ここがポートリス王国か~
時刻は昼間、王国の城門前。
「おぉ~わぁ!こ~れが異世界の王国か~」
思わず感嘆の声が漏れる。
高い城壁に城門、そこを警備している警備兵と、ちらほらといる人達は、入国待ちだろうか。
冒険者っぽい人、馬車に商人、それから一般人と、どれもファンタジー物で見た事あるような身なりの人達だ。
うーん、本当に異世界に来たんだなぁって感じ。
「ほれ、呆けとらんで行くぞ」
感慨にふけっていた俺を置いて入国待機列に向かう元婆さん。
「ちょっと待ってって!」
俺は元婆さんの後ろを追いかける。
入国待機列で20分ほど待っただろうか、遂に俺達の番がやって来た。
「入国税、大人は金貨1枚、子供は銀貨5枚」
「……………………」
金貨一枚日本円で一万円、銀貨は千円。つまり一万五千円。
…………も、持ってねぇ~!今まで自給自足の山暮らしだったから金なんて持ってねぇ~~~!!
無一文の俺は冷や汗ダラダラで、どうするか必死こいて考えていたら…………。
「え~と…………はい!」
隣の元婆さん現ロリババアが狙いに狙いまくったロリ声と共に懐から二人分の入国税を出した。
「おっ、お嬢ちゃん偉いね~」
「えへへ~…………フッ……!」
こ、こいつ!今、したり顔で…………ッ!く、クソババア~~~!!
けっ!どうせ、あの婆さんの事だ…………。
(くっふっふ~、なんじゃぁ?お主、金も持たずに冒険に出ようとしたのか~???くふふ、ワ・シ・が!いなければ今頃、文字通り門前払いじゃったの~ぅ?ちゃ~んとワシに感謝せぇよ?)
と~か思ってるんだろうな~~~!チクショウ!
脳内イマジナリーロリババアに煽られながらも城門を潜り抜け、無事に入国。
「ここがポートリス王国か~」
異世界に来て早一年。
ずーっと山奥で老人介護してて異世界で冒険らしいことをこれまで一切して来なかったが…………やっとだ、やっと、このポートリス王国で、俺の冒険は始まる……!
「くっふっふ~、なんじゃぁ?お主、金も持たずに冒険に出ようとしたのか~???くふふ、ワ・シ・が!いなければ今頃、文字通り門前払いじゃったの~ぅ?ちゃ~んとワシに感謝せぇよ?」
イマジナリーロリババアに煽られた言葉と一言一句たがわず、今度は、リアルロリババアさんにも煽られた。
「いや~助かりました、ありがとうございます~」
「うむ、じゃがこの金は貸したにすぎんからの、ちゃんと返すんじゃぞ?」
「へーへー、分かっておりますとも」
「うむ、分かっておればよい」
王国に着いて早々に借金、それもこの婆さんにするとは思わなかったが、まあ問題ない。働いて返せばいいんだからな!
そう、異世界で働くと言えばクエスト、モンスター討伐だよな!
そしてそんな依頼を仲介する場所といえば───!
「では行くとするかの、まずは───」
「冒険者ギルド!」
「服を買いに」
…………うん?
「…………いやいやいや!普通こういう時は、冒険者ギルドに行くって相場が決まってんだろ!?オメェ馬鹿か!?」
「ほほーう?ワシは誰かさんのお陰で着る服が無いんじゃが?いいんじゃぞ?今ここでローブを脱いで泣き叫んでも」
確か今の元婆さん、ローブの下は全裸。そんなヤツが街中で全裸になって泣き叫んでもみろ?
一瞬で号泣する全裸の幼女を引き連れた変態にジョブチェンジ!ついでに牢獄にもぶち込まれる!最悪そこで冒険終了!
「行きましょう行きましょう!服屋でも靴屋でも何処へでも!荷物持ちでも何でも致しましょう!」
「ふむ、分かればよい。では行くぞ」
「はいはい、火の中、水の中、何処へだって、お供致しましょう」
獄中死を回避すべく、ロリババアの後を付いて行くと───。
「な~~~んか高そうな店に来たんですけど」
「まずは此処じゃな、行くぞ」
「ほーい」
言われるがまま元婆さんと一緒に店に入る。
「いらっしゃいませ」
店に入ると、店の制服を着た女性店員に挨拶される。
「本日は、どのようなご用件でしょうか?」
「え、えーっと……」
「うむ、今日はワシの服を買いに来た」
「お嬢様の、お洋服ですね、こちらへどうぞ」
「うむ」
女性店員の先導の元、子供服売り場に到着。
「ほ~ぅ!ほぅほぅほぅほ~ぅ!な~るほ~どの~ぅ!最近は、このような意匠の物もあるのか!この白いの中々……おっ!こっちの黒いのも可愛いのぅ!」
元婆さんは年甲斐もなく、はしゃいでいた。
「取り敢えず、これとこれと……それからこれも買おうかの」
元婆さんは店員に気に入った服を何着か渡す。
「ありがとうございます」
「それとこれも。あぁ、これは今、着替えていこうかの」
「かしこまりました」
「これに合う靴はあるかの?」
「お持ち致します、少々お待ちください」
「うむ」
暫くすると増援の店員5人が靴を十足ほど持ってきた。
「おぉ!靴も進化しとるのぅ!」
元婆さんは店員が持ってきた靴を何度も見比べ、その中の一足に指を差す。
「うむ、これが気に入った!これを貰おうかの」
「ありがとうございます」
「これも今履いて行くからの」
「かしこまりました」
「して代金は?」
「合計金貨35枚になります」
「高ッ!?」
日本円で35万。
「ほれ」
婆さんは、すぐさま店員に金貨を手渡し、店員は受け取った金貨を確認する。
「金貨35枚確かに。お会計ありがとうございました」
「更衣室は何処かの?」
「こちらでございます」
「うむ」
元婆さんが更衣室に消えて───数十分後。
「くふ、くふふ、くふふふふ……!」
白のノースリーブブラウス
黒のハイウエストタックショートパンツ
黒のサイハイブーツ
これらを見事に着こなしたロリババアが笑い声と共に更衣室から戻って来た。
「益々可愛さに磨きがかかってしまったのぅ!」
自信満々に店内にあった鏡の前で何度もポーズを決める元婆さん。
そう、このロリババア、率直に言うと可愛い、すっごく可愛い。可愛い……が、元の婆さんの姿を知ってると……なぁ。
「そう見惚れるでない、照れてしまうではないか」
そう言いながら満更でもなさそうな元婆さん。
「いやぁ、元の姿がどうもチラついてさぁ」
「本当に、こやつは減らず口を…………」
「こちらを」
「うむ」
店員から購入した品物を渡され、元婆さんは受け取るや否や───。
「ほれ、荷物持ち」
俺に渡す。俺は渋々ながらも荷物持ちとしてお仕事をする。だって変態として投獄されたくはないから。
「さあ行くぞ、次は下着じゃ」
「うえぇ!?」
「なんじゃ~?お主、ワシにノーパンノーブラでいろと言うのか?見てみぃ、今にも乳首が透けそうになっておるではないか。お主、そういうのが好みか?」
「さあさあ行きましょう!露出趣味のマセガキを連れたくは、ありませんから」
俺は元婆さんの背中を押しながら次の店に向かわせる。
「はぁ……お主の次から次に出て来る減らず口も最早才能じゃのぅ…………」




