馬鹿者ッ!何を馬鹿正直に本名を書いておる!!
続いてやって来た高級ランジェリーショップ。
「おぉ!殆ど紐ではないか!?」
「ソッスネー」
ロリババアはというと、今まで見た事の無かった下着を着て、何度も俺に見せに来ている。
「見よ!これでは尻が丸出しになるではないか!」
「ワースゴイ」
ロリババア ランジェリーショップで 大興奮
「これは凄いぞ!透け透け、透け透けじゃぁ!」
「いやぁもういいからさぁ、さっさと必要な分、買って早く行こうよ」
「ふん、つまらん奴じゃのぅ……」
ランジェリーショップでロリババアのストリップに付き合う事、約一時間。や~っと下着を買い終わった。これで念願の冒険者ギルドに行けそうだ。
「次は髪を切りに行くかの」
「なぁにぃ!?そんなの今じゃなくていいんじゃないの!?」
「見よ、このボサボサの髪を。こんな髪の女子がおるか?いいから行くぞ」
「あ~もう、行きゃあいいんでしょ行けば!」
こうして渋々行くことになった高級美容院で格闘すること二時間。ロリババアの髪が美しく整えられ、ついでにポニーテールになっていた。
「さて服を買いに行くぞ」
「まだ買うの!?」
「当たり前じゃ!先程は急ぎ着る為の服と下着を買ったまで。生活するには、まだまだ必要に決まっておろう」
「それは……!まあそうなんですけどね…………」
こうして俺は元婆さんに連れられ、服・下着・髪・服・服・靴・下着と王国中の高級店をはしごする羽目になり…………気が付けば時刻は20時頃になっていた。
「大分遅くなってしまったのぅ。そろそろ宿に向かうか」
「そうしてくれ。婆さんの山盛りの荷物で、もう前が見えません」
「ほれ、こっちじゃ」
ひぃひぃ言いながら婆さんの後を付いて行くと、これまた高級そうな…………いや超高級そうな宿に到着。
「お荷物お持ちします」
「ああどうも」
馬鹿みたいに荷物を持った俺を見て、従業員が慌てて駆けつけてくれた。
「やっっっと身体が軽くなったぁ~!」
「ふむ、二人一部屋で…………取りあえず、一ヶ月程滞在しようかの、ほれ」
元婆さんがカウンターで何やら見た事の無い硬貨を従業員に投げ渡していた。
それを受け取った従業員は、見る見るうちに血相が変わり、従業員の数も増えた。ついでに俺達への対応も更に丁寧になった。
「……今の何?」
「白金貨、一枚で金貨の千枚分じゃ」
「…………なぁぁぁんだって!?」
思わず大声が出てしまう。
「一千万円!?なんだってそんな高級店に───ッ痛てて!!」
ちっこいロリババアに右耳を引っ張られる。
「…………いいか良く聴け。お主、冒険者になりたいのなら宿には金を惜しむな。安宿では防犯も悪ければベッドも固い。これでは心身共に休まらん。そんな状態では冒険者稼業も望む成果は得られぬというもの。そうして金が稼げず、また安宿泊まりの悪循環が生まれる」
「おっしゃる通りで。で、でも流石に限度ってもんが…………」
冒険者になる前から、一ヶ月一千万円生活なんて聞いたことないって。
「あの、お客様、お名前を…………」
「…………ふん。お主、書いてこい」
元婆さんは俺の耳から手を離し背中を押す。
「はいはい…………えーっと『サトウ・タロウ』…………っと」
俺はカウンターへ行き、婆さんに言われた通り名前を書く。
「はい、サトウ・タロウ様ですね」
「はい」
従業員が紙に書かれた名前を確認し読み上げ───。
「お主ッ!!」
「あだだだだ!!」
また婆さんに右耳を引っ張られる。今度は引きずられた。
「馬鹿者ッ!何を馬鹿正直に本名を書いておる!!」
「えぇ……だっておばあちゃんが書いて来いって言ったんじゃない」
「何度も口酸っぱく言っておったであろう!他人に本名を知られる事の危うさを!最悪、呪術使いに呪いを掛けられると!!」
「あー、それね。それなら大丈夫」
「なに!?」
「だってアレ、本名じゃないし」
佐藤太郎なんて日本人にしてみれば分かりやすく偽名だよね。全国の佐藤太郎さんには申し訳ないが今時履歴書とかの例文くらいでしか、お目にかかれる機会はないと思う。
「き、貴様……!師匠でもあるワシにも偽名を名乗っていたというのか!?」
「そりゃあ見るからに悪そーな魔女だったし、本名教えて変なの貰ったら嫌じゃん?」
「……………………」
「あの……お客様?」
今まで見た事も無いくらい不服そうな顔をしながらも、悪そうな魔女の元婆さんは俺の耳から手を離した。
「…………はぁ……行くぞ」
元婆さんは深く、深くため息をつきながら、部屋に案内する係員に付いて行く。
「今日は一日中歩き回って、もうヘトヘト。早く部屋で休みたいよ」
俺も元婆さんと一緒に部屋に向かう。
「こちらです」
「うわぁ凄い、扉だけで元が取れそうなくらい豪華、こりゃあ中も期待出来ますよ」
「馬鹿言ってないで入るぞ」
元婆さんと一緒に部屋に入る。
「こりゃあ凄い、まるで光り輝いて見えるよ」
案内された部屋は、広々として、とっても豪華。こんなの冒険者稼業がトントン拍子に上手く行って億万長者にでもならなきゃ泊れなさそうだ。
「さて、ワシは風呂に入って来る。お主も夕食前に入って来い」
「マジぃ!?さっすが超高級ホテル、風呂まであるなんて夢みたい。異世界生活も長くて風呂には飢えてるんだよね俺」
「大浴場は一階じゃ、一緒に入るか?ん?」
「残念、生憎、俺の裸は安売りしてないんだ……ってあれ、いない」
いつの間にか婆さんがいなくなっていた。あの婆さん、俺を置いて、さっさと行きやがった。
「にしても大浴場か、異世界で成り上がった時の楽しみが増えちゃったよ」
風呂好きの日本人としては大浴場と聞いたら居ても立っても居られない。折角気前よく婆さんが宿代を払ってくれたんだ、堪能しちゃいましょう。




