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駆け引き

 戦いも終局である。

 ここまでは俺がやや有利なまま、ほとんど戦況に変化は見られなかった。しかし、ここからは一挙手一投足が命取りと成り得る。しかし、止まるわけにもいかない。これはそういう戦いだ。

 意を決して行動を開始する。深呼吸を二度繰り返して、身体を動かした。少しでも油断すればそこに付け込まれる。一瞬も気を抜くことができない。

 奴がにやりと笑った。

 しくじった……! しかし今更気付いても、もう手遅れだ。俺にできるのは、この動揺を相手に悟られないようにすることだけだ。奴は自分が有利なこのタイミングで仕掛けてくる。そこを凌いで、反撃をしなければ俺は負ける。

 観客に見守られながら俺たちがするのは命の駆け引き。負けはそのまま死へとつながるのだ。

 今度は奴のターン。相手が油断しているわけもない。生半可な方法じゃ看破されて俺の負けが確定してしまう。

「……っはぁ!」

 あまりの重圧に、つい負けたときのことを想像してしまった。駄目だ。集中を切らしてはいけない。

 ちらりと視線を上げ、奴の顔色を伺った。

 奴も落ち着いているわけではない。この一手で勝敗が決するかもしれないのだ。しかし、この攻めをしくじれば一気に負ける可能性が浮上してくる。


 奴が動いた。

 俺はあらゆる手を尽くし、その攻撃を阻止しようとする。しかし、無意味だった。奴の手は真っ直ぐに、俺の命へと伸びてきた。

 駄目だ、負けた。そう悟った。


 ――いや、違う。まだチャンスはある。

俺は笑った。

それが、俺の最後のカードだった。


     ***


 そうしてババ抜きが終わった。結果は俺の負けだった。

 最下位には罰ゲームがある。全裸で逆立ちして部屋を練り歩くとかいうとんでもないものだ。そんなことをしたということを仲間内以外にばらされたらおしまいだ。


 覚悟を決めた。

 俺は社会的に死んだ。


 展開が読めてしまうのは愛嬌。

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