カースド・タトゥー
「んッぐゥゥゥゥ!?」
まるで身体を焼かれながら抉られるような常軌を逸した激痛にルルは、くぐもった悲鳴を上げながら覚醒した。
「目が覚めたか?」
「ンゥ!?──────ッッッ!!」
何処からかジカスの声が聞こえてくるが、あまりの苦痛にジカスの言葉を理解するだけの余裕は今のルルには無かった。
ルルは、この苦痛から逃れようと身体を動かそうとするが、何故か身動き一つ取れない。
「ムゥ、ムフゥゥゥ!?」
ここでやっとルルは、ようやく自分の四肢がベッドに固定されている事に気付き、慌てて自分の状態を確認する。
まず口元にはラバー製の口枷を噛まされ、満足に声が出せなくなっている。
首筋には何かに絞められているような圧迫感があり、息苦しさを感じる。
衣服は着ておらず、一糸まとわぬ姿で姿でベッドに拘束されている。
そしてそんな自分の裸体に、今もなお一人の男がタトゥーを彫っていた。
「──────ゥゥゥゥゥッ!!」
男が針を動かす度に想像を絶する苦痛が襲ってくる。痛みの原因はコイツだ。
ルルは、自分の身体にタトゥーを彫っている男を殺そうと魔法を使い白金の剣を出そうとするが、いつもの様に剣を出せない。
「ムッ、ムフグゥ!?」
困惑しているルルをよそに、男はタトゥーを彫っていく。
「ンゥゥゥゥゥ──────ッッッ!!」
地獄のような苦痛の中、ルルは何故こんな事になっているのか段々と思い出して来た。
(そ、そうじゃ……ワシは、あの、今まで見た事も無い魔道具のせいで…………)
「今、アンタの身体に入れているのは『カースド・タトゥー』だ」
「ムグゥゥゥッ!?」
意識がハッキリして来たのか、今度はジカスの言葉が理解できた。
この忌々しい首枷は知らずともカースド・タトゥーは知っている。
カースド・タトゥーとは、再犯者や重犯罪者に刻まれるもので、その効力は───
「筋力低下、魔法無効化の効果を持つタトゥーを今日から6日掛けてアンタの全身に刻み込んでいく」
そんなものを入れられたら、一巻の終わりだ。
「ングゥッ!!フウゥゥゥッ!フゥウウウ───ッ!!」
殺してやる、殺してやると、ルルは全力でこの男達を殺そうと魔法を使おうとするが、隷属の首枷による妨害、そしてこの地獄の苦しみの中で、こうも集中力を削がれてしまっては、いくら白金の魔女でも魔法を発動する事は出来なかった。
「ンッッッグゥゥゥゥゥゥ──────ッッッ!!」
最早、ルルに出来るのは涙を流しながら悲鳴を上げる事だけだった。
「本来なら商品価値が下がるようなことはしたくは無いんだが、まさかそれを付けた状態で反撃して来るとは思わなかったからな、念には念をだ」
「ングッ、ンッ、フグゥゥウウゥッ!!」
「高純度の魔力を含んだインクで呪いを付与しながらの作業だ、どれほどの苦痛か想像もつかないが、俺が今までアンタから受けて来た痛みに比べれば、大したことないだろ?」
「グッ、フウゥゥゥゥゥッ!!………………ウ…ゥ………」
ルルは、苦痛に耐えきれず意識を手放してしまうが、ルルが気絶しようが関係なくタトゥーの施術は続いている。
「──────んッぐぅぅぅううう!?」
タトゥー施術の激痛で、ルルは跳ね起きた。
「本当は口枷なんかせずに直に悲鳴を聞きたかったが、痛みのあまり舌を噛んで死なれては困るからな、こればかりは仕方ない……本当に仕方ない…………」
ジカスは、ルルの右胸を鷲掴みにして揉みしだく。
「んふぅ!?ン、ンンッ!!」
「……本当は、さっさと殺して清々したかった。だがアンタは俺から20年以上の時間を奪ったんだ。アンタの、これから先の人生、ただの性奴隷として使い潰してやる」
「ウゥゥゥゥゥ─────────!!!」
その後も施術は続き、初日は10時間以上掛けてルルの右腕にタトゥーが彫られた。
施術中、何度も気絶したり、失禁したりもしたが、施術が終わる頃には、ルルは散々泣き叫んだせいで疲労困憊になっており、碌に反応が出来なくなっていた。
「……んふぅ…………んふぅぅぅ………ぅぅ……………」
そして作業の締めにルルに昏睡の魔法が掛けられた。
ルルは抵抗することも出来ずに意識を失った。




