作戦会議
ダンジョン都市ガーンデーンの中心街にある高級ホテルの一室。
ディザベルの我が儘でポートリスにいた頃と同じように2人で1部屋を借りて過ごす事になったキョウ達。
2人は今回の目的である、例の首枷を使って商売をしている連中を見つける為の作戦会議を始めようとしていた。
だがその前にキョウはディザベルがBランクに昇格する要因になったゴブリン騒動の話を本人から詳しく聞いていた。
「へぇ~、突然どっかに行ったかと思ったら、まさかゴブリンのスタンピードが起きてたなんて……」
「ふふん、どれだけ数が集まろうと所詮はゴブリン、造作も無かったわ」
「そんでその功績が認められてFランクから一気にBランクに昇格……まあ俺だってすぐにBランク……いやSランクに上がってやりますとも!」
「くふふ、まあ精々頑張るがよい」
「……にしても、まさかディザベルがゴブリン討伐なんてなぁ、あの時は巣穴にすら一緒に入ってくれなかったのに……」
「何度お主を連れて来れば良かったかと思った事か」
「な、なんて野郎だ……」
この女、自分が嫌な事は他人に押し付けるタイプか!?
「あんなにゴブリンを嫌ってたのに助けに行ったんだ?」
「…………本当に助けて欲しい時に誰も来てくれないのは……悲しいから…………だからあの時、キョウが来てくれて…………」
ディザベルは何か自分の過去の出来事を思い返しているのか、普段とは違う態度、違う口調で心情を吐露していた。
「ディザベル?」
「───ッ!この話はこれで終わり!さっさと本題に入るぞ!!」
ディザベルは慌てて話を無理矢理変えて来た。
「その事なんだけど私にいい考えがある……!」
待ってましたよと言わんばかりに俺は考え抜いた最強の作戦をディザベルに発表する。
「んん?」
「アイツ等の奴隷売買って基本的に金持ちをターゲットにして商売をしている訳じゃん?」
「まあ、そうなるのぅ」
「それなら、この国のダンジョンを踏破して俺達もビッグネームの金持ちになっちゃえば向こうから寄って来るんじゃない?」
「……ふむ、確かに」
ダンジョンを踏破した事で得られる名声、誇示出来る力、そして獲得したアイテムを売る事で多大な富を。
そうなれば大衆から注目され、様々な人間が擦り寄って来るだろう。
勿論、首枷を使って奴隷売買をしているような悪人も。
「どう?」
「悪くは無い。無名のワシらが嗅ぎまわっても奴らは相手にせんだろうし見つけられるとも限らん。何日間も探し続けるよりは効率が良さそうじゃのぅ」
「でしょ~?」
「しかしお主、本当はダンジョンに行きたいだけなんじゃろ~ぅ?」
ディザベルは身を乗り出して対面に座っているキョウの額を右人差し指でグリグリと押す。
「……そうだよ!行きたいか行きたくないかと言われれば行きたい!」
「……まあよい。お主にはワシに付き合わせているしのぅ、それくらいは別に構わん」
「あっ、本当!?やったぁ!そうと決まれば早速、ダンジョン攻略開始だ!」
「ところで、ダンジョンというと、この国の中心にあるアレに挑戦するつもか?」
「そりゃあ勿論!アレが一番デカいし」
「何階層あるんじゃ?」
「さあ?まだ誰にも踏破されてないって。確か最高で12階層までだったかな?」
「ふむ……では明日からはダンジョン攻略に向けて準備じゃな。明日は食料やアイテムなどの買い出しを、明後日はダンジョン内で食べる食事の作り置きを作るぞ」
「何食分作ればいいんだ?ディザベルはこんな感じに何階層もあるダンジョンに潜ったことはある?」
「少しはあるが……そうじゃな、余裕を持って10日程あればいいじゃろう」
「そんなに」
「まあワシとお主の2人なら不覚を取るなどありえんが、一応な?」
「まあそうね!俺と婆さんの最強コンビなら負ける事などあり得ないが準備だけは念入りにしておきましょう!うぉ~!腕が鳴るぜー!」
初めての土地に初めての大型ダンジョン!嫌でも闘志が湧いてきますよー!
「さて、やる事も決まったようじゃし風呂に入るぞ」
ディザベルは俺の腕を引いて一緒に入らせようとしてくる。
「何で!?」
何故この女は一緒に風呂に入ろうとしてくるのか。恥じらいってもんが無いのか!?
だがクソッ!我慢だ!これからダンジョンで背中を預け合う大事なパートナーなんだ。ここでパートナーの機嫌を取らず不和を生むような事はあってはならない……!
俺は嫌々ながらもディザベルと風呂に入った…………入ったが……この女、入浴中に疲れて寝やがった。
勘弁してくれと何度も起こそうとしたが一向に起きない。
結局、俺はディザベルを抱えて風呂から出て身体を拭いて髪も乾かし、更に下着もパジャマも着させてベットに寝かせる羽目になった。
……ふん、まあいいさ。つい最近、多くの人を救ったんだ、これくらいは許してやりましょう。




