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俺を異世界に召喚した悪い魔女の婆さんをロリババアにしたら何処までも粘着して来るようになったんですけど!?  作者: アステロイドV2
第一章

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風呂イベント

「……温かい」


ルルが目を覚ますと、そこはタロウと共に泊まっていた宿の柔らかくて(ぬく)いベッドの中だった。


「……確かワシは…………」


ルルは前後の記憶を呼び起こす。


確か……ジカスの奴に仕置きをしたはいいが無理に魔法を行使したせいで疲れて、それから…………ふむ、何も覚えておらん。


……まあ大方、気絶したワシをタロウめがベッドに運んだんじゃろう。


しかし、あやつも雑じゃのぅ。仮にも女子であるワシを服も着せずにそのままベッドに放り投げるとは。


「どれ、あの間抜けに文句の一つでも言ってやるかのぅ」


ワシは、タロウに会うべく早速ベッドから出て部屋を出ようとするが、ふと部屋にあった姿見が視界に入る。


ワシは、吸い込まれるように姿見の前に行き、自分の姿を見てしまった。


姿見に映ったルルの身体は、一言で言うなら傷だらけだった。


ジカスの奴に嵌められていた隷属の首枷と手枷と足枷は外されていたが、枷が嵌められていた場所には()り傷があったし、何より身体中のカースド・タトゥーが刻まれたままだった。


このタトゥーを見るだけでルルの心がざわつく。


「……はあ…………」


ワシは逃げるように姿見から離れ、部屋を出た。



「おっ!?おばあちゃんやっと起きた?もう昼だよ……って何で裸なんだよ!?」


部屋から出ると、いつもの調子で馬鹿弟子が迎える。


誰かが迎えてくれるこの感じ、随分と久々のように感じる。


「お主が着せてくれなかったからではないか?」


「服くらい自分で着なさいよ!子供じゃあるまいし」


「子供じゃが?」


「……そうでしたね」


「まあそんなことよりワシは風呂に入る。お主も付いて来い」


「はいはい、行ってらっしゃあ~…………はぁ!?」


素っ頓狂(すっとんきょう)な声を出して驚く。


「どうした?」


「いやいやいや!いくらなんでもそれはおかしいって!!」


「んん、なんじゃあ?ワシを(いた)わってはくれんのか?ん?」


「それはズルくない?」


タロウは渋々、ルルと一緒に部屋に備え付けてある浴室に向かう。


「まずは髪を洗って貰おうかのぅ」


ワシは浴室にあったバスチェアに座り、タロウに指示する。


「はいはい(おお)せのままに」


結局、服は脱がずに裸足で浴室に入ったタロウは、バスチェアに座ってワシの髪を洗い始める。


「力加減はどうですかね?」


「うむ、悪くない」


「左様で」


そのまま黙々とワシの髪を洗うタロウに、ワシは気になっていたことを聞いてみた。


「……あれからどのくらい眠っていた?」


「えーと半日くらい?15~6時間かな……ってかあれから大変だったんだからな!?婆さんが気絶した後、ダイナミック不法侵入をキメた俺を捕まえようと追って来た連中と協力して悪徳金持ち貴族を捕まえたり、捕まってた奴隷を助けて……いや解放して介抱したけど、結局捕まって取り調べ受けて、解放されたのは夜中の3時!今日もこれから事情聴取はあるし!今日は全然寝れてないし!もうすっごい疲れた!!」


「それは大変だったのぅ」


「そうそう、もうホンットに大変だったんだから!…………ん?」


「それはそうと、お主の身体強化魔法、あれはなんじゃ?ミスリルの剣を弾き、火炎も効かぬなど見た事も聞いた事も無いぞ」


「ふぅん?気になる?気になっちゃうよね?実はアレって俺が密かに温めて来た奥の手でさ!っていうのも、この世界に来て一年、この世界の事とか魔法の事とか色んなことをおばあちゃんに教えてもらってきたじゃん?」


「うむ」


「日々の勉強と魔法の特訓、そして若返りの魔法も練習しながら冒険の準備なんかしてたら時間がいくらあっても足りないことに気付きまして……」


「そうじゃのぅ」


「冒険者になるからには戦闘は回避出来ない訳じゃん?っでそうなると時間が無かった俺には広く浅く覚えた魔法の数で勝負するか、それとも何か1つ極めた魔法で戦うかの二択になってくる訳ですよ?」


「ふむ」


「俺としては広く浅く覚えて冒険の中で強くなっていくってのもロマンがあって良かったんだけど

、やっぱまだ見ぬ強敵が現れた時、それに対抗できるような力が無いと野垂れ死ぬって考えた訳!」


「それで身体強化を極めたと」


「そういうこと!教えてもらった魔法の中じゃ身体強化が一番簡単だったし、何より筋肉は裏切らないってよく言うし!」


「成程のぅ。じゃが一つに絞ったとはいえ、たった一年であれ程まで身体強化を伸ばすことが出来るとは……お主は天才かもしれんのぅ」


「まあそのせいで身体強化以外の魔法は、てんでダメだけどね…………んん?」


「…………最後に一つ聞いてもよいか?」


「え、何!?どうしたの、急に改まって!?」


「どうしてワシを助けに────ひゃんっ!?」


馬鹿弟子が突然、風呂桶一杯に溜めたお湯をワシの頭上からかけて来た。


「な、何をする!?」


ワシは立ち上がってタロウに抗議する。


「さっきから黙って聞いていれば!普段は全然俺の事を褒めないくせに急に褒めてくるし!」


「わ、ワシだって、お主を褒めることくらいあるわ!」


「かと思ったら急にセンチになって、どうして助けたのか聞いてくるし!」


「そ、それくらい別にいいじゃろ!?」


「どうせ、そのタトゥーの事で柄にもなく落ち込んでるんでしょ?」


「…………」


「ほ~ら、やっぱり」


「…………ワシだって落ち込む事くらいある……これは…………」


ワシは左腕のタトゥーを強く握り絞める。


「消せないんでしょ?でもそれが何?『これを消す魔法を作れ!』とか『消すのを手伝え!』くらい言いなよ」


「それが出来ぬから────わっぷ!?」


タロウは、ワシの顔を両手で挟むと、モチモチとしたワシのほっぺたをぐりぐりと()ね回す。


「出来ない?ここには、たった一年で師匠の想像を遥かに超えて成長した大天才の弟子がいるというのに!?」


「ふぉ、ふぉれはふぉうふぁが……(それはそうじゃが……)」


「もっと俺を頼ってよ、水臭いじゃん」


「……そうじゃの…………」


……ワシは今まで、こやつなら何とかしてくれるかもという希望的観測で人に頼るなぞして来なかったし、そもそも選択肢に無かった。


他者の力が必要なら契約の烙印で無理矢理従わせた。


ジカスの奴も、奴の未来を見る魔法があればワシの命を狙う追っ手を効率よく()けるから無理矢理従わせたまでで、師弟とは言っても、そこに信頼関係なぞ無かった。


…………裏切りなんて二度と御免だ。


────だが


「フッ……そこまで言うのならワシの為に働いてもらうぞ?」


「任せなって!」


老衰間際のワシを助け、そしてまた先の件でも助けに来た、この大馬鹿を信じてみるのも……まあ悪くないかのぅ。


「では失礼して…………」


タロウは、そう言うと両手でワシの左肩に触れ、そこから指先までなぞる様に触れてきた。


「なんじゃ急……にぃ!?」


タロウが触れた箇所のタトゥーが綺麗に、跡形も無く消えていた。


「なっ……なっ……なぁっ!?」


「まあ綺麗!特別な洗剤は一切使っておりません!これが私の我流回復魔法ですよ、奥さん」


「なぬぅぅぅぅぅ!?」


「ほら、右手もやるから手出して」


「う、うむ…………って!なんじゃ、この魔法は!?」


「よくぞ聞いてくれました!これは俺が考えた回復魔法なんだけどさ。この世界の回復薬や回復魔法って本人の治癒力を爆発的に向上させて治すでしょ?」


「う、うむ」


「でもそれだと火傷の後とか古傷って治せないじゃん?」


「そうじゃのぅ……」


「っで俺は考えたのよ。既存の回復魔法じゃ限界があるなら新しく考えようと。そこで生まれたのがこれ!時間を逆行させて治す新しい回復魔法!!」


…………よく分かった、こやつは天才じゃ。


「って言っても若返りの魔法の開発で出来た副産物みたいな物だし、それに今はまだ俺が手で触れた場所だけだからね、治せる範囲」


タロウは喋りながらもドンドン、ワシの身体に刻まれたタトゥーを消していく。


「…………お主、この魔法を美容方面の商売に利用すれば、すぐに遊んで暮らせるだけの金が手に入るぞ」


「えぇ~、なんかエロマッサージ師みたいで嫌だなぁ~。それにこれは冒険で必要になると思って作ったしなぁ」


「……分からん。何故、異世界人はそこまでして冒険に情熱を注ぐのか……」


「そういうものなの。ほら、これで最後」


「ひゃうっ!」


タロウが事前に断りも無く、ワシの左胸に触ったせいで変な声が出てしまった。


「うおっ!?変な声出すなって!」


「五月蠅い!」


「ほら終わったよ」


タロウがそう言うと、ワシの左胸に刻まれていた契約の烙印が綺麗に消えていた。


「一応全部消したから魔法も使えるようになってるんじゃない?」


普通に立っているだけでも分かる。ワシの身体は完全に元に戻っている。


しかし一応念の為、ワシは白金(はっきん)の剣を3本召喚しようとし────問題なく成功した。


「うむ、問題ない」


「それは良かった。じゃあ俺はこれで…………」


「待て」


タロウが浴室から出ようとするので、ワシはタロウの前に白金の剣を2本召喚しバツ印を作って通せんぼする。


「まだワシの身体を洗っておらぬぞ?」


「いやいやいや!?もう体調も戻ったんだから一人で出来るでしょうよ!?」


「え~、冷た~い~!お兄ちゃん、背中も流してくれないの~?」


「分かった!分かったから、そのメスガキの演技止めろォ!!」


タロウは怒りながらワシの身体を洗い始めた。


「そういえば、あの白馬……」


「リヴァータの事?」


「そうそれじゃ、あれはどうした?」


「ああ、いや婆さんが捕まってる間に色々あってさ、リヴァータの好きな雌馬を助ける為に協力して戦ったのよ。最初は俺とリヴァータはお互いに仲が悪かったけど戦いが終わる頃には意気投合。今じゃ盟友って感じでさ」


「ほ、ほう…………」


「んで俺が婆さんを助けに行くっていう時に、アイツ何も言わずに俺の事を待ってて協力してくれたのよ『力を貸すぜ』って感じで。んで乗り込んだ」


「それで今は何処におる?」


「ここの馬小屋にいるよ」


「そうか。では後で礼をせねばな」


「……………………俺は?」


「ワシの裸体を見たばかりか、撫で回し、洗っておるではないか?これが褒美でなくてなんとする?」


「はぁ~~~!?自分から裸、見せて来てぇ!?治療もしてたのに!?自分で洗わせておいてぇ!?」


タロウは怒りに任せて、桶に溜めたお湯を勢いよくワシの背中にぶっかける。


「痛ぃったぁ!?貴様ッ!今、身体強化使ったじゃろ!?」


「そぉーだよ!よく分かったな!?」


「なんて短気な奴じゃ!冗談も通じぬとは!」


「…………まじ?くれんの?本当に?」


「うむ。ほれ服を脱げ、ワシが洗ってやる」


「…………はい?」

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