暗闇
連続投稿です。では、どうぞ
そこには地面も天井もなく、上も下もなく、右も左も無い。ただただ真っ暗な空間。
気がついたときには既に私はそこに漂っていた。
「……………ここ、どこ?」
思わずもらした声に、自分は声を出せるのだと知った。永遠に続く暗闇に一人不思議と不安にはならない。寧ろ心地いいと思った。
「ここは世界の狭間だよ」
唐突に聞こえてきた声に顔を上げる。そこで漸く私は自分が生きて存在していることに気づいた。他人がいて自分をはっきり認識していく。私のその様子を見ていた相手は再度口をひらいた。
「もう大丈夫かな、琴李ちゃん? 僕はルイ。君たちの言うところの神っていう存在、その一人」
ルイと名乗った彼はそう言って微笑んだ。理由はわからないがどこか哀しそうな笑みに疑問を抱かなかったわけではない。でもわたしは自分の知りたいことを訊いた。
「貴方も神だというなら、なんで私はここにいるの?」
私は自ら死を選んだ。なのに何故こんなところにいるのだろう……
そんな私の思考を読み取ったかのようにルイは答を返してくれた。答になっていない答を。
「そう、君は確かに死んだ。それこそが全ての元凶で問題なんだよ」
訳がわからないが無言で先を促す。
「君は死ぬのには早すぎたってこと。君にはまだ君としてあそこに存在してもらわなければならなかったんだよ」
その言葉を理解することを私は拒絶した。でも理解してしまった。そのとたん体が震えだした。
「…ど、どうして…?」
震える声でそう返す。それだけで精一杯だった。だって、
「…私に、あそこに戻れって、言うの?」
だって、それだけはどうしても嫌だった。これじゃあ、逃げた意味がなくなってしまうじゃないか。また私はあそこに囚われなければいけないの…? 絶望の淵に叩き落されたようだった。
「いや、事情は知っている。だから、僕から選択肢をあげるよ」
…………選択肢?
首をかしげているとルイは笑って頭をなでてきた。そうしながら
「1つ目は君自身が言っていた元に戻る選択
2つ目は――全く違う世界に行く選択」
と優しい声で提示した。震えもおさまり、冷静に考えることができるようになった今、でた答は1つ。だから私は即答する。
「2つ目、それが良い」
その答に
「わかった」
と優しさにあふれた声が応えてくれた。
ありがとうございました。
この次にはちゃんと異世界に行きます。少々おまりください(笑)
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