到着!ダンジョン都市ガーンデーン
ポートリス王国からダンジョン都市ガーンデーンに向けて出発してから4日目。
途中アクシデントや寄り道をしたものの、ディザベルは当初予定していた到着予定日通りにガーンデーンに着く事が出来た。
時刻は夕暮れ時より少し前。
自慢の箒を飛ばしてきたせいでボサボサだった髪を軽く整えてから、何かあった時の合流場所に指定していた冒険者ギルドに入ったディザベル。
ギルド内をざっと見渡すがキョウの姿は見えない。
しかし職員に伝言か何かを残しているかもしれない。ディザベルはカウンターへ向かい、そこにいたギルドの受付嬢にキョウについて聞く。
「サトウ・タロウという男が何か伝言を残して行かなかったか?」
ディザベルは自分の冒険者カードを受付嬢に見せながら聞くと受付嬢は笑いながら答えた。
「ああ、タロウさんが言っていたルルさんですか!……ふふふ、タロウさんならもうすぐ帰って来ると思いますよ……ふふ……」
「う、うむ」
なんじゃ、この者の、この態度は?
あの馬鹿弟子、まさかワシに恥を掻かせるようなことを───!
「あ、タロウさんが帰ってきましたよ」
ディザベルは振り返ってギルドの出入り口を見ると───いた。
「よぉ~タロウ、もう馬と駆けっこはいいのか?」
「まあな」
「で、どっちが勝ったんだ?」
「今日は俺の負けにしておいてやる……」
「タロウ、明日私達とパーティー組んで一緒にダンジョンに行かない?」
「また今度な~」
キョウはギルドにいた多数の冒険者達に声を掛けられながらディザベルのいる受付に向かって歩いて来た。
「すいませーん受付のお姉さん。ルルって来ましたか~…………っているじゃん!?」
顔が見える至近距離まで近づいてやっとキョウはカウンターにいたディザベルに気付いた。
「お主…………」
久々に見た馬鹿弟子は楽しそうで、この国に順応し切っていた。
この国について半日も経っていないだろうに、冒険者ギルドの職員や冒険者達とも友好的な関係を築いているようだし、右肩にスライムなんか乗せておる。
「随分と楽しそうじゃのぅ……肩にスライムなぞ乗せて…………ん?なんじゃそのスライム!?」
今日の右肩に乗っていたスライムをディザベルは思わず二度見してしまった。
「こいつは俺の新たな旅の仲間、名付けて『クリスタル・ボゥル』!」
右肩に乗っていたスライムはピョンと一回跳ね、自分の身体からサムズアップした小さな人間の右腕を生やしキョウの言葉に応える。
「また付属品が増えとる……」
馬の次はスライムと来たか。
「凄いんですよタロウさん。街道沿いに現れたカイザースライムを白馬と一緒に倒したばかりか仲間にしちゃったんですから」
カイザースライムというとスライムの数ある上位種の中の1つで、強さは上から数えた方が早い。だが、まあキョウなら倒せるじゃろう。
「そうそう、これ見てよ!魔法使いと別にテイマー登録しちゃったよ俺!」
キョウは自慢げに自分の冒険者カードをディザベルに見せて来る。
「それは良かったのぅ」
「でもそれだけじゃないんだな~。ここ!ここ見てよ、ほら!」
キョウは冒険者カードの自身のランクを示す箇所に指を差す。そこにはDランクと書かれていた。
確かポートリスにいた頃は最下位のFランクだったはず。
「俺の実力が早くも認められたって訳!」
「それは良かったのぅ」
「あっ、ルルさん!」
ディザベルがキョウと久々にじゃれ合っていると受付嬢に後ろから声を掛けられる。
「なんじゃ?」
「ゴブリンの一件では大変お疲れ様でした。こちらギルドマスターから預かっている報酬金と新しい冒険者カードです、ご確認ください」
大量の金貨とディザベルの新しい冒険者カードがカウンターに置かれる。
「うむ」
「え、ちょっ!はぁ!?ゴブリン!?いやそれより!!」
ゴブリンがどうのこうのとか、多額の報酬金にも驚いたが、一番驚いたのはディザベルの新調された冒険者カードだ。
キョウは身を乗り出し、ディザベルの冒険者カードを食い入るように見る。
まずディザベルの新しい冒険者カードはキョウの物とは色が違う、材質が違う、輝きが違う。
ディザベルのギルドカードは色も材質も正しく銀!
それに比べてキョウの冒険者カードは薄汚れた茶色い厚紙だ。
次に気になるのは何と言っても冒険者ランク!こんな豪華な冒険者カードならそれに見合うランクなはずだ。
キョウは恐る恐るディザベルの冒険者カードに書かれたランクを見る。
「びびびっ!Bランクぅ~!?」
「くふふ、ワシの実力が早くも認められてしまったの~う♪」
「こ、こ……んのっクソババアぁぁぁ!!」
チクショウ!やっぱこのババア嫌いだ!わざわざドヤ顔でこっち見て!嫌らしい!!




