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第3話:true fears

2人の女性を公園から追放して1週間。

俺は週末に公園へ通い続けていた。何か誤解を解くチャンスを得られるのではないかと思っていたからだ。

しかし、あの後2人は現れなかった、それどころか俺が公園に行くと周りの人間が警戒してくるようになった。

そんなわけで今日も俺はたった一人で頭を抱え、ベンチに座っている。


「君、ちょっとここいいかな?」


前言撤回、なんか知らんおじさんが相席してきた。

年齢は、40代、いや50代かもしれないし、60代かもしれない。

そんなことはどうでもいい、とにかく隣に来ないでほしい。


「よくないです...。ほっといてください...。」


「つれないなぁ~、ちょっとおじたんとお話ししようよ♡。」


やだこの人怖い、早くお家に帰りたい、そもそも"おじたん"ってなんだよ。


「君は私のことを知っているかな。実は小説家なんだ。」


「そうなんですね、有名なんですか?」


「実は賞をとったこともあるんだ」


そう言うと、その男は賞の名前を口にした。正直言って知らない賞だ。

多分、界隈では有名だが一般人は知らない程度の賞なのだろう。

というかなぜ俺に話かけるのか。


「なぜ俺に話かけるんです?。知った仲ではないでしょう。」


「風の噂で君のことを聞いたんだ、是非一度話をしたいと思ってね。」


「私と話をしてもいいことなんてありませんよ。」


「いやいや、小説のいいアイデアになると思ってね。」


何という事だ、俺が小説のアイデアを考えていたはずが、俺が小説のアイデアにされるとは。


「なぜ、俺を小説の題材にしようと思うんです?」


「気が付いていないのかい君、この辺じゃ有名だよ。公園にきょうじ...いや失礼、面白人間が現れるって噂になってるよ。」


「つまり、俺に話かけると、あなたが話書けるというわけですね。」


「そうだよ。物分かりがいいじゃないか。」


しばらく話してみて分かった。こいつは関わってはいけない人間だ。

今すぐにでも逃げ出したいが、もし万が一失敗して捕まったら何をされるかわからない。

下手をすれば河原で解体されて闇市へ出荷されるかもしれない。

ある程度付き合って、穏便にお引き取り願おう。


「わかりました。話は聞いてあげますよ、できるだけ手短にすませてください。」


「ありがとう。それじゃあまず質問だけど、君はなぜこの公園でいつも頭を抱えているんだい、何かつらいことでもあったのかい?」


「はい...。クソ小説を書いて家族から追放されました...。」


「!?」


「世間体をやたらと気にする父親でした、その父にクソみたいな小説を書いていることがバレて縁を切られたんです。」


「ああ...あの君...冗談...だよね?」


「本当です。実際に書いている小説をお見せしますね。」


俺は自分のスマホを取り出し、小説サイトに投稿した俺の代表作「萌え萌えスパゲッティ大戦2(仮)」を見せた。

小説家を名乗ったその男はしばらく小説を読み、反応を返してきた。


「やはり本物だ。噂にたがわぬきょうじ...いや失礼...変人だ。」


「やはりそう思われてしまうんですね。悲しいです。」


「それで、この公園には何で来るんだい。」


「以前この場所で誤解を招く行為をしてしまって...。その誤解を解くチャンスを待っているんです。」


「そ...、そうなんだ。それは大変だね...。」


心なしか自称小説家が引いている気がする。

そういえば、父さんはまともな小説を書けば俺を許してくれるみたいなことを言っていた(ような気がする)。

という事は、この小説家(仮)に弟子入りして腕を磨けば復縁できるかもしれない。

なんということだ、これはチャンスだ。


「小説家さん。折り入って頼みがあります。」


「ん...。何だい。」


「俺を弟子にしてください!!」


「!?」


「父はまともな小説をかけるようになったら俺を許してくれると言いました。お願いです協力してください。」


自称小説家は困ったような表情を浮かべ、しばらくすると口を開いた。


「すまない...。それはできないんだ。」


「なぜでぇす!?」


「確かに私は賞を取った小説家だ。そこに嘘はない。ただ、私がとった賞というのは大した賞ではなくてね...。小説だけ書いて生計を立てられるプロでもなくて、アマチュア作家なんだ...。」


「それでもいいんです!!!」


「ヒッ...」


「俺は、ガチガチにうまい小説を書きたいわけではないんです。ただテンプレを守ったそれなりの小説を書ければ家族のもとに帰れるんです!!」


「き、君。とにかく落ち着き給え。」


「お願いです俺を家族のもとに返せるのはあなたしかいないんです。それともなんですか、哀れな人間を見捨てるなんてそんなことはしませんよね。そんなことをしようものなら今すぐ自害して今晩あなたの枕元にでも化けてで...」


「う、うわぁああああああ狂人だぁああああああ!!!!」


彼は逃げ去っていく、こうして俺は一人の小説家を公園から追放した

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