一方通行
超短編ですので、飛躍的な表現や意味のとりにくいところがあるかもしれません。
ずーっと片想い。
私の想いなんて届かない。だけどなんでだろう?あなたしか見えないの。
「心ちゃん、一緒に帰ろ?」
「あー…悪い、無理。」
「は?!ちょっと!!」
心にしたらテキパキ帰る準備をするのを唖然と見ていると教室のドアから小さなギャルちっくな女の子が心の名前を叫ぶ。
「俺、彼女出来たから。」
そう言ってスタスタ歩く心にまた唖然とする私にポンっと肩を叩く真吾。
「そぉゆうことね。」
私は真吾を見ることなく、そのまま屋上へ向かった。
屋上からは心と女の子が帰るところは見えず、私はため息をついた。
本当に好き。
ふざけていたのは照れ隠し。
ずっと一緒にいたのに気付けば心には彼女が出来た。
涙なんて出やしない。
出るのはため息だけ。
「コンコン。お姉さん、後ろ姿が悲しいよ?」
屋上の入口に啓奈と優二が立っていた。
「なによ、バカップルは早く帰りぃよ。」
気分が気分なのでかなりふてくされた言い方になる。
「あらヤダ。せっかく慰めに来てやったのに。優二帰るか。」
確かにふてこすぎたかな?なんて思うけど、本当にそんな気分じゃない。
「沙世ちゃん、多分いつもの気まぐれやからすぐ別れると思うで?」
「そぉそ。じゃ、うちら帰るわ。また明日ね。」
そう言って本当に帰って行った。
「何しに来たんよ。」
そう言うけど、本当は嬉しい私。優二くんの言葉は私にとっては最大級の励ましの言葉。
心に彼女ができることなんて今に始まったことじゃない。
今まで何人も見てきた。その数だけ別れも見てきた。
つまり、気まぐれで付き合ってるって感じ。
わかっていても、今回が本当に気まぐれなのかなんて誰にもわからない。
心の心は心にしかわからない。
だから心に彼女が出来るたびに不安に襲われる。
“今度こそ本気であの子が好きだったらどうしよう”
毎回そう考えて不安になる。
「‥‥沙世?沙世!」
「ん?‥‥あ、真吾。気付かんくてごめん。」
名前を呼ばれているのに気付かなくて、真吾の顔が近付いてやっと気が付いた。
「どしたぁ?真吾帰らんの?」
「いやぁ、沙世が寂しがってるんやないかなぁって思てね。」
「優しいねぇ、真吾くんは。さすが幼なじみやねぇ。」
私と真吾は幼なじみ。
何でも話せる仲ではないけど、そばにいて一番安心出来る友達、だと思ってる。
でも、真吾はそうじゃないみたい。
真吾の気持ちは知っている。だけど、私には応えることが出来ないからずっと知らないフリを続けている。
「‥‥真吾?」
話さない真吾に目を移すと寂しそうで、悲しそうで、私まで辛くなる。
「どうしたん?何か悲しいことでもあった?」
目には涙。今まで一切見せたことなんてなかったのに。
そっと抱きしめられて、私の肩に顔を埋める真吾。
「お前、いつまでこんなこと続?A
私と真吾は幼なじみ。
何でも話せる仲ではないけど、そばにいて一番安心出来る友達、だと思ってる。
でも、真吾はそうじゃないみたい。
真吾の気持ちは知っている。だけど、私には応えることが出来ないからずっと知らないフリを続けている。
「‥‥真吾?」
話さない真吾に目を移すと寂しそうで、悲しそうで、私まで辛くなる。
「どうしたん?何か悲しいことでもあった?」
目には涙。今まで一切見せたことなんてなかったのに。
そっと抱きしめられて、私の肩に顔を埋める真吾。
「お前、いつまでこんなこと続けんの?俺、もう辛い。こんなお前見てんの。」
抱きしめた腕が強くなって、私まで泣きたくなる。
いつだって真吾は優しい。
「いつも放課後屋上に来て一人で泣いてる。目ぇはらして帰ってきて。お前いつまで続けんの?お前が泣く度に俺も辛くなるんよ。
‥‥お前の恋が叶わんままじゃ俺も諦めきれんやん。俺、ずっとお前にフラれ続けてんやから。ここらで俺を幸せにしてくれよ。‥‥早く幸せになってくれよ。」
そう言って私のために泣いてくれる真吾の優しさに何度も頼って、甘えようとした。
何度も何度も。
真吾は私のために泣いてくれる。
私の幸せを願ってくれる。
誰よりも私を想ってくれる。
だけど、私は真吾がどんなに強く想ってくれても応えられない。
どんなに真吾が私を想ってくれても、私の心は想っても想っても伝わらない心を求め続けている。
一方通行ってどうしてこんなにも悲しいのだろう。
どうしてあなたしか見えないんだろう。
想っても届かないのに、叶わないのに、叶わなければ叶わないほど求めてしまう。
諦めるなんてそんな考えはどこにもなくて、ただあなたしか見えなくて。
悲しくて、辛くて、寂しくて、だけどそれ以上に愛しくて。
どうやっても一方通行な私達はこれからもずっと一方通行で。
叶う事なんて未知の世界。
それでも私達は一方通行を選び、歩み続ける。
あなたしかいない先の見えない世界で。