表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Amour la planète  作者: 皆川恋桜
序章
7/27

またまた若干日がとびます

 どうぞ

「いらっしゃいませ」

 店員さんたちが一斉にお辞儀をするなか、店の奥から店長らしき品の良いおじさんがでてきた。

「これは久しぶりでごさいます。月嶋様、今日は何をご所望で?」


「今日は私のでは無いのですよ」

 下心が見え隠れする歓迎を悠は綺麗に避けた。そして私を見せ


「この娘の物を見に来たんです」

 そう言って完璧な微笑みを浮かべた。


 試験の日から2週間、つまりこの世界に来てからもう2週間半がたった。今日まで私は悠の家に篭っていた。その間は基本的に本を読んだり、勉強して過ごした。その結果こっちのことは大方解ったから有意義な過ごし方だったと思う。


「なんで今日。というか急すぎるでしょ」

 2週間ほどずっと私を放置していた悠にそう抗議する。


「ずっと室内にいたんだからそろそろ出てもいいだろ」

 悪びれずそう言った悠はさっさと準備してこいと部屋に放り込んだ。


 今朝のことだった。朝食を食べ終えて、書庫に行こうとした私を悠が呼び止めた。

「今から出かけるから準備しろよ」

 と。後は先程の会話があって結局私が負けた。準備を終えて部屋をでて行くと悠は着いてこいと歩き始めた。

「ちょっと、どこ行くの?」

「秘密」

 悠の背中を追いながら問いかけても答はくれなかった。今日の服装は薄桃色のワンピースに灰色の長袖カーディガン。運動靴でもないし速くは歩けない。


「ほら、乗れ」

 暫くして悠がそう言った処には何かがあった。半透明なカプセルのようなもの。ドラ○ちゃんのタ○ムマ○ーンに少し似た謎の物は車というらしい。


「そろそろ説明頂戴」

 今度は答えてくれた。私の物を買いに行くそう。

「学院は全寮制だしな。時間が出来たのが今日だけだったんだよ」

 悪かったなと言う悠にちょっとばかり驚いた。てっきり面白がってると思っていたのだ。反省



「まずは学院用品だな」

 という言葉から始まり、山の中腹にある商店円を巡った。最後に服を買っておしまい。

「ありがとうございました」

 店員さんが一斉に礼をする。一子乱れぬその姿にもだいぶ慣れてきた。


「これで終わりでしょ? 何処にいくつもりなの?」

 再び車に乗るのかと思いきや徒歩でスタスタと何処かに行く悠。

「お楽しみだ」

 と言って、私が追いつけるギリギリのペースで歩いていった。


「琴李、ついたぞ」

 私が漸く悠に追いついたのは一軒の喫茶店の前。小さく白い店舗にはガーデンテラスがあり、そこではお茶とケーキを綺麗に整備された庭と共に楽しんでいるようだ。


「飲み物は何時もの通りに」

「かしこまりました」

 1人の店員さんが一礼して去っていった。

 勿論、私達も店内に入った。でも、他の客とは違う2階の一室に案内されたのだが。


「この店、贔屓にしてるの?」

 流石に、不思議だったのだ。確かに悠は金持ちだが、商店円の各店が争うように奪い合うほどのものではない。本人がそう言っていた。


「お前もあの話聞いたのか?」

「少しだけね」

 悠が気に入った店は繁盛する。これがこの場所の都市伝説。

「それ、この店が始まりなんだよ」

 聞いた事を伝えれば苦笑してそう言われた。

「へぇ。でもそれ、悠が気にすることじゃないわよ」

「え?」

 悠が次の言葉を紡ぐ前にお茶がきた。注がれたそれを一口飲む。

「……美味しい」

「ありがとうございます」

 思わず呟けば給侍さんが一礼して去っていった。それから暫く紅茶を楽しむ。

「……呆けるのもやめたら」

 ひとしきり堪能した後に未だに固まっていた悠に声をかける。

「え! あぁ、うん」

 漸く紅茶に手をつけた彼にそろそろ尋ねてみようか。


「で、話は何?」

「……根拠は?」

 当たったようだ。分かりやすい

「此処にくる必要性を考えたの」

 単純に此処に来たかったのなら2階にくる必要はない。それ以上の理由があると考えた方がはやい。

「で、要件は?」

「あぁ。色々教えてきただろ?」

 その問いに頷く。

「後、もう1つだけ伝えてない事があるんだ」

それは

「ここある乙女ゲームの世界なんだ」


 その後1冊のノートを手渡された。ゲームの設定や内容が書かれているらしい。悠曰く「これから起こるだろう事象」。あくまでこの世界は、ゲームを基盤にしているだけでそのままではないそうだ。


「それだったら‘俺’の存在はどうなる」

 そう言って悠は笑っていた。攻略対象が攻略者より攻略法を知っているのはおかしい、とも。

「俺は『月』。他には太陽系の惑星がいる。一応8人」

 この一応は追加ディスクでの2人の扱いが不明だからだそう。それを含めて不確定要素が多く、悠でも未来は解らないんだとか。


「一番の不確定要素イレギュラーは琴李、お前だからな」

 そう言って、不意に表情を正した悠はとてつもなく真剣な顔で

「何があってもおかしくない。気を付けろよ」

と言ってきたんだっけ。

 数時間前に起こった出来事を思い返しながら手元のノートをめくる。入学まで後1週間になった。


 その先にある日々は一体何色だろうか

ありがとうございます

 いかがでしたでしょうか?

作者の成長のためにも切実に感想やご指摘をおねがいします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ