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第四十五話 『主人公の戦い。』

お久しぶりです、見ていただけた皆様

開いていただけで、とてもうれしいです

……えっと、前回更新は……おまけの0話を除けば8月ですね

いや前期も忙しかったけど後期がその比じゃなく忙しくて、更新できずごめんなさい

読んでいただければ幸いです

リボルブの動きが止まってから十数分が経っていた。

目の前の死闘が静かであるからか、それとも怒声が大きすぎるのか、避難している人々の騒がしい音が聞こえる。

ルフナは馬小屋から出て来こない。

利一はそれを不審に思うことはなく、様子をうかがっているのだと考えた。


馬小屋は少し離れた位置にある。

いつリボルブが動き出すか分からない状況で自ら危険な状況に出てくるよりも、馬小屋にいる方がは安全だ。


そもそもリボルブはただ直進しているだけなのだから、リボルブの前に出るような危険を侵さずとも逃げることは出来るのだ。

リボルブを助けようと考えなければ、エイリを見捨て距離を置くだけで自分は助かる。


「助かる……」


口にすると、利一にはその考えがとても合理的に思えた。


今、目の前の光景をみているだけの自分に果たして何が出来る?

自分は恵人とは違って魔法もまともに使えない。

槍の力を使ったならどうなるか分からないが、それこそ自分が危険になるだけだ。

今から恵人を呼びに行くのは時間的に無意味で、逃げた方がましな選択である。


そうだ、恵人は来てくれる。

城に状況は伝わったのだから、恵人は助けに来てくれるかもしれない。


その考えは浮かんだ直後に否定した。


あの状態の恵人が助けようと考えるとは思えないし、来たとしても間に合わないのだ。

リボルブはともかく、その頃にはエイリは死んでいる。

エイリが術を解いたなら直ぐに辺りは黒炎に巻き込まれ、エイリと利一は助かる位置にいなかった。

利一がエイリを抱えて逃げるというのも不可能である。

高速化はごく短い時間しか持たないのだ。


それから利一はいくつもの考えを、思いついては否定した。


ある考えは納得できないほど非情な選択であり、またある考えは自分の死を覚悟しなければならないような選択だった。


その時、エイリの姿が目に入った。

ひたすらに必死な姿だった。


すべての思考を取り去り、利一は一番シンプルな策を選択する。

エイリが倒れそうである状況なら迷っている時間などないのだ。


実際には策とも呼べないものだったが、目の前で耐える少女を見殺しにするよりかは遥かにまともに思えた。


より正確に言うなら、美しくかつ性格も気立てもいい少女が死ぬくらいなら自分が死んだ方がましだと思った。


『ウィンド』は利一が使える魔法の一つ、風を起こす魔法だ。

以前に使ったときはそよ風程度だったが、高まった今の魔力なら強い風を起こすことができるはずだ。


どの程度の風になるか見当がつかないのは問題だが今の魔力量は当時の倍どころではないらしい。


その魔法で、足止めをしようというのが利一の考えだった。

時間稼ぎをする代わりにルフナにエイリを助けさせ、恵人を連れてくるように交渉する。


ルフナが交渉に乗るかについては確信できないもののその場では危険を退けるために承諾する可能性が高い。


あとで恵人を連れてくることはしなかったとしても、最悪エイリだけは助けることができる。


利一は馬小屋へ急いだ。


________________________________________



一つ風の風が吹いては炎が燃え盛る音が響く。

そんな狭く暗い馬小屋の中で、闇にも負けない黒い毛並をした馬が鳴いた。


「まだよ、落ち着いてアリーク。まだ危ないわ。」


ルフナは興奮気味の愛馬を撫でて落ち着かせる。

今でるのは賢明ではない。


焼けた範囲と進行方向を考えれば馬小屋はもう安全地帯なのだ。

それなら全てが終わってから出ればいい。

その思考にリボルブや対峙したエイリ、利一のことなどみじんも入っていなかった。


むしろ危険な状況を作り出したリボルブも、長引かせたエイリも利一も、死んでしまえばいいとすら考えている。


「ん? アレは……異世界人の。」


視線を向けた先には、馬小屋へと走り寄る利一の姿があった。

ルフナは危険だと思えばすぐにでも燃やしてしまえるように術を待機させる。


駆け寄った利一がひとまずは何もしてこなかったことで、ルフナは警戒を解いた。

どうせ何の魔法も使えない人間だというのが利一への評価だったからだ。


「どうしたんですか? 今の内にお逃げになられた方が良いかと思うのですが。」


ルフナは息を荒げる利一が何か言う前にそう言った。

非情だが当たり前の問いだ。


自分は関わるつもりがないとはいえ、何も出来ない利一がこの場にいても足手まといでしかない。

立ち去る方が誰にとってもいい結果になるだろうとルフナは思っていた。


利一は直ぐにその問いには答えず、息を整えてからまっすぐにルフナを見つめる。

だが、ルフナは決して視線を合わせようとしなかった。


「なんですか? 身を守ることを優先した方が良いというのは当たり前でしょう。」

「その通りだ。意味不明かつ危険な状況で無策に飛び出すなんて馬鹿馬鹿しいことだと思う。」


ルフナは否定されるつもりでいたので、利一が肯定してきたことに驚く。

思わず視線を合わせたルフナに利一は言った。


「でもエイリが飛び出さなかったら避難は間に合わなかったかもしれない。今でさえ多くの兵士が死んだのに、時間を稼がなければ一般人や要人を巻き込んでいただろう。」

「あなたには関係のない話ではないですか。エイリは立場のある人間です。あなたとは違い、国のために死を選ばなければならないこともある。」

「それは……俺だって召喚された異世界人だ。国や関わってきた人たちの期待がある。逃げ出していい人間でもない。」

「巫女には後継者がいてもあなたには代わりが居ませんよ。折角、召喚した異世界人に死なれれば国としては大きな損害です。周囲の人も大いに悲しむでしょう。あなたと巫女は違うんですよ。」


あくまで冷静に反論するルフナの言葉を、利一は苛烈に責められているように感じた。

それでも利一はエイリもリボルブも見捨てたくなかった。


それがエゴだとしても、諦められなかった。


「分かったよ。分かった。」

「……何がですか? 」


利一は先ほどまでの生真面目な真剣さをやめて、いつも通りの柔和な雰囲気に戻る。

ルフナはそれが信じられず、怒りすら覚えた。

真面目に話している時に空気を乱す人間が嫌いなのだ。


そのルフナが不機嫌になったことに気付きながらも利一は続ける。


「周囲とか関係ない。俺が二人を見捨てたくないんだ。例え結果がダメでも、諦めたくないんだよ。」

「あなたに助けられる手段はない。死にますよ? 」

「まだそうと決まってはない。君の協力次第ではね。」

「協力すると思っているんですか? 」


ルフナは利一を蔑むような目で見た。

これだけ意見が食い違っているのに協力を求めてくるなど正気ではない。


利一は勿体ぶるように間を開けて、芝居がかった大仰なしぐさをする。

そして急に真面目な表情になった。


「ここでみんな一緒に死ぬのもいいな。」


何かする気かと思わせる不気味な表情を見て、とっさにルフナは待機させていた炎を使って利一を襲わせる。


『ウィンド』


利一が短く詠唱すると、風が炎を完全に止めた。

ルフナは利一にこれほどの力があるとは考えておらず、消耗を抑えるために術をやめる。


「その力は一体……? 」

「俺の唯一の切り札さ、現状のね。まあ交渉に移ろう。時間がない。」

「……聞くだけなら。」


立場があるルフナは事を荒立てたくはなかった。

嫌々ながらも交渉に乗る。


「どうやらあの黒炎は元々、聖剣で封じていた物らしいんだ。聖剣があれば封じられるものらしい。」

「そうそう聖剣使いなどいませんよ。」

「恵人がいる。」


ルフナは利一が恵人を使おうとしていることに呆れる。


「勇者はもう動かないでしょう? この騒ぎで逃げ出していますよ。」

「確かにね……それでも頼れるのは恵人しかいない。」

「それで私に呼んで来いと? 」


利一はとにかくルフナの嫌そうな態度を無視する。

今は嫌でも行ってもらわなければいけない状況だった。


「君にしてもらいたいことは二つ。一つは俺がリボルブを止めている間に、エイリを連れて行くこと。そしてもう一つはリボルブを連れてくること。」


ルフナはエイリを連れて行くために近づくのは嫌だったが、時間を稼いでもらえることについては益のある話だと感じた。


「……まあいいでしょう。ここで騒がれて危険になる方が嫌ですから。」

「助かるよ」


利一は馬小屋を出る。

ルフナは愛馬をつれてそれに続こうとしたが、ふと立ち止まった。


「どうした? 」


怪訝に思った利一が振り返りながら尋ねた。


「嫌、何でもないわ……」


ルフナは先行く利一の背中にどこかへ消えてしまうような儚さを感じて、少し距離を置いてから出た。


外にでるとエイリの風が徐々に弱まり、天へと伸びる黒炎がうなり始めているのが見える。


「術を掛ける。直ぐにエイリを連れて行ってくれ。」

「分かった。」


ルフナは馬にまたがったままエイリに駆け寄る。

お互いに信用はないが、余裕のない状況では頼り合うしかなかった。


馬上から手を伸ばし、エイリを馬上へと引き上げたルフナは振り向かずに走り去る。

『ウィンド! 』

利一は二人を見届けることも出来ないまま、呪文を唱える。


正直、利一に確証など無かった。

こうして呪文を唱え、リボルブと相対した今でさえ。

自分の能力の限界を知らない利一に確証はなかったのだ。


『ウィンド』の魔法を初めて使った時、利一はまだ未熟で、起きたのはそよ風のように弱々しい風だった。

とても戦いに使えそうにない魔法だと誰もが思っていた。

普通の魔法が使えないと聞かされて、途方もない絶望を味わったのもその時だ。


今は違う。

長い修行と旅、困難を乗り越えた利一は成長していた。

利一の手元から嵐のような強い風が吹いて、暴れようとするリボルブの黒炎を押しとどめる。


利一は今までに感じたことのない、膨大な力が体をめぐるのを感じていた。

どれほど耐えられるかは分からないが、すぐに倒れてしまうという事もなさそうだ。


あとは助けが来てくれるのを信じて待つ。

利一はそれで精一杯だった。

 大学生……別に楽じゃないっすね。うげぇ。

 まあでも、一番投稿が遅れた理由がサークルで作ることにした(企画者が自分)ゲームのシナリオを作っていたからというものなので、自業自得ですね。

 本当に申し訳ないです。

 しかし、どうしても諦めきれなくて。

 というのも昔からゲームを作ってみたくてですね。

 そのシナリオを作っていて……そしてその企画が倒れておじゃん!という状況になって……うっ頭が

 それから反省点を挙げて新たに企画を立てて、ということをしていたら新年を迎えていました。

 それはさておき、もう受験期ですね。

 センター終わっちゃったけど、みんな頑張ってほしいな……

 最後まであきらめないでね! 俺が言うのも難だけど!

 成功しようと失敗しようと、みんなに良縁があることを祈ってるよ! 

 どうせ人生は続いていくのだ……死ぬまで。

 死んでないなら大した事じゃないさ。

 車に引かれて以来、そう思うようになりましたとさ

(';ω;)ああクソ、ついてねえな!!

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