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11.走れ 沖田

いかにも沖田が活躍しそうなタイトルですが・・・・ 

■■11.走れ 沖田



 毎度。女性の敵、沖田でーーす。 開き直ってまーーす。 もう、毎日が地獄でーーす。


 とまあ、マジ地獄な日々をおくっておりますが、おかげさまで体重が5キロへりました。ありがとうございます。では失礼します。

 

 

 ではなくて、なんと、赤坂が話をしてくれるようになりました! ただし、案件の間だけですが・・・ しかも、「了解」 のみ・・

 

 

 そうそう、先日、書類出しに、総務いったんですよ、総務。 赤坂は行ってくれないし、佐助は外出してるし。

 

 で、花子が居ないんですよ、これがまた。 そしたら、なんと、弊社のアイドル白鳥さんが相手してくれて、開口一発、


「あら、変態馬鹿野郎さんではなくって。 残念、三村さんは今日お休み取られてますの。 何か御用ございました?」


 もうね、なんか、俺の中の生まれてはいけない感情ってやつ? そう、ハイヒールで踏まれて喜ぶような、そういう感情が理解・・できねーよ! 生まれるかよ、そんなもん! 書類たたきつけて帰ってきたよ。


 あー、マジ帰っていいですかね・・・ もう、折れそう。

 

 

 まあ、そんな感じですが、こういう状態だと現場っていいですね。本当。 現場だと赤坂もなんとか会話してくれるし。



「おい、へ・・・沖田。」


 あ? 真田課長? 今、なんて言いかけました? パワハラですか? 組合訴えますよ?

 

「沖田くん? 頼めるかな? ん?」


 気持ち悪いから、やめてください。

 

 

 とりあえず、冷たい赤坂とサスケを連れて、真田課長のところに行く。

 

「なんでしょうか? ついにセクハラでクビですか?」


「いや、お前、それはちょっとヤバイよ?」


 あ? 田中の分際で、なんか文句あんのかよ?

 

「すまん、緊急案件だ。」


 へー、それはすげーや。 え?緊急案件? マジですか? 俺達は表情が凍りついた。

 


 緊急案件。 それは、人命などにかかわる可能性があり、早急に対策が必要となるものを指す。 通常は、営業などが案件を受注したのち、内容について、犯罪関与等についての精査を行った上で、契約書を取り交わす。よって事務処理にそれなりの時間がかってしまっている。

 

 しかし、緊急案件は、そういった事務処理を後回しとして、最優先で対応することになる。 当然、このシステムを悪用し、犯罪関与などの事実が発覚した場合には、業界をあげてのペナルティを課すことになる。

 

「他はどこが受けたんですか」


 緊急案件は、最優先ではあるが、当然社内のリソースによっては、対応できないこともあるため、リスクヘッジのため、複数の会社に発注される。よって複数の会社が受注可能となり、解決までの競争となることがある。しかし、これは最悪の失敗というリスクも減る、というメリットもある。

 

「いや、今回はうちだけみたい。」


 珍しく、田中の表情も硬い。うちだけ。つまりうちが失敗したら、アウトである。それだけ、責任も大きい。

 

「内容は、おそらく誘拐だ。2日ほど前から、子供が3名行方不明だそうだ。 場所はタントン。あの辺は魔物は少ない。子供が歩いていける範囲となると、殆ど魔物は居ないに等しい。よって、魔物による被害より、誘拐と考えていいかと思う。」


 なるほど。子供が行方不明になる原因は、魔物などに襲われる、誘拐される、が主な原因である。タントンなら、誘拐の線が濃いだろう。

 

「しかも、不審な人物の目撃情報もあるので、誘拐の線で進めていく。」


 まあ、ほぼ決定的ですね。

 

「でだ、俺と沖田のチームで対応する。」


 ほう、お?

 

「斉藤課長自ら?」


「ああ、ベテラン勢が出払っているからな。あと、ベテラン勢を除くと、おまえのところが一番成功率が高い。」


 あー、そうだったかもしれない・・・

 

「1時間やる、早急に準備しろ。」


「「了解しました。」」


 今回は馬など、いろいろと必要になりそうなので、申請等は赤坂にまかせ、俺とサスケで現地などの情報を取りまとめていく。

 

 

 

 一時間後に、斉藤課長と俺達3人はタントンにいた。

 

「ああ、お待ちしておりました。」


 町長と冒険者ギルド長が出迎えてくれる。 さすがに、今回は「猫耳」お姉さんは我慢だ。

 

「状況を確認させてください。」


「わかりました。行方不明になった子供は3人です。男の子1人と、女の子2人です。2日前ぐらいから行方が分からなくなっています。 あちらにその子たちの親がおります。」


 俺は親達のいるほうに目を向ける。   へ?  猫耳のおばさん?  まあ、やる気だすっす。 勝率60%ぐらいUP?


 赤坂に、子供達の特徴を確認させる。 その間に、さらに情報を聞き出す。 

 

 ちなみに今日の赤坂は、緊急案件ということもあり、通常の装備かと思いきや、よく見るとマジカルコンバット ロビンちゃんだった・・ 結構地味目な装備ではあるけど・・ まあ、それだけ冷静で余裕があるということだろう。

 

 

 目撃情報によると、最近、町の西側で不審者をみかけることが増えていたそうだ。一応、注意はしていたようだが、今回のことが発生してしまったようだ。

 

 で、ここでタイミングよく、有力な追加情報を入手。

 

 数日、西側の森に入っていた猟師が帰ってきて、どうも、3個ぐらいの大きな袋を馬で運ぶ男たちを見かけたらしい。猟師が森に入ったあとで行方不明になったので、さすがに誘拐には結びつかなかったのはしょうがない。しかし、子供とその大きさは、同じくらいだったような気がする、とのことだ。 まあ、商人ならありうるが馬車を使うし、結構怪しそうな男たちだったので、覚えていたようだ。

 

 あともうひとつ。田中が付近のギルドに確認したところ、やはり子供が行方不明となる事件がいくつかあったようだ。こちらは緊急案件ではなく、現地の冒険者への対応依頼になっているらしい。どうも、大掛かりな誘拐が発生しているようだ。

 

「沖田、調べる必要があるな。 とりあえず、俺はここで情報を集める。 西の調査はおまえの方で頼む。」


「了解しました。」


「西だと、10キロ先ぐらいの森の中に、いくつか小屋があったはずっす。それ怪しいかもしれないっす。」


 サスケも赤坂に鍛えられているようで、準備万端である。マジ抜かれてるかも。

 

「10キロか、森を直線的に抜ければ、ちょっと近いか。よし、馬使うか。 サスケは先行でいい? このルート使うから。」


「了解っす。そのルート上に見張りいたら、無力化しとくっす。」


 サスケの場合、信じられないが、森の中だと、馬より走ったほうが速い・・・ 何、こいつ・・・

 

「赤坂、俺達は馬で向かうから。」


 俺は、赤坂に頼んでいた申請内容を確認する。 する。 え? 斉藤課長の馬が規格外はありとして、このユニコーンてなに? 赤坂やった? しかも自分だけとか。 まあ、ユニコーンて男は乗れないけどな。

 

 赤坂が、久々に笑顔だ・・・ 邪悪な感じだけど・・・ 確信犯だ・・

 

 普通、ユニコーンなんて予算的に使えない。しかし緊急案件は、予算無視が可能となるので、ユニコーンが選択できてしまう。

 

 さすがに、斉藤課長もあきれてる・・・


 俺は、普通の馬で、赤坂はユニコーンで出発する。 あ、マジカルコンバット ロビンちゃんって、ユニコーン乗ってたたような記憶が無くもない・・・ 半端ねーっす、赤坂。 田中、すまんな。営業経費で頼むわ。

 

 

 

 森の中をしばらく進むと、サスケから連絡が入る。

 

「サスケっす。着いたっす。一番南側の小屋っす。状況は入り口に2名、中に2人っす。中に子供が3名縛られてるっす。なんで、ここで間違いないっすね。入り口は1つだけっす。 窓は数箇所あるっすけど、窓からの突入は難しそうっす。 監視続けるっす。」


 早すぎ・・・・

 

「了解。そのまま警戒で。」


「おい、沖田。こちらは援軍の用意中だ。 しかし、走ってもう到着とか、サスケは化け物か・・」


 ええ、化け物ですが、何か? しかも、やつは見張りの無力化までしてますから。 さっき1人縛られて転がってましたし。

 

「了解です。」


 急ぎながら森の中を進んでいく。

 

 

 

 

「サスケっす。檻みたいな馬車が近づいてくるっす。 おそらく奴隷商人っす。 小屋の方はまだ動きないっすけど、このままだと移動されそうっす。」


 うわ、面倒になりそうだ。奴隷商人もおそらくグルだろう。移動されてもサスケなら追跡可能だ。しかし、奴隷商人は受け取る時に奴隷に焼印をおす。焼印を押されると、心が折られて抵抗したり、逃亡しなるらしい。もし、子供たちに焼印を押されたら・・・

 

「赤坂、先に行ってくれ。そっちはユニコーンだ。この馬だと時間かかりそうだ。」


「了解しました、沖田さん」


 赤坂は俺の懸念を理解したようだ。 あ、変態馬鹿野郎って言わなくなった。 あ、斉藤課長もいるからか・・ それともユニコーンで機嫌直った?


「サスケ。赤坂を先にやるから、赤坂の指示で動いてくれ。」


 しかし、ユニコーン早いです。あっという間に見えなくなりました。あれはチートです。それに落ちないで乗ってる赤坂も凄いんですけど。

 

 


「赤坂です。サスケと合流しました。 奴隷商人が近づきつつあります。到着まで、あまり時間がありません。」


「赤坂、まずは奴隷商人を無力化しろ。」


「了解です。」


 おそらく叩けば、大量に埃がでるはずだ。うまくいけば、他の誘拐とも繋がる可能性がある。

 

 

「自分が行くっす。御者1名、護衛1名っすから、あれなら楽勝っす。」


「分かったわ。サスケ、お願い。」



 サスケが奴隷商人に近づき、音もなく無力化する。

 

 


「終わったっす。拘束して、馬車ごと脇の見えないところに隠すっす。」




「赤坂です。小屋に動きでてきました。 どうも奴隷商人の到着時間の指定のようなものがあったようです。」


「ちっ、まずいな。 沖田です。すまん、もうちょっとかかる・・・」



「斉藤だ、その他の援軍のようなものはあるか。」



「赤坂です。いまのところ、援軍らしきものは見えません。」


「沖田、こちらもそろそろ出発する。 状況により、赤坂とサスケに突入させてもかまわん。」


「了解です。 赤坂、サスケ、突入準備しとけ。」


「「了解です。」」




「あの入り口の見張りが厄介っす。2人同時にはきついっすね。騒がれると厄介っす。」


「サスケはできるところまで近づいて。入り口の見張りは私が無力化します。」


「え? あ、了解っす。」


「はぁ、はぁ、沖田です。そろそろ・・着く。 走って・・る。 いっていいや。Go!」


 俺は途中で馬を降りて走っていた。さすがに目の前まで馬を乗りつけたら、音で警戒されるだろう。 ぎりぎりまで馬を使ったのだが。   遠い・・


「了解しました。 サスケ、用意して」



◆◆


「了解しました。 サスケ、用意して」


 私は、周りに気配がないことを確認すると、立ち上がり、この装備にかけられたエンチャントを利用し<ステルス>を発動した。


「あれ? 赤坂さん、気配ないっす。俺がぎりぎりわかるかどうか、って感じっす。何したっすか?」


 サスケにほほえむと、手にしているコンバットステッキに、サンダーを発動させる。これでスタンガンのようなショックバトンとして使える。 そして、小屋に向かって歩き出した。



 小屋の見張りの前までくる。当然、気がついていないようだ。 サスケは後ろに居るはずだ。サスケの方も気配は感じられないが。



 タイミングを見計らい、見張りの2人の首に、ショックスバトンを続けて叩き込む。 音もなく気絶しながら倒れていく2人を、私とサスケで支えながら、寝かしておく。

 

 

 扉はしまっている。ステルスでも扉が開いたらばれてしまう。

 

「マジカルチェンジ」


 私は町娘に姿を変えた。 サスケは驚いたけど、すぐ、私の意図を察してくれたみたい。

 

 

 本当にサスケは変わった。これも沖田さんのおかげだろう。そういう私も、沖田さんに会うまではサスケと同じだったけど。そして、沖田さんに会って、今の私に変われた。

 

 

「こんにちわー」


 中から、男が怪訝そうに顔を出した。

 

「お届け物にあがりましたぁ」


 そう言いながら、私は男の首元を掴み、顔にショックバトンを叩き込んだ。その隙に、サスケが室内に飛び込んで、中の男を瞬時に気絶させる。


 

「赤坂です。無力化完了しました。子供3名を保護しました。怪我は無いようです。」


 私は子供たちの縄を解きながら、サスケに男たちを拘束するよう伝える。

 

 

 入り口に気配がする。


「お き た で す 。  ついた・・・」


 そこには、肩で息をしながら、汗だくになった沖田さんが立っていた。

 

 思わず笑顔がでてしまう・・ し、しまった。  べ、別に、沖田さんに会えたのが嬉しかったわけじゃないんだからね。 でも、沖田さんの目線は、私ではなく猫耳の少女に向いていた・・・ お、お、沖田ーーーーー!!! 私、頑張ったよね? 絶対ゆるさないんだから!!



◆◆



「赤坂です。無力化完了しました。子供3名を保護しました。怪我は無いようです。」


 終わってるぅぅぅ。 もう少しだったのに・・

 

「お き た で す 。  ついた・・・」


 部屋の中を見ると、赤坂が、子供たちを安心させるべく、声をかけていた。 振り向いた赤坂が、ちょっと天使に見えた。 しかし・・・ をををを!! 猫耳少女発見! お兄さん頑張ったかいがあったよ。走っただけだけどさ。

 

 あ、赤坂さん? 目が怖いんですけど? さっきの天使は目の錯覚?

 

 

 

 男たちは全て、奴隷商人の馬車の檻につっこんである。子供たちは赤坂にお任せだ。 俺とサスケは周囲の警戒を続ける。

 

 しばらくして、斉藤課長と援軍達が到着する。子供たちは赤坂と援軍たちに町まで護衛しながら送ってもらうことにした。斉藤課長とサスケと俺で、やつらの入った馬車を町まで運ぶ。ついでに、サスケが無力化した、途中の見張りを拾いながら。


男達については、ギルドで尋問等を行うそうだ。他の誘拐された子供達が無事みつかり、誘拐組織撲滅まで繋がるといいのだが。

 

 こうして、無事、緊急案件は終わった。これも赤坂とサスケのおかげだろう。

 

 

「なあ、沖田。お前、ちょっと鍛えなおしたほうがいいかもしれんな。」


「え?」


「そうかもしれませんね。斉藤課長。このへたれ男は。」


 赤坂さん? 今度の二つ名は「へたれ男」ですか? サスケ? 何故、助けないの?

 

 無事に終わってないかもしれない・・・



思ったより、ペースが速そうです。今週中にあと2話ぐらい書きたいところですが。難しいかもしれません。 ご要望にはお答えする技量も余裕もありませんが、ご意見、ご感想ございましたら、お聞かせいただければと思います。

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