ミスリル、ミスリル、ミスリルと!
服だけを溶かすスライムと化したクリスタル・ボゥルによってブラジャーまで溶かされてしまったディザベル。
彼女が服を着替えている間に俺もアイテムボックスから変わりの上着を取り出してサッと着替える。
「着替え終わった~?」
「こっちを見るな!」
どうやらまだみたいだ。それなら待っている間にボス戦報酬でも見ちゃいましょうかね~!
俺はボス戦報酬の宝箱を開けて中身を確認すると、中に入っていたのは鞘に収まった長剣だった。
俺は鞘から剣を引き抜いてみると、刀身が炎のように波打っていた。
これは間違えようがない、フランベルジュだ!
すかさずスペクタクルズ・アイで性能を確かめる。
■トライ・ヴェノム・ベルジュ
波打つ刀身を持ったミスリルの長剣。
この剣で斬られた相手は確率で毒、麻痺、石化のどれかに侵される。
「ひょえ~~~ミスリル!ミスリル武器だ!!効果もなんか面白いこと書いてあるし、結構イイかも!」
「お主の身体に傷一つ付けることが出来なかった、あのミスリルか」
「…………よ~し次行こうぜー!」
俺はミスリルとかいう、なまくら剣を鞘に納めてからアイテムボックスに放り投げ、第9階層のボス部屋を後にする。
そんなこんなで辿り着いた第10階層。
10階層ともなると、ここまで辿り着ける冒険者は一握りなのか、馬鹿みたいにいた冒険者パーティーは、もう片手で数えられる程度しかいない。
つまり必然的に戦闘の機会が増えていた。
因みに道中で遭遇するモンスターだが、カラバリ雑魚モンスターも多いが、これまでボス戦で出て来た巨大モンスターを通常サイズにしたような奴らもポンポン出て来た。勿論、そいつらのカラバリも。
……まあそんな事は関係ない。立ちはだかる奴らは全部倒す、全部!
だーれも俺の最強への道を止める事なんて出来ねぇんだから!
「ミスリルなんて雑魚雑魚!男はやっぱりオリハルコン、ヒヒイロカネ、アダマンタイト!という訳でやって参りました!10階層のボス戦!!」
ボス戦報酬で貧弱武器を連続で渡され続けた俺は八つ当たり気味にボス部屋の扉を開けて中にエントリーする!
「さあ、俺の相手は誰だ!?」
ファイティングポーズをとりながら俺は対戦相手を確認する。
中で俺達を待っていたのは馬鹿みたいにデカい青白いゴーレム。
もうこんなんばっか!デカけりゃいいと思ってる。
「ほぅ、ミスリルゴーレムか」
「行けっ!クリスタル・ボゥル!!巨大化!!」
俺の指示通りにクリスタル・ボゥルは元の26mサイズに戻る。
デカい奴にはデカい奴をぶつける!
「よし!パンチだ!!そんなガラクタ粉砕しろ!!」
クリスタル・ボゥルは巨大な両手を作り、必殺の右ストレートをゴーレムに放つ。
ゴーレムも負けじと右ストレートを放ち、拳と拳が激突する!
───まあ、スライプのぷるぷる柔らかボディが頑強なミスリルボディのゴーレムに勝てる訳も無く、クリスタル・ボゥルの右腕が弾け飛んだ。
…………いや!だがしかし!この攻撃は囮!
本命は、大怪獣バトルを繰り広げていた裏で密かにゴーレムの背後を取っていたリヴァータの風魔法によるバックアタック!
───まあ、かまいたち程度でミスリル様が傷つく訳も無く。
「うわああああ!!ミスリルをも砕く俺の拳ィィィ!!」
筋肉のパワーを全開で放った俺の拳は見事ミスリルゴーレムの胸に風穴を開けることに成功。
ミスリルゴーレムは大きな音を立てながら爆散した。
「本当に生身でミスリルを砕きおったわ……」
「こ、こんな力……虚しいだけだ……」
俺は怒りと悲しみに震える拳を何とかおさえてボス戦報酬の宝箱を開ける。
気になる中身は~~~?
なんと!宝箱には巨大なミスリル鉱石の塊が1つ入っていた。
…………まあね、そんな気はしてました。
だってミスリルゴーレムだもん、そりゃそうですよね。
「こ、こんな屑鉄ゥ~~~ッ!」
「お主が異常なだけでミスリルは希少な鉱石なんじゃぞ?」
「だとしても俺は……自分よりも強い武器が欲しい……!!」
切実な願いを口にしながら俺はアイテムボックスにミスリル鉱石を投げ入れる。
「…………さあ、気を取り直して次に行こう!早く行こう!すぐ行こう!」
「うむ。この調子であれば今日中に13階層まで行けそうじゃな」
「お、13階層って確か12階層までの到達記録はあるから……」
「前人未踏の階じゃな」
「よーし行こう!早く行こう!すぐ行こう!」
(流石に前人未踏の13階層に行けばミスリルとかいうガラクタ武器なんかと違うメチャクチャでハチャメチャな性能の武器の1つや2つ転がってるでしょ!)
「うむ、行くぞ!」
(誰も来ない13階層に行けば、やっと湯浴みが出来る……!)
キョウとディザベルの2人は、それぞれ別々の思惑を胸に抱きながら第11階層へ向かった。




