第5話 夢が終わるとき
「ハルっ…なに――」
ギュッ、と締め付けられる身体からはハルのにおい。
理解できないまま、呆然となるあたしに笑う。
それがバカにした笑いなのか、心からの笑顔なのか、あたしには分からない。
分かれない。
ねえ、分かんないよハル。
あなたが何をしたいのか、分からない。
「俺はただ――」
あたしの心情を読んだのか、彼は手をゆるめ口をひらく。
だれもいない教室。
それは幸いととらえるべきなのか、理解するのにそう時間はかからなかった。
「ミユにユウを忘れさせたいだけ」
それだけ言うと、縛り付けられていた身体を開放させた。
ますます見失うハル。
あたしの知っているやさしいハルは、……どこ。
「はっきり言って、ユウはもう帰ってこない。
ミユだって分かってんだろ」
――ユウはもう帰ってこない
グサリ、とあたしの心臓めがけて降り注ぐトゲ。
それは決して、抜けそうにない。
あたしはまだ、ユウが好きだ。
今になって実感させられるその気持ち。
知ってるよ、イヤというほど、あたしが一番よく分かってる。
ユウにとってあたしたちは何でもないということ。
好きな奴でもなければ、嫌いな奴でもない。
感情を入れるだけの価値もない仲。
そうじゃなかったら、黙ってどこかに行ったりしないよね?
予感が確証に勝手に変わるから、慌ててコクリ、と首を縦にふった。
「だったらなんで、今でも好きなんて思えるわけ」
責め立てるような声に、冷たい顔。
その横顔は、女の子に人気なのにも納得がいくような容姿からなっている。
あたしとは対照的な、容姿に性格。
そんな性格にいままで、どれだけ助けられただろう。
ユウと喧嘩した、あの雨の日だって。
ユウのことが好きな女の子たちによびだされた日だって。
ユウのことでひたすら不安になった日だって。
あたしの隣にはいつも、ハルがいてくれた。
ハルの言葉に救われた。
…はずなのに。
「どんなに裏切られても、きらわれても、好きなんだもん」
いまはその言葉が、トゲとなりあたしを壊す。
「なんで」
理由が分かればあたしだって簡単にユウを忘れられるだろう。
だけど、分からないんだ。
理由も、ユウも、ハルも。
ただもうすこしだけ、時間があればきっと。
傷も癒え忘れられるだろう。
こんばんゎ!あらためまして、のんです。
なんか、めっちゃ顔文字にどハマリですね→(☝ ՞ਊ ՞)☞
きもぃぃww