インド人を右に
最近はあまり行っていませんが、昔はよく行ってました。
「ゲームセンター」。
プリクラとかUFOキャッチャーばかりのところではなく、所狭しと平の筐体が置いているような。
・・・
私が大学生の頃、あたかも廃屋のようなゲームセンターがあった。正式な名前は知らないが、皆は「ナポレオン」と呼んでいた。
ゲームの明かりで照らされた薄暗い部屋に、汚い壁。使い古された筐体。どれをとっても素人を寄せ付けない雰囲気。
大学をさぼった先輩が今日もレバーを握る。
「ROUND 1 FIGHT!」
ゲームの声と操作音だけが木霊する。
大学の講義の合間、ここはまさに安息空間だった。
合間を見てはここに通い、達人の技を見、自分もまねてみるのであった。
だが、流石に古いところだったからか、そのゲームセンターは在学中に幕を閉じたのであった。
筐体を家に持ち帰る先輩たちもいた。
常連たちは明るい「アミューズメントパーク」に流れたのだろうか。それとも・・・。
今、自分の心にはもう「ナポレオン」はない。記憶だけが残っている。記憶はあのときのまま残っているが、いまではすっかりただの廃屋になっているのだろうか。
私は、この時以降「ナポレオン」というひとつの安らぎを失っただけではなく、モラトリアムに付随するすべての安らぎを失い、一人都会という暗闇に投げ出された。そこにはゲームの明かりすらない。
私が再度、もし「ナポレオン」を見つけられたら、また時は動き出すのだろうか。
「ROUND 1 FIGHT!」
-終-




