10.猫耳の味方 そして長い戦いのあと
予定になかった話ですが、思いついたついでに書いてみました。 本筋がなかなかすすみません。
■■10.猫耳の味方 そして長い戦いのあと
チーム沖田がスタートして、はや一週間。サスケの暴走癖も、もう大丈夫なようだ。
今回は、ボーランドさんの知り合いの商人の方で、ノベルさんという方に依頼された護衛任務だ。
アドルネからニーランドまでの護衛で、大体1週間ぐらい。馬車4台に、護衛が俺達をいれて3チーム。 護衛のうち1チームが冒険者になりたての女の子2人。で例によってOJTして欲しいという話。ノベルさんにはかなり謝られてしまったのだが。
実は、今回はノベルさんの単独依頼で、OJTの話は事前に頼まれていたし、アドルネからニーランドは1週間かかるが、危険地帯は3日目あたりの1箇所だけ。正直、この輸送団の規模なら、護衛は俺達だけでも十分なぐらい。まあ、断る話でもなかったりする。
たぶん、このなりたての2人は、ノベルさんの知り合いか何かだろうと思う。
それに、今回は多少面倒な話でも、断る理由がない。 何故なら・・・目的地のニーランドは・・・猫耳族、じゃないや猫人族が多い!
この輸送路がニーランドに近づくにつれて、安全になっていくのは、この猫耳族・・猫耳さんでいいや。 猫耳さんのおかげでもある。 猫耳さんたちは、優秀な狩人でもあるため、この辺の魔物もついでに狩られてしまっていた。なので、危険地帯といわれるのは、アドルネ側の1箇所だけである。
そして、ニーランドは有名な温泉地でもある! もう、どこに断る理由があると? やりますよ? ええ、やりますとも。 いや、是非やらせてください!給料は、いり・・・ます。装備のローンで大変なんですよ・・・ 壊したばっかりだし。
俺の勝手な想像だけど、温泉地があるー>あったかいー>猫耳さんたちが多い、のではないかと思う。
とうことは、温泉地に近い案件は、優先的にうけることを検討すべき、ということだ。でも、温泉地に近い案件は、2課でも競争率が高いのだが・・
あと、案件完了後の休暇の1日を、温泉にあてる予定である。当然、斉藤課長の了承済み。 まあ、2課はみんなやってるので、温泉地の案件は競争率が高くなるんだけど。
さくさく進んでいく。なりたての2人には、初日の体力のあるうちに夜の見張りを任せる。当然、サスケがフォローにはいる。
問題の3日目。まあ、こんなもんかな、ってぐらいの魔物の量だった。正直、サスケの加入でかなり戦力あがってるので、かなり楽に終わった。なりたての2人も、結構頑張った感じだった。ノベルさんも一安心、といったところだろう。
あとは、「猫耳」お姉さんと、温泉に向かってGO! 油断はしないけど。
事件は最終日の夜に発生した。
「沖田さん?」
ん?
「寝ぼけてます? だめですよ。こっち向いて。」
誰? え? 猫耳のお姉さん? なんで?
「ふふふ、私ね? 実はね・・・・・沖田さんのことが好きなの。」
な、な、な、なんですとおぉぉぉ!!!!
「ねえ、ぎゅっとして・・・・ お ね が い 」
ぎゅぅぅっぅぅぅぅぅぅ。 バン。 ドカッ。 ガシャ。
「痛ってえええええええええ」
あれ? 赤阪? なんで? 猫耳のお姉さんは?
「沖田さん・・・・寝ぼけてます?・・・・ちょっと起きてもらえませんか?」
そこには顔をまっかにして、両手をグーにして、全身を震わせる・・・ 赤阪・・・ お前、 グーで殴った?
俺の隣には、しきりに頷く、真っ青になったサスケがいた・・・
今日は、町の近くで安全、かつ最終日ということもあり、経験を積ませるために、なりたて2人だけで見張りをしてもらっていた。ところが、なりたての1人が急に具合が悪くなったらしい。 で、回復持ちの女性である赤阪に相談しにいき、赤坂が俺達に見張りを変わってもらうためにここにきた、ということらしい。 そして、事件は起こった。 ちなみに、この謹製テントは鍵がかかるが、マスターキーは女性である赤阪に預けてある。 いや、奪い取られている。別にいらんけど。
とりあえず、俺とサスケで見張りを変わる。しばらくして赤坂がやってきたので、様子を聞くと、緊張による疲労だろうとのこと。今は安定しているので、おそらく問題はないだろう、と。 で、俺達の部屋に2人を寝かせたので、俺達の部屋の鍵をよこしやがれ、この変態馬鹿野郎。 と、いうことだった。 はい、素直に渡しました。問題ございません。
見張りしながらサスケに聞いたら、起こそうとした赤坂を、俺がいきなり抱きしめたらしい。 で、赤坂が渾身の一撃を顔面にヒットさせ、サスケいわく、即死確定、とのことだった・・・ 正直、仮想身体でなければ即死だった。そして、あのままチューをしていたら、仮想身体であっても、即死だったろう、とは解析班の証言。
ちなみに、この動画が、裏ルートで社内に出回ったらしい。 なぜなら、それから1ヶ月ほど、女性社員から「変態馬鹿野郎」といわれ続けました・・・まる
「次から、サスケ、お前が起こせ。」
「自分も沖田さんに抱き疲れるのは勘弁っすけど、目の前で殺人が起きるよりはマシっす。了解っす。」
こうして夜明けを迎えた。で、起きてきた赤坂に、土下座するも、その怒りは解けなかった・・・
ノベルさんや他の護衛に、なりたて2人の疲労が激しいことを伝えて、町まで馬車に載せることを提案し、了解をもらう。理由は聞かれなかった・・・・ ただ、その目が冷たかった・・・・ やべ、信用なくしたかも・・・・
町につくまでに、なりたての2人が事情を説明してくれたらしく、ノベルさんや他の護衛からは易しいことばをかけてもらうまでに回復したが、赤坂は結局、目もあわせてくれなかった。
通常、護衛案件は、クライアントが冒険者ギルドに完了連絡をする。 よって、俺達がギルドに行く必要はなく、会社に戻ってからシステムに完了報告を入れる流れとなる。しかし、今回は1泊するため、冒険者ギルドで完了処理をすることになる。
「じゃあ、冒険者ギルド行って、完了処理しちゃいますか。」
「了解しました、変態馬鹿野郎。」
あのね? 赤坂さん? あれはね? 事故なの。 それにね? 周りの人達の目も痛いの・・・
受付の「猫耳」お姉さんも目を合わせてくれないまま(泣、冒険者ギルドで完了処理をすませて出ようとすると、数人が近づいて来る。
もじもじしたちょっと小柄な「猫耳」お姉さんと、それを応援するような女性達。
ん? まさか、正夢? マジで! きたーーーーーーーーーーーー。
と思ったら、俺を通り過ぎて、そのまま赤坂の前に行ってしまいました。
どうも、最近ストーカー被害にあっているらしく、ギルドの寮のお風呂を覗かれたりしているとのこと。で、俺達に相談してみることにしたらしい。
「犯人は、この変態馬鹿野郎でしょう。」
赤坂さん? あのね?・・・・・・ お姉さん達も信じないでね?
結局手伝うことになりました。
その日の夜。
「温泉入りたいっす。」
「俺も入りたい。」
俺とサスケは、お風呂のそばで、犯人が現れるまで待機。
赤坂は、「猫耳」お姉さんとお風呂に入って待機。つまり、温泉堪能中。 ちなみにギルドのお風呂は野天の温泉でした。
「気配がするっす。」
サスケは凄い。 この向こうで「猫耳」お姉さんがお風呂はいってるのに、まったく興味をもたない。
「自分、BBAには興味ないっす。」
うわ、こいつも心読み始めた・・・ え? BBA?
「犯人は2人っすね。じゃあ、自分は右を抑えるっす。」
「俺が左ね。了解。」
俺達は、音もなく動き出し、あっさり犯人を捕まえた。
犯人は、近所の悪がき2人だった。いわゆる出来心ってやつだろう。まあ、「猫耳」が好きな人に、悪い人はいないのだから。
赤坂が尋問したところ、やっぱりこの「猫耳」お姉さんのことが好きで、犯行に及んだらしい。おそらくいい夢みたのだろう・・・ だから、赤坂さん、心読むのやめて! 短剣、刺さってますって・・・
こうして、ようやく一件落着し、俺達は宿へとたどり着いた。
そして、俺とサスケは、ようやく温泉に入れたのであった。
長い戦いであった。 いや、ほんとうの長い戦いは、会社に帰ってから・・
読み返してみると、ものすごく読みにくいレイアウトだったので、ちょっとレイアウトに気をつけてみました、いかがでしょうか。




