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俺を異世界に召喚した悪い魔女の婆さんをロリババアにしたら何処までも粘着して来るようになったんですけど!?  作者: アステロイドV2
第一章

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人の名前を笑うのは、やめましょう。

「これが昨今(さっこん)話題の冒険者ギルドか~」


時刻は10時くらい。昨夜言った通り、俺と元婆さんは冒険者ギルドに来ていた。


ギルド内を見渡すと、剣や杖、槍などを持った如何(いか)にも冒険者らしい人々が何人もギルドに集まっていた。


いい、いいぞ!ファンタジーらしくなってきた!


「キョロキョロするでない、みっともない。()くぞ」


婆さんは俺の手を引いて、無理矢理カウンターに向かう。


「ようこそ冒険者ギルドへ。本日は、どの様なご用件でしょうか?」


「おぉー!」


来た来た、来ましたよ!冒険者ギルドと言えば、受付嬢に、このお決まりの台詞(せりふ)


「今日は、お兄ちゃんと一緒に冒険者登録をしに来ました!」


このロリババア、またロリ声で…………。それも、お兄ちゃんだと?何歳差だと思ってんのよ、歳を考えなよ、全く。


「……そ~なんですよ。今日は、この子と一緒に冒険者登録をしようと思いまして」


「かしこまりました。では登録料に、お一人様、銀貨二枚(いただ)きます」


登録に、一人二千円か。


「じゃあこれで」


俺は昨日、婆さんから貰った金貨を一枚受付嬢に渡す。婆さんの分も一緒に払ったので、お釣りとして銀貨6枚を受け取った。


「ではこちらに必要事項を記入してください」


受付嬢に紙と羽ペンを渡される。俺は記入すべき必要事項を確認する。


氏名、年齢、身長、体重、髪の色、眼の色と───職業と使用武器?


職業って、まだ決めても無いんですけど。それに武器なんか持ってないし買ってもいない。


えぇ~、どうしよっかな~?適当に書くか?それともやっぱここは王道の剣士って書いとくか?いや~でもな~。


「お兄ちゃん、ここ書いてー」


「んあ!?」


悩んでいたら突然ロリババアに腕を引っ張られて(かが)ませられる。


「ここだよ」


婆さんは自分に渡された紙を指を差す。指を差された項目は職業と使用武器の欄で俺と同じように空欄になっていた。


何事かと思っていたらロリババアが身体を寄せて小さく耳打ちして来た。


「お主は、ワシの弟子なのじゃから魔法使いであろう。武器は杖とでも書いておけ」


「はいはい」


俺は言われた通りに婆さんの職業と使用武器を『魔法使い』『杖』と記入し、その後で自分の分も同じように書いて、何とか全ての項目を記入し終えた。


「……はい。サトウ・タロウ様とルル様ですね」


「はい!」


「フッ!」


俺は反射的に吹き出しそうになるが、グッと堪えた。


ルル、ルルだって!?そんな可愛い名前だったの婆さん?


俺は隣の婆さん……いやルルさんをチラリと横目で見る。婆さんは受付嬢にニッコリ笑いながら───


「痛ッ!?」


俺の右足を思いっきり踏んで来た。人の名前を笑うのは、やめましょう。


「大丈夫ですか?」


「え、ええ、大丈夫です……お、お構いなく」


「で、ではギルドについて簡単に説明しますね」


「よろしくお願いします……」


足の痛みに耐えながら聞いた受付嬢の説明によると───


・冒険者ギルドは国際組織であり、冒険者登録さえすれば各国のギルドで仕事が受けられる。

・受けられる仕事は自分のランク以下のみ。

・冒険者ランクはF<E<D<C<B<A<Sの7段階。

・依頼の成功数やギルドへの貢献度によって昇格出来る。

・依頼の失敗は違約金が発生し、失敗が度重なると降格、最悪の場合ギルドから登録抹消される可能性がある。

・傷害事件などを起こせば降格。殺人、略奪は、一発で除名。


後は常識的な事が幾つかって感じ。ここら辺は、清く正しく誠実にしていれば問題ないでしょう。


「では冒険者カードをお渡ししますね」


手渡されたカードのサイズは交通系ICカードくらいで銅色だ。


カードには自分の名前と今の冒険者ランクを現すFの文字が黒文字で書かれているが(かす)れてしまっている。


「そのカードに、ご自身の魔力をゆっくり流してみてください。暫くすると(かす)れた文字が、今度はハッキリと表示されるようになります」


「へぇ~」


俺は言われた通りに魔力を流してみると、約5秒程で掠れた文字がハッキリと表示された。


「これで大丈夫ですか?」


「はい問題ありません。これにて登録完了です、お疲れ様でした」


俺は、カウンターを離れながらもカードを舐めるように見つめる。


いや~、とうとうなっちゃったよ冒険者に!


まだ依頼は受けてないのに、こうして手元にカードがあると異世界に来たんだって実感しちゃうなァ~。


「ニヤニヤと気持ち悪い顔をするな、馬鹿に見えるぞ」


「あ、おばあちゃん」


カードに気を取られて、隣に元婆さんがいることに気付かなかった。


「ルルと呼べ」


「それって本名?」


「そんな訳あるか。昨日の話を忘れたのか?」


「いや覚えてるけどさ。じゃあ本当は何て言うの?」


「教えん」


「え~、何で~?」


「昨日の言ったぞ」


「いやいやいや、一年一緒に過ごしたのに!?」


「ふん、真の魔法使いは肉親しか本名を知らぬものだ。そう言う、お主こそ一年面倒を見てやったというのにワシに教えぬのか?」


「フゥン……俺の名前は元の世界に置いてきたのさ」


「それで()い。それで?この後はどうするつもりじゃ?」


「取りあえず今、()けられそうなクエストでも受けてから、装備を買いに行こうかな」


俺は依頼が貼り出されているクエストボードの前に行き、依頼を吟味(ぎんみ)する。


「えーっとFランクで受けられそうなクエストは……薬草採取は婆さんの家で死ぬほどやったしなぁ……おっ!これだ、ゴブリン退治!!」


・ゴブリンの巣穴の壊滅、報酬金貨2枚


俺は、この依頼をクエストボードから剥がし、カウンターに持って行きクエストを請けた。


「やっぱ冒険者になったらゴブリンは欠かせないよな~!」


「お主の世界では、そういうものなのか?」


「そういうものなの。じゃあ次は装備買いに行かないと」


「それならばワシに付いて来い」


「はーい」


俺は自称ルル婆さんに付いて行き、紹介された店で装備を整えることに。


「杖、杖か~……使用武器の欄に杖って書いたからには買わなきゃいけないんだけど、一体どれを買えばいいのやら。ってか、そういえば今まで魔法使うのに杖なんて使った事無かったけど本当は要るの?」


「あった方が魔法は使いやすくなるが、お主の場合は必要ない」


「えっ、それってもしかして……俺が特別ってこと!?」


「腐ってもワシの弟子じゃからな。そこら辺の棒でも杖代わりにしておけ」


「そんなことある?」

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