一話 戦争(まつり)の後の魔法使い
大陸歴1046年 魔界ベリアル城
「これで終わりだ!ベリアル!!」
戦火の中、青年の声が響く。
「いくぞ!!」
「了解!」
「応!」
三人の人間のうち一人の剣がまばゆいばかりの光を帯びている。もう一人、男の魔法使いは白銀の魔法陣を出し、男の剣士の剣に向けて光の柱を発射する。
柱を受けた剣はさらに光をまとい巨大な剣へと姿を変える。
「いけぇぇぇぇぇぇぇ――――――」
女の騎士が叫ぶ。
「うおおおおおお――!!!」
巨大な光の剣がベリアルへと振り下ろされる。
「おのれ人間―――――――――........」
光の中へと無念の断末魔が包まれていった。
この世界に来てもう6年。俺は相変わらず一人、時間と金と手にしたチート能力を持て余し、無意味な旅を続けている。
世間ではいまだに魔王軍との戦いの爪あとは残るものの徐々に以前の姿に戻りつつある。
一緒に転生した勇者とは三年前に魔王を討伐して以来会ってはいない。平和を取り戻してからは、もとの世界に戻る方法が分からないため、互いにこの世界で過ごすことを決めた。
俺は魔法を極める (という建前) ため旅をしつつ、行く先のギルドで依頼を受け生計を立てる日々。一方勇者は国王の娘、お姫様と結婚して今は王家の一員として国を治めている。
俺たちのいるこの世界は、大陸名〈シェップファー〉と言うらしい。それ以外は俺も良く知らない。由来は大昔神がこの大陸を造ったことからその神の名を付けたらしい。そして、勇者がいるのは大陸最大の王都〈サンクチュアリ〉。俺が今いるところは大陸三番目に大きい都市〈ジハード〉である。
俺は今、ジハードのギルドのブランチにいる。今回は北にある魔王軍残党の討伐。普段ならゴーレムやダークゴブリンのような雑魚を引き受けているのだが、今回はなんとあのエキドナである。おまけに魔王の加護を受けて能力は普段の倍、いやそれ以上。さらに賞金額は2百万ゴールド (日本円にして2百万円) 、受けない訳がない。俺がこの依頼をすんなり受け入れることができたのは簡単、エキドナが強いのだ。今のところ三十組中三十組が全滅または退散を余儀なくされている。内エキドナに出会えた組がいたのかは不明である。
一角千金のチャンスと思い、思い切って受けることにした。出発は明日。今日は明日に備えてゆっくり宿で休むことにした。
夜明けとともに目が覚めた。顔を洗い、宿舎付属の寝巻から普段着に着替える。眼鏡を掛け、マントを羽織り準備はできた。カウンターでチェックアウトを済ませた後、宿舎の裏へとまわりマントからロッドを召喚した。召喚と言うより空間魔法によりロッドを亜空間に入れてるため、それを取り出しただけである。元いた世界のアニメで確かネコ型のロボットが似たような物を持っていた気がする。
黒く、先が鉤型で中央に赤い宝玉が固定してあるロッド。それをまだ少し暗い空に掲げ、念じる。頭の中で魔法陣を浮かべる、すると頭上に思い描いた陣が浮き上がりゆっくりと降りてくる。陣に触れた頭部は陣に吸収されるように消えてく。
これは空間転移魔法。その名の通り現在地から目的地へと瞬間移動する魔法だ。この魔法は上級魔法で扱えるのはごく限られた上位魔術師しか扱えない術である。なぜ異世界歴6年の俺が扱うことができるのかは、まあお察しの通りチート能力のおかげなんだよね。
陣が地面に着いたときそこには誰もいなくなった。
同刻、誰もいない高原に突如魔法陣が現れた陣は地面に現れ、ゆっくりと上昇した。すると人のつま先、足首、脛へと徐々に人の形を作りだす。
「よっし、着いたか」
転移は完了した。
ここは北の小さな村〈オクタ〉。目的の地、エキドナ城からさほど遠くない村。なぜ俺がここに来たのか。それはこの魔法は一度来たところでなければ使えないのである。
さて、まずは朝食でもとるか。村に入ると明かりがついている宿が見えた。早速行ってみよう。
「早朝にすみません」
玄関をノックした。
「はい?」
中から従業員らしき女性が出てきた。
「あの、今から朝食をとりたいのですが、よろしですか?」
「朝食ですか?ええ、構いませんよ。どうぞ」
そういって俺を迎え入れてくれた。
仲はそれなりに広くきれいに整えてあった。案内されたのは食堂だった。すでに何人席に着いて食事をしていた。
席に着きメニュー表を見る。とりあえず軽い食事でいいか。俺は500ゴールドのモーニングセットを頼んだ。5分後、テーブルには麦パンと目玉焼き、ウインナーとサラダにオレンジジュース(追加)が乗っていた。早速いただくことにした。
食事を終え、宿を出た。外はだいぶ明るくなり、鳥のさえずりが聞こえる。ここで地図を出し経路を確認した。現在地から目的地まではおよそ1日分の距離。途中に魔物が多く出る森があるが問題はない。馬を借りようか迷ったが途中で死んでは後がめんどい。魔法.....できれば消費したくない。となれば、残すは徒歩、か......
迂回するポイントを探したがさすがに時間がかかる。正面から行くしかない。地図をしまう。
「さて、行きますかぁ!」エキドナのもとへと向かった。
移動中、今回の以来を思い浮かべた。最近魔王軍残党が近隣の村や道行く人々に被害を与えていると。活動は不定期に行われているらしい。まさかまだいたなんて。去年残党はすべて排除したと思っていたが、まだひっそりと息を沈めていたなんて。懲りないな.......
久々の上級討伐かぁ、懐かしいなぁまだ3人で活動していた頃を思い出す。あの頃は若かったなぁ......するとなんだか寂しく感じた。ここ3年、一人で活動してきたがさすがに限界を感じている。上級モンスターも一人ではキツイ。となると仲間が必要になる。勇者のアイツは無理か、残りは.......いや、いいや、こんなこと考えるのはやめよう。今は戦いに向けて集中だ。己に言い聞かせ、その足を速めた。
半日が過ぎたころ魔物の森に近づいた。大抵のパーティーはここでダメージをくらい、いざエキドナ城に到着したときにはまともに戦える者はほとんどいないと言う。さらに城には2体の大型魔獣がいるんだとか。まあいいさ、俺なら勝てる。と、どこから出てきたのか分からない自信を掲げたのであった。
「ここが、ねぇ.......」
少し苦笑いを浮かべた。なぜならいかにも「出ますよ」と言わんばかりの雰囲気を醸し出している。
日もまだちょうど真上に位置するのに森の中は夕方の様に薄気味暗い。しかし、大丈夫なんだなそれが。俺にはオート魔法〈妖精の衣〉をかけているから安心なのさ。術の効果は発動してからのお楽しみと言うことで。では、いざ参るとしましょうか。
森の中はやっぱり気味が悪い。常に何者かに見られているような気がしてならない。
進むこと五分、ようやく姿を現した。目の前に突如現れたのは狼のような姿をした魔物。名前は知らないが何度も倒してきた相手だ。
「グルルルルル......」
牙をむき出し今にも襲ってくるようだ。しかし、こいつは普段群れを作って行動するヤツだ。どこかに仲間が潜んでいるに違いない。
「なんだよ。こわいな~」
その刹那、叢から同じのが2匹ずつ左右に分かれて襲ってきた。計5匹の魔物が飛び掛かってきた。が――――
「ギャブッ――――――――――――」
5匹の魔物の首が消し飛んだ。周りには首のない5体の死骸がドクドクと首があったところから鮮血を流し、水たまりができた。
「.......ですよね~」
苦笑い。
俺は死骸を見つめる。まだ神経があるのかピクピクと痙攣している。血生ぐさい臭いが辺りに立ち込める。
今のが〈妖精の衣〉の効果。自身の周りに透明な障壁を作りだす術。発動条件は術者の半径2メートル以内に生命維持に危険を及ぼす物、武器や魔法などが侵入してきたときのみ自動処理する防御魔法である。自動と言っても魔法であるため当然その都度魔力は消費する。そのために俺は魔力蓄積鉱石を加工した腕輪を付けている。
この鉱石は常に一定の魔力を蓄積しており、任意で魔力を解放し、供給することが出来る。俺は2日前にこれを購入したときからこの〈妖精の衣〉で消費するであろう魔力を蓄積しておいた。
この森を抜けた頃には、腕輪を解放し失った分を取り戻しプラマイゼロで元通りの状態で戦いに挑めるというわけだ。てか、カーテンと言うよりウォールだよな・・これ。
おっと。このままじゃ臭いでほかの奴らが来ちまう。
そそくさと先に進んだ。
その後も多数の魔物に襲われた。しかしすべて防御魔法で薙ぎ払った。俺の通った道には魔物の死骸だけが無残に転がっている。
「しっかし、ホントに便利だよな。この魔法......」
つい口にしてしまうほど便利なのだ。太陽が2時くらいに傾いた頃、俺は森の中腹を越えていた。
「思ったよりもはく着きそうだな....」
地図を出し確認。
「ちょうど今はこの辺かぁ.....となると......ふむ......」
確認したところ、あと数時間でこの森を抜けれることが判明した。
よし、このままいけば出口だ。にしてもこの森は広いな。
数時間後、日は5時くらいまでに沈んでいた。もう、こんなに....早く出口までいかなければ!
とにかく先を急いだ。まずいな、暗くなってきた。そんな時、白く濁った親指サイズの発光水晶を出した。これはわずかに魔力を水晶に送るだけでLED並に光る優れものである。
「よし、うまく光ってる」
親指サイズの水晶は見た目からじゃ想像がつかないほど強い光を発する。そのまま真っ直ぐ走った。道は迷わないように常時方位確認は怠らない。
20分後、ついに森を抜けた。しかし辺りはもう暗い。発光水晶を頼りに俺はどこか安全なところを探した。辺りは何もないただの道。この辺だと夜にはモンスターにも出くわしそうだ。どうしよう......魔力も消費したくないし.....ここはしょうがない、木の上にでも寝るか......なんてね。
で、結局木の上で寝ることにした。まずロープを出し枝と枝を絡みつけるように固定する。それを左右に作り俺は木の幹を背に太い枝の上で寝る。これでなぼけて落ちそうになってもある程度支えてくれるはずだ。
マントで身を包み、木の上で睡眠をとった。
「ん.....ふぁああああああん.....もう朝か.......」
夜明けとともに目が覚めた。睡眠時間は10時間弱とったにも関わらず全く疲れが取れない。さすがに木の上じゃキツイな......
マントの中に手を突っ込んで朝食のサンドイッチを取り出した。あと水筒も。説明してなかったがこのマントは法具である。外側は魔法による攻撃、物理攻撃のダメージの軽減。内側は亜空間倉庫となっている。ただの布だが、命令術式を組み込まれていて要件がある際に空間を開ける命令を送れば任意にしたがって必要なものを取り出すことができる。昨朝のロッドや地図なんかも普段はこのマントの中に入れている。非常に便利だ。このマントを買うのに相当貯金を使った甲斐があったと言うものだ。
木の上でサンドイッチを食べながら登る朝日を眺めた。
「これから戦いが始まるんだよな......」
水筒に口を付ける。
「...んはぁ...うまい.....」
魔力もだいぶ回復した。これだと鉱石を使う必要も無いな。
木から降りてエキドナのもとへと向かった。
日が九時あたりに上った頃、遠くの方に古びた城が見えた。進むにつれ何もない荒野のような道から瓦礫などが散乱した道へと変わった。中には武器や防具などを見る限りここは3年前の魔王討伐の跡地と言うわけか。あの後誰もここを片づけようともしなかったのは単に忘れたためか、あるいは残党に.......多分後者が原因だろうな。
でなかったらクライアントなんて出ないもんな。それにあんな近くに城があるのに近くに魔物の姿が見当たらない。と言うことはあの森で十分だったというわけか。俺の推理はこうだ。敵が来たとする。エキドナに会うには必ずあの森と通らなければならない。
そこが重要だ。昨日相手をして分かったがあの魔物は相当魔力が高い、加えて知能も高い。
おそらく、特別高い魔力の高い者の傍に在るからだ。全てにおいてレベルの高い魔物をあの森に住まわせることによって敵の戦力を格段に下げる。万が一抜け出せたとしてもさらに強力な魔物を置くことにより簡単に敵を排除することができる。
仮に空から行って、城に着いたとしても強力な結界あるいは罠が仕込まれて知る筈だ。おそらくそうして今まで凌いできたのだろう。と推理する。
「あくまでも自分は手を加えない、か.....」
見えてきた。近くで見るといっそうボロイ。ホントにここに居るのかと疑いたくなる。
それとは裏腹に意外とデカい。その大きさがより不気味さを増している。おまけに結界と来た。予想は当たっていた。
正面玄関に続く道に向かったときだ。突如二つの黒い魔法陣が浮き出たと思うと中から黒い巨体が二体出てきた。
「トラップ? いや、これは.....」
黒い巨体が姿を現した。頭には二本の角に細長い尻尾、それに上半身が異様に発達している。ミノタウロス――――それも闇の力に支配されて全身黒い。二体はそれぞれ手にアックスを持っている。
トラップでもなんでもない。これは防衛魔法だ.....敵が結界付近に侵入してきたときに発動するに違いない。それは俺の〈妖精の衣〉とよく似ている。それにすごく強い魔力を感じる。
「お出ましか.....」
俺はロッドを出した。
「グオオオオオオオオ―――ン!!!」
咆哮する二体の黒いミノタウロス。
ロッドを前方に構え、意識を集中。そして魔法陣を思い浮かべる。
するとロッドの先端に陣ができた。
「くらいな!!」
まるで炎の龍が襲いかかるかのように陣から二本の炎が飛び出した。しかし、二体はアックスで防いだ。これではただの足止めにしかならない。
「チッ先制とったのに」
思わず文句が出る。
「だけど」
余裕の笑みを浮かべる。
炎の勢いはさっきよりもさらに勢いを増した。二本のアックスは見る見るうちにまっ赤に染まってくる。熱に耐えきれなくなったアックスは徐々にその形状変えてゆく。
「グオオオオン!!」
熱に耐え切れず二体のミノタウロスは唯一の武器であるアックスを投げ捨てた。
「さ~て、物騒な物はなくなったぁ。最期はコレを―――ておわっ!!」
二体のミノタウロスは攻撃を仕掛けてきた。一体はそのまま猛進。もう一体は右から来た。
コイツらの連携か。単純な連携だな、けど油断はできないな。ここは――――。
足元にロッドを下ろす。すると魔法陣が浮き出た。
「とっとと来やがれカルビ野郎!!」
「グオオオオオオオオ――――ン!!!」
正面の一体が殴り掛かってきた。だが、その場を逃げることなく立ちつくす。大木のような右腕を振りかぶった瞬間、その強靭な腕はズタズタに引き裂かれた。
「グアアアアアアアウ!!」
断末魔が飛ぶ。
腕は肉が削ぎ落ち、骨が所々露出している。すぐにもう一体も襲ってきたが最初と同じく殴り掛かった腕が悲惨な状態になった。
「んふふう~ん」
してやったり。
防御魔法〈台風の眼〉。自身の周りに風を纏わせ襲ってくる敵をカマイタチで切り裂く魔法だ。応用しやすいためよく使う魔法である。
腕を抑えて二体のミノタウロスは後ろへ跳躍し、距離をとった。
「グウウウウウウウウ!!」
地響きのような唸り声を発している。
「ハハッ!下がったところでもう遅いよ (甲高い声) 」
刹那、二体の首は消し飛んだ。首を失った二体の巨体はそのまま糸の切れた人形のようにぐにゃりと地面に倒れた。案外楽勝だった。
「〈隕石砲〉」ロッドをかざして決め台詞。
この魔法は、魔法で岩を作り周りに炎を纏わせ高速で放つ攻撃魔法である。
二体の体は黒い煙を出し消滅してしまった。すると城の大きな扉が開いた。
「歓迎してくれるのか。ははっ!望むところだ!」
真っ直ぐ扉の方へ向かった。
どうやら、俺の推理は当たっていたみたいだな。
城内に入る。中は奥へと続く廊下があるだけ。あとは壁に奇妙な絵が飾られている。赤い絨毯の上を歩く。なんだか気持ちが悪い....昼間なのにこうも殺風景だとなんか出そうな雰囲気だ。
少し進むと奥に光が見える。光に誘わるかの様に進んでいくとそこは広間だった。よく見る城で行われる舞踏会会場よりも広い。
「なんだここは、外から見るより広いじゃないか」
驚きのあまりつい声を出してしまう。
まるで野球スタジアムかのような空間。これは空間圧縮魔法かなんかの類か......
わけのわからないまま中央まで進んだ時だった。
「よく来たな、人間」
何処からともなく声が聞こえた。辺りを見渡しても誰もいない。
すると、前方の空中に赤黒い靄のようなものが集まり始めた。それは徐々に濃くなり、そして靄はゆっくりと下がり、中から女が出てきた。
エキドナ、いや人間だ。長く黒い髪に白い肌、全身黒い甲殻のような鎧に身を包み唯一露出しているところはざっくりあいた胸元、二の腕、ヘソ、頭部。下半身の蛇の尻尾ではなく二本の脚と羽が生えている。蛇ではないが甲殻に覆われた太い尻尾が生えている。俺はこの種のタイプを知っている。コイツはエキドナではなく魔人だ。魔王討伐の際に魔界へ行ったときに散々俺達が相手をしたのを覚えている。恐らくその尻尾と羽を見た人がエキドナと勘違いしたのだろう。
魔人は閉じていたマブタをゆっくりと開ける。その眼は冷淡で、禍々しい深紅の瞳をしている。口元は不気味な笑みを浮かべてる。
「よくぞ我の元までたどり着いたな人間よ。褒めて遣わすぞ」
図々しいかつ上から目線の物腰。ムカつくな。
「へ~アンタがエキドナ、いや魔人か。残念だったな、アンタのペット死んじまって」
「フッ、別に構わん。あんなのまた作ればよいだけのこと。気にする必要はないぞ、人間」
嘲笑の眼で俺を見下している。
「それは良かった。てっきり死んじまって泣きべそかいてるんじゃないかと心配したよ」
「甘く見るなよ、人間の小僧。痛い目に遭うぞ」
「怖いね~。――ところでアンタも察しがついていることだと思うけど俺の目的、分かってるんだよね?」
「当然。我を殺しに来たのだろう?だが残念だ。お前はここで我に殺される。」
「まだ戦ってないのに決めつけんなよ」
「さっきの戦いを見て確信した。お前では我には勝てん」
「覗き見してたのかよ。ずるいぞ」
「フッハハハハハ――――人間如きに“ずるい”とな」
完全に嘗められている。
「ところで人間、貴様僅かにだが我らと同じに匂いがするぞ...」
「おやおや。お気づきになった?」
「フンッ。当然だ。我を見くびるな」
「ま、アンタが気付いたところで何も変わらないんだけどな」
「フフッ。その通りだ。―――さて与太話もここまでだ」
「ああ、そうだな」
この時を持って、俺と魔人の戦いが開始した。