王道モンスター登場
───第14階層、ボス部屋。
……ここまで本ッッッ当に長かった!本ッッッ当に疲れた!!
珍しく疲労困憊の俺。ここまで疲れているのには訳がある。
というのも13階層でのディザベルとの激闘。アレが死ぬほど疲れたっていうのは勿論ある。
だけどそんな事は問題じゃない。
俺が本当に疲れたのは未だに元のロリババアに戻っていないディザベルの事でだ。
13階層で彼女と話した感じ、彼女は俺と過ごした時の記憶が無い。というより20代迄の記憶しかないみたいだった。
道中、その事を聞いてみたら『別にすぐ元に戻るのだから問題ない』『お前には関係ない』とそこで会話終了。
何事も無かったようにディザベルは無言で進んで行ってしまうし、マジで取り付く島もない。
それでもめげずに友好的な関係を気付こうと何度か話題を見つけて話し掛けても『五月蠅い』『黙れ』『口を閉じろ』と対話拒否。
それなのにディザベルは、時折俺をじーっとまるで観察するかのように見つめてくる。
今だってそうだ。
「あ、あの何ですか?」
「…………ふん」
俺に話し掛けられた途端、ディザベルはそっぽを向いてしまう
もうずっとこの調子、マジで気疲れが半端ない。
き、気まずいよー!早くボス出て来てくんないかなぁー!!
そんな俺の祈りが通じたのか14階層のボスが姿を現した。
雲一つない空の下で、大地に落ちる巨大な黒い影。
遥か上空に現れた第14階層のボスモンスター。
あれは───!
「ドラゴンだぁ~!!」
赤い鱗に覆われた巨体、雄々しき翼を翻して現れたファンタジー物でナンバーワンの知名度を誇るであろうモンスター、ドラゴンさんのエントリーだッ!!
さあ、どうする!?どうやって戦う!?
俺は目を輝かせ、獲物を前に舌なめずりしていると───
「蜥蜴風情が」
横にいたディザベルは舌打ちしながらドラゴンに向かって30mはありそうな巨大な白金の剣を1本、高速で撃ち出した。
「うおっ!?」
有無を言わさず先手必勝のスタイルは今も昔も変わらないらしい。
俺は慌ててドラゴンへ向かって高速発射された白金の剣を目で追いかける。
白金の剣は凄まじいスピードでドラゴンとの距離を縮めていくが、ドラゴンは動かない的ではなく生物。
空に舞うドラゴンは余裕を持って飛んでくる白金の剣を回避した。
「まあ流石に───」
躱されドラゴンの後方へ飛んで行った白金の剣が突然消え、ディザベルが現れた。
そして───
ドゴォォォォォン!!!
「い”っ!?」
そしてディザベルがドラゴンの背後に現れたのと同時に巨大な地響きと共に巨大な白金の剣が俺の横に倒れ落ちてきた。
「んなっ!?こ、これって!!瞬間移動!?いや入れ替えか!?」
俺は慌てて上空に転移したディザベルを見る。
「死ね」
ドラゴンの背後を取ったディザベルは2本目の巨大な白金の剣を発射。
「グゴォォォォオオオオ!?」
ドラゴンは自身に迫る凶刃に気付く事も無く背中から心臓ごと串刺しにされ墜落した。
「あ、あんな事も出来んのぉ!?すっげぇ……けどぉぉおおお!?」
ドラゴンが墜落して来た。ここに。
「回避!!退避!!抗議!!ふざけんなァァア!!」
全力DASHで逃げながら俺は思った。
13階層で、あのテレポートマジックを使われてたら俺、死んでたなぁ……と。
「ふん、この程度じゃ話にならない」
ディザベルはドラゴンにぶっ刺した白金の剣と自分の位置を入れ替えて地上に戻って来た。
「でぃ……ディザベル……お、おまっ……!」
「……行くぞ」
ディザベルはボス戦報酬の宝箱には目もくれず次の階層へ向かって行ってしまう。
「抗議!抗議します!!」
「五月蠅い黙れ」
俺は宝箱をそのままアイテムボックスに投げ入れてディザベルに抗議しに行った。




