集中する。 ベテランに1人回ったため、こちらも1対1だ。 どちらもたいして強くないのは確認済み。 俺は牽制を入れる。 牽制した。 牽制したはず。 防具ごと、真っ二つに切ってるんですけど・・・・ 訳がわからないよ。 俺って宇宙人と変な契約とかしたの・・・
考えてもしょうがないので、ベテランの援護に回った。 ためしに盾に向かって斬撃を放つ。 盾真っ二つ。 二人ともびびってる。 まあ、俺もさっきびびったからな。 そのまま盗賊風に切りかかり、やっぱり真っ二つ。 あっさり終わる。
俺は唖然としているみんなに、赤坂達の援護の指示を出す。 が、赤坂達が戻ってきた。
「ん? いなかった?」
「いや、20人ぐらいいましたよ。」
赤坂以外は、青ざめているようだ。 なんかやったか、こいつ。 まあ、俺も剣が光ったけど。
「早すぎない?」
「だって魔法少女クレナイですから。」
「いや、意味わかんないし。」
他の2人に聞いたところ、赤坂が無数の矢を放ち、まとめて瞬殺したらしい。 うーん、静寂の矢を使ったっぽい。 こいつは本当に人間なんだろうか・・・
俺はふと、とあることを思い出した。
「なあ、赤坂。 お前なんともないの?」
「別に。 普通ですけど?」
え? 静寂の矢クラスの広域殲滅魔法つかったら、それなりのレベルでも普通はごっそりMPもってかれて気絶してるんだが。 そもそも普通は使えないか。 真田課長謹製ならではのMP節約機能あり? なわけがない。 上条さんも、MP量からして、おそらく使えないだろう、というくらいはMPが消費するはずだ。 やっぱり赤坂って異常?
とりあえず、俺の剣といい、赤坂といい、あとで開発部に問い詰めにいくことにする。
盗賊風の2人は即死だった。 真っ二つにしちゃったからね。 その雇い主を問い詰めたところ、やっぱり盗賊の一味だった。 一応商人なんだけど、盗賊と組んで輸送団をおそって、その荷物を売りさばいていたらしい。 もうテンプレすぎて、作者の手抜きが・・ ほぼ総出の襲撃だったみたいだけど、アジトとか吐かせたので、町についたらギルドに対応をお願いすることにする。 で、この商人も縛って馬車に突っ込んでおいて、町でギルドに突き出すことになった。
その後、ダダイムまでは、何度か魔物が出たが、やはりあっさり討伐して、問題なく到着することができた。 俺と赤坂を見るみんなの目がアレだったのは、とりあえずおいておく。
で、レーダーあるのに、なんで斥候? という疑問があると思うので、一応回答すると、気分。 以上。 つうか、俺は誰に回答してるんだ・・・