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三話 新たな生活

 二人がいるのはジハードの商店街。一度町の郊外でサラに予備の服と靴を着させた。


 ギルドには後で、相打ちで死んだとか適当にガセ情報を流しておけばいい。


 問題はサラだ。この世界では亜人種がいるのは珍しくない。むしろ普通だ。しかし、魔人を使役しているとなるとかなり珍しい。いや、珍しいどころの騒ぎではなくなる。どの世界でも悪魔は邪悪なる存在であるため、正体がばれると厄介なことになる。


 そのため彼女には背中に生えている羽を魔法で隠してもらった。羽は自由に出し入れできるらしい。彼女はすんなり了承してくれたが少し残念そうであった。


 その後俺達は宿を取り商店街へと向かった。さすが大陸3位だけあって何度来ても、賑わっている。


「あの....コウキ様?」

「ん....なに?」


 隣を歩くサラが言った。彼女は男物の服を着させているがなかなか似合っている。


「これからどこへ向かうのですか?」

「これからサラの服をかいに行くのさ。部屋着と外出用の2つね」

「そんな、わたくしめのようなものにそんな......」

「いいのいいの。どうせ金は腐るほどあるんだし。それに綺麗な服に身を包んだ姿を見てみたいしね」

「あ、ありがとうございます」


 サラは恥ずかしそうに俯いた。


 可愛いじゃねーか!!


「そういえば尻尾はどうしたの?」

「あれは鎧と一セットのような物ですので、普段つけないときはありません」

「へえ、そうなんだ。あれはあれで似合っていたよ」


 再びサラは頬を赤く染めた。


 ああ、可愛いなあチキショーーーーーーーーーー。


「――――着いたよ」


 そうこうしているうちに目的地に着いた。そこは立派な服が立ち並んでいる店だった。


「ごめんくださーーい。おっちゃんいるーーー?」

「おう、どうした?」

「あらコウちゃん」


 中年の夫婦が出てきた。


「どうも御無沙汰っす!」


 コウキのその様子だと常連であるとうかがえた。


 そう、この洋服店は旅を始めてからずっと良くしてもらっている店である。ちなみに今着ている服(マント以外)は全部この店の特注品だ。品質もよく値段も他よりも比較的やすい。なにより店長夫婦の人柄がよく、この世界の両親的存在だ。


「今日はどうした?」

「連れの服を買いにね」

「ん?なんだお前、ついに嫁をもらったか!!」

「べっ別に、そんなんじゃないってば」


 嫁といわれつい恥ずかしくなる。


「おっ?そうか」


 サラは俯いている。


「こらあんた、からかうんじゃないよ!」

「へいへい」


 相変わらず仲のいい夫婦だな。


「そだな~これなんてどうだ?」


 それは青に近い紫色のシャツワンピースであった。いいかもしれな。下になんか着せれば問題ないな。


「どうだい?」


 サラの方を見ると......眼が輝いていた。


「それじゃこれと....このワンピースとブラウス....それにこのミニスカートとロングも....」


 サラの方を見る。......良し、問題なさそうだ。サイズに会うものを持ってきてくれた。総額2万5千ゴールドと安く済んだ。その後下着屋に行って下着を買った。これで私服は一通りそろった。コウキ達は宿に戻ることにした。


 数分後、宿に着いた。この宿はよくここに立ち寄るとき度々利用している。外観も中も綺麗でさらにご飯もおいしい。何より女将であるエルフのエレナーダが美人で性格が良いのだ。


 今回は風呂付の部屋にしたためちょい値段は張ったがまぁいい。ちなみに普段利用するときは風呂なしで、風呂は共用浴場を利用していた。しかし、ベッドは一つしかない。わざとではないぞ、決して。


「あ~つかれた~~~~~」


 部屋に着き、靴と上着を脱ぎ捨てベッドにダイブした。


「あ~~柔らかい~~~~~」

「そんなに良い物なのですか?」


 出口付近で立っているサラは訊いてきた。


「ああ、いいぞ~。サラもこっちにおいでよ。」

「良いのですか?わたくしのような者が.....」

「よいよい。」


 右手をパタパタと仰ぐ。サラはベッドに腰掛けた。


「でわ、.....おおこれは!?」

「な?いいだろ」

「はい」


 ちなみにサラはついでに買った白地のシャツとミニスカを履いている。胸元に眼が行く。よく考えると今俺、サラとベッドで二人きり。まずい、いろいろとまずいぞ。これは.......


「あの...コウキ様、いつまでこうして.....」


 サラも感じ取ったのか訊いてきた。


「あ、ごめん....」


 起き上がりサラを見る。


 何かの魔法にでも掛かったのか、目線は胸元に集中してしまう。はやりデカく、ゴムまりのように丸く服の上からでもきれいな形をしているのが確認できる。襟元から見える谷間はまさに絶景だ。腰もくびれていてなんともセクシー。長く軽くウェーブのかかっている黒髪も最高に美しい。唇なんか薄紅色で肉厚で艶めかしい。眼も元の綺麗な紫色のパッチリ二重の美形。一度彼女の肌かを見ているため妙に興奮してしまう。


「コウキ様?わたくしの顔に何か?」

「あ、いや、なんでもないぞ。うん。何でもない」


 つい見とれてしまった。


「そっ、そうだ。サラ、風呂に入ろう」


 話を変える。


「ふろ?ですか....」

「えっとだな。要は湯浴びだ。湯の入った大きな桶で身体を休めるんだよ。」

「そのような物があるのですか。」

「うん。だから準備をしよう。とりあえず....な.....」



 わたくしサトウ・コウキは風呂にいます、今。当然全裸で俺は腰にタオルを巻いている。サラは全裸で前の山脈には髪が掛かっている。え?なぜ一緒に入っているかって?理由は彼女が風呂に入ったことが無いからだ。彼女にとって入浴は未知の体験であるため初めは、そう、初めは俺と一緒に入って彼女に入浴の心得を伝授するのだ。


 さすがは高いだけあって風呂もそれなりに広い。十分スペースが空いている。よし、まずはサラの髪を洗おう。


 ちなみにお風呂セットは自前の物を使用している。なぜなら一般的に石鹸は高価でめったに使えないからだ。石鹸を使いたかったら別料金が発生するため、俺は自前のお風呂セットを携帯している。


 サラを木製の湯椅子に座らせ俺は彼女の背後に膝立ちでいる。


「じゃあ、まず頭から洗おうか」


 俺は石鹸をお湯で濡らし泡立てた。泡だった手でサラの頭を洗った。


「眼に入ると痛いからつぶってな」

「はい。」


 指先で丁寧に洗う。長い黒髪も丁寧にてぐしで涜くようにした。

 桶でお湯を掬いゆっくりとかける。何度か繰り返し完全に泡をとった状態にした。サラの髪を巻くように頭の上に置いて次の工程に移った。


「えっと、次は身体を洗うから」

「申し訳ありません。わたくしめのようなものに.....」

「いいからきにすんな。今回は初めてだからしょうがないよ。次からは自分でするように」

「はい」


 タオルを濡らして石鹸で泡立てる。


「そ、それじゃあ背中、洗うよ」


 あ~ドキドキする。


「はい」


 彼女の背中を洗う。サラの背中はとても小さく華奢で綺麗だ。思わず抱きしめたくなってしまう。


「痛くないか?」

「はい。問題ありません」

「そうか。」


 会話が続かない。と言うか石鹸を使うことに対して何か抵抗はなかったのだろうか?


「あのさ、今更なんだけどさ。サラは石鹸を使うことに抵抗はなかったの?」

「はい。問題はありません。60年前に聞いたことがあったので。」

ん?今、60年前て、言ったよね?俺の聞き間違えか?思わず手が止まる。


「サラ、君っていったい歳は幾つ?」


 失礼だとは思いつつ訊いてみた。


「はい。ちょうど150と7でございます」


 なん....だと.....157歳!?衝撃が走った。驚きのあまりあいた口が塞がらない。見えない。いや、それどころかありえないくらい若く見える。てっきり俺より三つくらい上なのかと思っていた。熟女とかそういうレベルじゃないぞ。まぁ、魔人だからと言ってしまえばそれで済む話なのだか...


「お、おう。そうかそうか。随分と長生きなんだな.....」

「いえ。わたくしなどまだ若い方でございます。中には1000年も生きる者もございます。」


 1000年.....なんだかもう、規模が......てか、石鹸は知っていて風呂の存在は知らなかったのか。


「そうなんだ。訊いてばかりでごめんね。俺も歳言うよ。今年で25なんだ」

「そうでございますか。お若いのですね」


 若い、うんまぁそうだろうね。君からすれば。


「うん。ありがと。」


 157歳と25歳。年齢からしてまるでコレ、介護じゃん。などと考えながら作業を再開する。


 首、問題ない。腕、問題ない。腰、問題ない。胸..........


「サラ、前の方は自分でやってくれないか?」


 ないろいろとまずいと思い本人に直接洗ってもらうことにした。


「え、あ、はい.......」


 何処か残念そうな返事だった。

 サラは胸を洗い出す。俺はその間自分の髪の毛を洗い、体も洗った。


 湯船に入る。しかしサラは入らず立っている。


「どうした?入らないの?」

「私めがコウキ様とここに居るだけでも恐れ多にのに一緒に入るなどと......」

「きにするなよ。さぁ」


 サラにはバスタオルを巻いてもらっている。出ないと理性がぶっ壊れそうだし。


「わ、分かりました」


 ラはゆっくりとつま先から湯に入った。本当はタオルを入れてはいけないのだが今回ばかりは仕方がない。


「どうだ?気持ちいいだろ?」

「はい。とても心地いい物ですね」

「だろ」


 頭に置いているタオルの位置を直す。


「はい」

 サラは笑顔で答える。


 まさかここまで丸くなるとは。数時間前とは考え着かないほどサラは変わった。俺は改めて闇の力とサラの美しさを実感した。しかし、俺は今戦っている。そう己の煩悩に。目の前にあんな美女がいるのに欲情しない男はいないだろう。俺はさっきっから心を落ち着かせるために努力してきた。


 サラをみる。彼女の黒髪がわずかに頬にへばりついている。なんだか、それだけで興奮する。


 静寂が続く。風呂場には天井の水滴がリズムを刻んで落ちる音だけが響く。


 今日の出来事を思い返した。本気で殺し合ったと思えば相手に情が湧き仲間にならないかと説得し仲間にし。風呂まで一緒。今までの自分からは想像できない事だ。


 天井を向く。天井は湯気で覆われていてその先が全く見えない。横目でサラを見る。


 彼女は黙ってただ前を見つめている。そのとき、肩と肩が本の少し触れた。お互いピクッと痙攣した。


「あ、ごめん」

「い、いえ。こちらこそすみません」


 なんだろ。この感じ。まるで付き合いたてのカップルみたいな......


「........していればよろしいのですか?」


 頬が桜色のサラが訊いてきた。


「ん?ああ、もう上がるか。十分温まったし」

「はい」


 浴槽から出て俺は速攻でシャツと短パンに着替えた。そしてサラを部屋着に着替えてもらい、髪を魔法で乾かした。


「このようなことを受けるわけには」

「いいから。いいから。」


 半ば強引に洗面台の椅子に座らせ、サラの髪を風の小魔法で乾かす。もちろん(くし)を使って。


 やはり綺麗な髪だな。前居た世界を思い出す。たしかCMで亜麻色のなんちゃらとか言う曲が流れていたのを思い出す。ただ石鹸で洗っただけなのになぜこんなにも綺麗なのだろうか?などと考えながら俺はもくもくとサラの髪を乾かした。


 その後食堂で夕食を済ませた俺達は寝る準備に取り掛かった。月は9時の位置にある。


 ここで事件が発生。ベッドは1つしかないしかもベッド2つ分の大きさのが。ソファーは個人用が2つ。寝そべることはできない。


 こういう場合、男はベッドを譲るべきだろう。


「ねぇ、もう寝ようか」

「はい」


 備え付けの寝巻に身を包んだラサは言った。


「じゃあサラはこのベッドを使って」

「コウキ様は?」

「適当に床で寝るよ」

「なりません!床で寝さすなど!!」

「いや。だってほら、こういう場合女の子に譲るのが筋というかさ」

「筋などどうでも良いのです。私が床で寝ます」

「馬鹿を言いなさんな。そんなことできるか」

「いいえ。床で寝ます」

「あのな―――――」


 その後この不毛な争いが続き結果・・・・・・・・


「サラ。マクラ使うかい?」

「いいえ。大丈夫です」


 一緒に寝ることになりました。


「そか。そんじゃおやすみ」

「お休みなさいませ」


 就寝。コウキはサラに背を向けて寝た。


「あ、そうだ。明日はキミをギルドに登録しに行こう。そして装備と武器を 揃えて依頼を受けよう」


 サラに背負向けた状態で言った。


「ありがとうございます。何から何まで」

「なぁに、心配するな」


 そこで会話は終わった。


 1時間は経っただろうか....寝れん!!もう、ギンギンだ。もちろん眼の方ね。だって隣には美女がいるんだぞ。それに25年間生きてきて初だぞコラ。緊張して寝れるわけがないだろコンチキショー。ちらりとサラの方を見る。


 彼女は寝ている。彼女の顔がコッチに向いて寝息を立てている。サラも寝てるんだ、俺も寝れるさ......。意識がマクラに沈んでいった。


 コウキ様はご就寝になさったのだろうか。コウキ様の背中、大きくて(たくま)しい。風呂場の時の方が直に見ることができたが、布越しからも確認できる。157年間生きてきたがこうして殿方と共に寝床に入るのはこれが初めてだ。しかし、どうも寝付けん。あ、コウキ様が我を見てきた。と同時に寝たふりをしてしまった。


 コウキ様も起きておられたのか。もしや我の心配でもしてくださったのか?ならばこれ以上心配させてはならぬ。

サラは何とかして寝付けたのは約2時間後のことだった。


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