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第2話:けだものフレンズ

「よし...。やっとできた。」


俺は「萌え萌えスパゲッティ大戦2(仮)」の最新話の投稿を完了した。

クソ小説を書いたことが原因で家族から追放され1週間、俺は投稿をやめることができない。

家族を失った俺にとって残されたのはクソ小説以外なにもないのだから...。


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日本国 神奈川県 某公園


絶望の中で俺は頭を抱えてベンチに座っていた。

自宅からは出たくなかったが、鬱な気分には日光浴がきくと聞いたことがある。

少しでも気分をよくするために仕方がなかったのだ。


「ちょっと、あの人何やってるの?」

「頭でも打ったのかしら、関わり合いにならないほうがいいわ。」


どこかから、女性の声が聞こえてくる。きっと幻聴だ信じたくない。

俺のことを何も知らない人物でさえ既に俺を拒絶している。

家族から追放され、俺のことを知らない人間からも拒絶され、この社会に居場所がないことを俺は自覚した。


「うわわあっぁぁああああああああああ!!!」


あまりの絶望に俺の魂は叫び出す。


「いやぁああああああああああああああ!!!」


奥様方もつられて叫び出した。俺たちの"声は"共鳴できたようだ。

だが顔を上げたその時には、公園からは誰もいなくなっていた。


「俺は、どうしたらいいんだ...。皆いなくなっちゃうよぉ....。」


絶望にまみれた顔を横にやると、小さな命と目があった。


「ミャーン」


猫ちゃんだ。


おそらくこの公園でエサをもらって生きてきたのだろう。俺の所にやって来たのも、エサがもらえると期待したからだ。

つまり、この猫は俺のおごりで飯を食おうとしている。こんな動物でさえ現代社会の悪しき風習に染まっていたとは。

最近「いただき系女子」が議論を呼んでいるが、この猫のふるまいはまさに「いただき系」そのものだ。


全人類との関係を断ち切っても、この猫のように人間以外の動物が俺を狙ってくるだろう。

いや、猫だけじゃない。カラスもそうだ、彼らも人間社会のおこぼれ(主にゴミ)を欲しがっている。

他には?...。野良犬、ネズミ、山から下りてきたクマ...。すべて人間の持ち物を狙っている。


そうだ、俺はもう人間社会の中で生きるしかない。

人間嫌いをこじらせて社会から逃げ出したところで、あっという間に動物たちの餌食になるだけだ。

野生の中では人間などいいカモでしかないのだ。


気が付けば猫は立ち去っていた。どうやら食べ物を渡す気がないことに気が付いたようだ。

迷いはもう消えていた、俺はもう逃げない。この社会の中で地に足を付けて生きていくのだ。

見渡すと先ほどの奥様2名が遠くにいるのが目に入った。心配そうにこちらを見つめている。


誤解を解かなければいけない、この社会に生きることを決意した者として誤解を放置しておくわけにはいかない。

先ほどは大きな声を出して驚かせてしまった。同じ過ちは二度と繰り返さない。

近づくんだ、笑顔を浮かべながらゆっくりと、そう、ゆっくりと近づいていくんだ。


ニチャア…


「いやぁああああああああああ!!!来ないでぇえええええええ!!!」


そう叫びながら、二人は逃げ去っていた。

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