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俺を異世界に召喚した悪い魔女の婆さんをロリババアにしたら何処までも粘着して来るようになったんですけど!?  作者: アステロイドV2
第二章

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さよならルルちゃん先生

「ルルちゃん、私お腹すいたぁ……」


「ふむ、もうそんな時間か…………」


朝からプリアルとフィルメアの2人に魔法を教え始めて気付けばもうお昼時。プリアルの言う通り、ワシも腹がすいて来た。


「ではお昼ご飯を食べ終わったら授業を再開しようかのぅ」


「わかった!」


「あ、待ってプリアル!」


勢いよく家に帰るプリアルと妹を追いかける姉フィルメア。


「お母さーん!お腹すいたー!」


家に帰ったプリアルの声が外まで聞こえて来る。


「フフフ……さて、ワシも食べて来るか」


「──────ルルちゃ~ん!」


何処で昼食を済ませるか考えながら町に向かって歩いていた時、何故か家に帰ったはずのプリアルが走って戻って来た。


「一体どうした?」


「お母さんがルルちゃんの分も作ってくれたから一緒に食べよ!」


「本当か?それは楽しみじゃのぅ♪」


「早く行こ!もうお腹すいちゃったよ~」


プリアルに腕を引かれながらディザベルはプリアルの家に入った。


食卓にはキノコなどの野菜やベーコンが入ったスパゲッティが並べられており、既にフィルメアと父と母が座っていた。


「ルルちゃんはそこの席ね!」


「うむ」


ディザベルはプリアルがポンポンと叩いた席に座る。


「お母さん早く食べよー!」


「はいはい、それじゃあ食べよっか」


「やったぁ!」


プリアルは自分の皿に盛られたスパゲッティを食べ始める。


「…………美味しぃー!」


「もうプリアルったら……」


プリアルに続いてフィルメア達も食べ始める。


「ルルちゃん、美味しいよ!」


「ふむ、では……いただきます」


「何それ?」


「ん?……ああ、これはワシの弟子の故郷に伝わる食前の挨拶じゃよ」


「へぇ~」


キョウと長く暮らしていた癖で奴の故郷の言葉が自然に出てしまったが、この周辺では食前の挨拶をする習慣は無い。そのせいでプリアルに不思議がられてしまった。


「……いただきます」


「あっ、じゃあ私も!いただきまーす!」


フィルメアがディザベルを真似て挨拶をし、プリアルも姉に負けじと挨拶をする。


「ふ……2人揃って真似せんでもよいというのに」


「私はルル先生の弟子ですから」


「私も!」


「ふふ……」


ワシは笑いながらスパゲッティを口に運ぶ。


「───うむ!美味しいのぅ」


「そうでしょ、そうでしょ~!?」


プリアルは嬉しそうに笑いかける。


プリアルが自慢するように確かに美味しい。そして何より───暖かい。


家族団欒(だんらん)となって食べる、あの暖かさを……この料理から感じる。


「…………食べ終わったら授業を再開しよう」


「うん!」


家族団欒(だんらん)……か、懐かしい響きじゃな…………。


ディザベルは遠い昔の情景を思い出しながら懐かしい暖かさを感じさせるスパゲッティを食べた。




「アクア・ランス!」


「シャイニング・ランス!」


プリアルの放った光の槍とフィルメアの放った水の槍がディザベルの作った2枚の土壁を貫き、穴を開けた。


「……うむ!2人共、攻撃魔法は上出来じゃな」


「やったね、お姉ちゃん!」


「うん!これでもうゴブリンに襲われても倒せる!」


「うむ。じゃが魔法の練習は毎日続けることじゃぞ?」


「「はーい先生!」」


「では今日最後の授業を始めよう」


ディザベルはアイテムボックスからコップを一つ取り出し、テーブルの上に置く。


「プリアルよ、朝教えた回復魔法は覚えているな?」


「うん、それがどうしたの?」


「回復魔法に使う魔力をフィルメアに与えよ」


「え?」


「フィルメアはプリアルの魔力を受けながら、水魔法でそのコップに水を溜めてみよ」


「そんな簡単な事でいいんですか先生?」


「まぁやってみよ」


ディザベルは椅子に座って2人を見守る。


「は、はい」


「行くよ、お姉ちゃん」


「う、うん」


プリアルの癒しの魔力を受けてフィルメアは水魔法を使おうとする。


───だがフィルメアは一向に水を生み出すことが出来ない。


「どうしたの、お姉ちゃん?」


「こ、これ……ッ!…………む、難しい!」


フィルメアはディザベルに課された課題の難しさに疲れて尻餅をついてしまう。


「ぜ、全然水が作れない……!」


「そうじゃろう、そうじゃろう?自分1人の魔力だけならまだしも他者の魔力を受けながら魔法を使うのは難しいからのぅ」


例えるなら、どんなに走っても前に進めない夢の様にフィルメアは水魔法を思うように使うことが出来ないでいる。


「お姉ちゃん大丈夫?」


「だ、大丈夫!もう一回やるよ!」


「うん!」


フィルメアは立ち上がり、もう一度課題に挑戦する。


「ふふ、2人とも頑張れ頑張れ」


「ルル先生」


ワシが2人の頑張りを見ていると後ろからプリアルの両親に声を掛けられた。


「うん?なんじゃ?」


「こちら少ないですが受け取ってください」


「ん?」


プリアルの両親はディザベルに金銭の入った袋を渡す。


「別にいらんよ」


ワシは渡された金銭を受け取らず2人に返す。


「いえいえ、そういう訳には!私達を助けてもらったばかりか、2人に魔法の授業までしてもらっているのに!」


「確かにワシはお主達を救ったが、お主達だって、この町を救ったではないか」


「……ど、どういう事ですか?」


「お主達が命がけで娘を助けなければ、フィルメアがプリアルを逃がす事が出来なければ、プリアルがワシに出会わなければ、この町はゴブリン共に攻め落とされていただろうからのぅ。間接的にではあるがお主達家族がこの町を救ったと言っても過言ではない」


「そんな事は!私達はただ子供を守りたい一心で───!」


「じゃからワシが2人に魔法を教えるのは町を救った者が受け取るべき報酬を渡しているにすぎんよ」


「で、ですが……」


「……ふむ、そうじゃな。2人がどうしてもと言うならワシの代わりに弟子を誤った道に進まぬよう育ててくれぬか?」


「それは出来ませんよ!私達夫婦は魔法を使う事が出来ません」


「親として子を導いてくれれば構わぬ。ワシは弟子を正しく育てる事は出来なかった事からな……」


実際、ワシに牙を剥いて来たアホがいたしのぅ……。


「……分かりました、私達に任せて───」


「ルルちゃ~~~ん!出来たよ~~~!」


プリアルが会話を遮るようにディザベルに向かって叫んだ。


「…………なぬっ!?」


ディザベルは、プリアルの『出来たよ』という言葉を理解するのに数秒掛かってしまった。


なにせ2人に課した本日最後の課題は半日やそこらで出来る難易度では無かったからだ。


ディザベルは慌ててテーブルの上に置いたコップを見ると、中には光と水の魔力が溶け合った水がコップ一杯に入っていた。


「本当に出来ておるのぅ……」


「これって何なの?」


「これは回復薬じゃよ」


「……回復薬って!ルル先生が皆にあげてたやつですか!?」


フィルメアは地面に座って休憩しながらディザベルに質問する。


「うむ。アレよりは効力は落ちるが、それでもよくやったのぅ2人とも!」


「ホント!?やったね、お姉ちゃん!」


「う、うん……!」


フィルメアとプリアルは笑顔で喜び合っている。


「くふふ……」


嘘をついたのが申し訳なくなるのぅ……。


効力が落ちていると言ったが、あれは嘘だ。


2人が作った回復薬は今回のゴブリン騒動でワシが使っていた中級回復薬と同じ効力を持っていた。


想定では回復薬を作ることが出来ないか、出来ても下級の物だろうと思っていた。


それがまさか、初めてで中級回復薬を作れるとは……2人の才能は馬鹿弟子以上かもしれん。


中級回復薬となれば売れば金貨2枚、買えば3枚くらいだろうか?


この事を正直に伝えても良かったが、この家族が目先の欲に駆られて、回復薬を売る事で生計を立てようとして魔法の練習を疎かにしてしまい2人の才能が潰れてしまう事をワシは避けたかった。


「ほれ、2人とも飲んでみよ、疲れが回復するぞ」


ディザベルは2人が作った回復薬を2つのコップに分けて渡す。


「ホント?」


プリアルは回復薬を受け取り、一気に飲み干す。


フィルメアもプリアルに続いて一気に飲む。


「うぇぇ……にがーい……」


プリアルは顔をしかめ舌を出している。


フィルメアの方は何も喋らずに無言で妹と同じ顔をしながら舌を出していた。


「まあ薬じゃからな、ほれ口直しに」


ディザベルはアイテムボックスからアップルジュースの入った容器を取り出し、それを二つのコップに注いでから2人に渡す。


2人はすぐに受け取ると、ゴクゴクと飲み干す。


「おいしー!」


2人の顔に笑顔が戻る。


「ほれ、まだまだあるぞ」


ディザベルは空になった二人のコップにアップルジュースを注ぐと、2人は今度はゆっくりと味わってジュースを飲む。


「2人とも、回復薬はいざという時の為に日頃から作り置きをしておく事」


「はーい」


「それと回復薬を他の人に使うのはよいが、この事は誰にも話さず、そして売らない事。よいか?」


「え、どうしてですか?」


フィルメアは不思議そうにディザベルに聞く。


「2人にはまだ分からぬだろうが、いらぬ面倒事を回避する為に必要なことなんじゃよ」


回復薬をただで作れると知られれば、必ず面倒な輩が2人の前に現れるだろう。


「お主達もよいな?」


ディザベルは2人の両親にも釘を刺す。


「は、はい!」


「……さて、もう夕方になりそうじゃな、そろそろ帰るとするかのぅ」


「ルルちゃん、明日は何時に魔法の授業するの?」


プリメアは目を輝かせて次の予定を聞いてくる。余程魔法が楽しかったのだろう、フィルメアもディザベルの返答をソワソワと待っていた。


「……その事なんじゃが…………今日で2人とはお別れじゃ」


「…………え?」


プリアルとフィルメアはディザベルとの突然の別れにきょとんとしている。


「……ワシは悪い奴を倒しに行く途中でのぅ。弟子も待たせておるし、これ以上ここにいる訳にはいかぬのじゃ、すまぬな」


「……それじゃあ私も先生と一緒に行きたい!」


「私も!私もお姉ちゃんと一緒にルルちゃんと行く!」


「……2人の気持ちは嬉しいのじゃが……相手は強い。2人を守りながらでは満足に戦えぬ。それに守り切れる保証が無い」


「うぅ……」


命の恩人で魔法の先生との突然の別れ、そしてそんな彼女に足手まといだと暗に言われてしまったせいで2人は意気消沈してしまっている。


こうなってしまう事は容易に想像出来ていた。


───つまり、こんな時の為の準備は既に出来ているという事。


「……じゃが!お主達の事を途中で投げ出すつもりは無いぞ!」


この日の為に2人にプレゼントを用意して来た。


それは───


「名付けてルルちゃん人形じゃ!」


ディザベルをそのまま手乗りサイズにしたような球体関節人形を一体、フィルメアの手に乗せる。


「なにこれー!?」


姉妹揃ってルルちゃん人形を見て驚いている。


「くふふ!お主達の魔法は、これからルルちゃん人形が面倒を見るぞ!」


「そういう事じゃ」


フィルメアの両の手の平に乗っていたルルちゃん人形が立ち上がり喋り出す。


「動いた!?喋った!?」


「先生なのだから当然じゃろう?」


ルルちゃん人形は、さも当然の様に言ってのける。


「この偉そうな感じ、ミニルルちゃんだぁ……」


「ワシの知識の全てをルルちゃん人形は持っておる。安心して魔法の勉強に励むがよい」


「うむ。ワシに任せるがよい」


ディザベルとルルちゃん人形が交互に喋る。


「ミニルルちゃんって、ごはん食べるの?」


プリアルは、ルルちゃん人形を覗き込みながら質問すると、その質問にルルちゃん人形が答える。


「別に食べなくてもよいが、定期的にお主達の魔力を貰う必要があるぞ」


「へ~、ミニルルちゃんって魔法使えるの?」


「使えなければ魔法を教えられぬであろう」


「それもそっかぁ」


「ねぇ先生!」


ルルちゃん人形を手に乗せたまま、フィルメアはディザベルに話しかける。


「ん?なんじゃフィルメアよ?」


「私達、絶対強くなるから!だから強くなったら今度は一緒に連れてって!」


「……うむ!その時はワシがまた迎えに行こう」


「聞いたプリアル?頑張って早く先生に来てもらおう!」


「うん!またね、ルルちゃん!」


「くふふ♪2人にまた会える日を楽しみに待っておるよ」

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