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99.9%のスキ  作者: のん
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第6話 面影を追わないで

――いつかは、忘れなきゃいけない。



「あーっ!ハルくんだぁ♥」

「めずらしぃね、学校来てるなんてーっ!」



甘ったるい声に塞がれた耳。



その声の先にいたのは、ハル。




教室に足を踏み入れる女の子たちは迷わず、ハルにかけよる。

あたしも、こんな女の子だったら後悔することなんてなかったのに。

後悔に後悔を重ねる臆病者。




「ハルくん…、放課後時間ある?」

「ない」

「あしたは?」

「ムリ」



愛想のないハル。あの頃は、ちがったのに。


――ハルになにがあったの?



そう聞いたところで、答えが返ってこないのは分かりきっている。




「あんたら、何なの?頭おかしいんじゃない」




それは頭上から突然聞こえた声。

氷のように、もしかしたらそれ以上に冷たいかもしれない。


え?、と顔を歪ませる女の子たちは、ハルの迫力に退く。


「なんか、ハルくんコワイ」


驚いた、というより信じられなかった。

ハルがあの頃のユウと重なって見えたから。

いつだって女の子に冷たかったユウ。

そんな彼とは対照的に優しかったハル。


ねえ、今では過去なんだよ。

本当のハルは、どっちですか?


どちらを演じているのですか?



「え……、ハル、くん?」



一人の女の子の声が聞こえて、正面に向き直ると、そこにハルはいない。

もろい、ドアの向こう。


いかにもダルそうに、教室から足を踏み出していた。



「ハル、どこいくの?」

「……サボる」



即答。

半分呆れながら、「卒業できないよ?」、とあたしが言うと、


「余裕だし」


と、笑っていた。

ホントかよ。



――――――――――…


―――――――…


「わー、災難災難お疲れさま」


ヒジちゃんめ、人ごとのように言いやがって。

…そりゃ、人ごとだけどさ?


ハルが出て行ったあと、イケイケ女子たちに囲まれたあたしの身にもなってよ…。


「だけど何も言われなかったんでしょ?」

「そりゃそうだけど…、空気がおそろしかった」

「災難だね」


、と。

ヒジちゃんが大変最適なコメントを入れたところで予鈴が鳴った。



また、はじまる退屈な時間。



――また、だ。



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