第4話:失公園
小説家を公園から追放して1週間。俺はあの公園からは離れていた。
これ以上犠牲者を出すわけにはいかない。
俺さえいなければあんな悲劇は起きずにすんだのだから...。
「こんなところに居たんですね。とうとう見つけましたよ。」
何故だ。これ以上トラブルが起きないように俺は配慮しているのに、なぜトラブルの方からやってくるのだ。
後ろを振り返ると、そこには30代くらいの女性がいた。"地域見守り隊"というタスキをかけてる。
「あなたですね、最近公園の治安を乱している不届き者は。単刀直入に言います。これ以上、あの公園に行かないでください。」
「そうですね。あなたの言う通りです。二度と行かないので安心してください、それでは。」
とにかくこの女には関わりたくない。早く逃げ出そう。
「ま、待ちなさい。あなた一体どういうつもりなんですか!!。」
もう行かないと言ったのに、なぜかその女は俺を通せんぼしてくる、嫌な予感は的中してしまったようだ。誰か助けてほしい。
「あなたからは反省の態度が見えません。口先だけで公園に行かないといっても、信じられるわけないでしょう。」
ああ、この手のめんどくさい要求か。
つまり反省していることを示すために、もっと落ち込んだ態度を見せろということなのだろう。仕方がない、ここは一つ演技を...
「いいですか、本当の反省というのはですね。言葉で示すものではなく、"魂"で示すものなのです。」
うん...?。
「言葉なんてねぇ...。信用できないんですよ...。本当に反省させるためにはね、トラウマを植え付けるくらいやらないと!!。泣き叫んで悔い改めるまで徹底的にッ!!それで初めて信用出来るッ!!」
ハアハアと荒い息を吐き散らし、彼女は俺を血走った眼で見ている。
彼女はおもむろに俺の肩をつかみまくしたてる。
「言葉の約束なんて簡単に破られるんですよ!!そうやって私は周りに裏切られてきた!!思えば浮気したあのクソ野郎も!!ズッ友とかぬかしやがったあの自称友人野郎も!!みんな言葉の上ではキレイなことを言っていやがった!!それなのに皆裏切りやがった!!だから私はもう言葉を信じない!!」
何故この人は頼んでもいないのに自説を開陳しているのだろう。
なぜ話の内容が「言葉を信じられるかどうか」になっているのだろうか。
全く意味が分からない。俺は一体何に巻き込まれているんだ...。
「ママ~あの人たち何しているの?」
「しっ見ちゃいけません。坊や、あれは痴情のもつれよ...。」
なんか遠くのほうで俺たちの様子をみて壮大な勘違いをしている親子がいるようだ。
状況は刻一刻と悪化している。
「あ~。とにかく落ち着いてください。俺はもうあの公園に行きません。これでいいじゃないですか。」
「言葉なんて信用できないと言っているじゃないですか!!」
くっ、このままじゃ埒が明かない。
というか、この体験自体がトラウマだよ、もう目的達成されてるよ、早く気づいてくれ。
「それで、俺が何をすればあなたは満足するのですか。」
「町内会事務所へ来なさい。そこであなたを取り調べ、場合によっては誓約書を書いてもらうわ。二度と公園に行かないという誓約書をね。」
こうして、俺は町内会事務所へ行くことになった。
それが、俺にとって最悪の事態を招くことになるとも知らずに...。




