会計人、サメンフント
スリガラのアジト
スリガラ「相手は一人じゃねーか!?テメーらなにやってんだ!?」
ノワール「ダークフォンス!」
ボク"ァッ!
ヤクザモン「オブッ!」
私に立ち向かってきたヤクザモンが内臓を飛び散らせながら破裂する。20人にも満たない男どもの足はガクガク震えていた。
「ひ、ひいい!」
「うわ!なんだこいつ?!」
「悪魔か?!」
クリオ「アイツラと一緒にすんな。」
ノワール「まぁ、変わらないかも、やってることは?」
クリオ「おいおい、アイツラはここまではしねーよ。よくて、いたずら程度の血を吹き出させるくらいさ。」
スパッ!
突っ立ったまま気絶していたやつの首をカスカータで飛ばす。
クリオ「あ、俺のも残しといてくれよ!ノワール!」
死体に伸びていた髪の毛が離れると、そこにはカラカラのミイラが転がっていた。
スリガラ「なんじゃこりゃ!?」
ノワール「いいじゃない?私は趣味を堪能できる。クリオは腹が満たされる。」
クリオ「そうだけどさぁ。」
震える男たちを撫で斬りにする。
「たったすけ……!」
ノワール「いいわ。」
「へ?」
命乞いをした男にすかさず毛が突き刺さる。
「ホ!ホゴォォォ!?」
ち"ゅううぅ……!
クリオ「やっぱピチピチの女だな!」
ドサッ
カラカラのミイラがその場に倒れた。皮膚だったものが砂のように辺りに飛び散る。
ノワール「味に違いがあるの?」
クリオ「嗜好の問題だと思うけどね。やっぱ違うんだよ!」
ブツブツ独り言を言って、人を壊していく私にスリガラ達は恐怖している。
スリガラ「漆黒の悪魔だ!アイツは!」
「う、うわぁぁ!」
「にげろおぉ!」
ノワール「逃がすか。」(ニチャァ)
外に逃げようとする男たちをクモの巣のように部屋全体に伸びた髪の毛が阻む。
「ひいい!」
スリガラ「なんなんだ!何が目的なんだ!?」
尻餅をつき、小便を漏らしたスリガラ達が部屋の隅に縮こまっている。
ゾクゾク
ノワール「いいわね、この光景。またやろう。」
「ぎゃぁぁぁぁ!」
クリオ「もういらねぇかな。」
ポイ!
カラカラのミイラのスリガラが壁に投げ飛ばされる。
ノワール「そうね。」
爆散し天井まで飛沫した臓物とミイラだけになった部屋の中を私は物色した。
クリオ「金目のもの?」
ノワール「そんなもんに興味ないわよ?探してるのは、販路とか顧客のリストよ。」
???「へ、へへ。アンタの望みはこれですかい?」
声のする机の影から書類を持った手が伸びている。
クリオ「お?まだ生きてるやつがいるぜ。」
ノワール「運がいいわね。出てきなさい。」
スクッ
両手を挙げた茶色の上下のスーツを着た短髪の男がでてきた。
キラッ
ヒビの入った眼鏡が鈍く光を反射する。
サメンフント「お、俺はサメンフント。ここの会計士だ。」
ふーん。
ノワール「アナタ、自分も殺されるかも?とかは思わないの?」
サメンフント「会計には自信がある。アンタの役に立つと思う。」
ノワール『この業界をその腕だけで生き抜いてきたのか……』「自分の売り込み?」
クリオ「面接かよ。」
ノワール「じゃぁ、エンハンブルクの販路を任せようかしら、試用期間は一カ月。もし、変なことしたらアイツラよりひどい死に方するわよ?」
クリオ「とんだ、圧迫面接だ……」
私は後ろのぐちゃぐちゃになった死体やミイラを指さした。
ゴクリ
サメンフントのつばを飲み込む音が聞こえ、その額に冷や汗が噴き出してきていた。
サメンフント「わ、わかった。」
マフィア=ガトロマーノファミリーを潰し、その麻薬の販路を手に入れた私は早速、麻薬の初期生産分を市場に流した。
ノワール「サメンフント、その後の麻薬の売れ行きは?」
綺麗に掃除をしたスリガラの邸宅。
サメンフントのいる事務室のソファに腰掛けて、私は出されたコーヒーに角砂糖を2個入れてかき混ぜていた。
クリオ「あまそう……」
サメンフント「上々です。」
ノワール「そうだ。焼けた畑は再利用できそう?」
サメンフント「あー、人手があれば。」
ノワール「そう。増えたゴブリンを使うか……」
サメンフント「え?!ゴブリン?!」
ノワール「何よ?いけない?」
サメンフント「い、いえ。少し驚いただけです。オルクスさんは顔がお広い。」『アイツラと意思疎通ができる?!やっぱり、ただもんじゃねぇ……』
クリオ「あそこでなんか作るのか?」
ノワール『違う品種も試したいのよねぇ。』
サメンフント「そう言えば、風俗店を経営してるところがガトロマーノが潰れたと知って、麻薬市場に参入してきましたよ?」
ニヤ
ノワール「へー。」
クリオ「新しい、餌だな。」
サメンフント「価格も品質もこちらが勝ってて相手にならないですが、強硬手段に出てきそうで……」
ノワール「なら、風俗店も貰っちゃおうかしら?」
サメンフント「え?」
サメンフントは私の顔を見て冷や汗をかき始めた。そんなに怖い顔をしてたのか?私は顔を撫でた。
ノワール『あ、ニキビ。』
クリオ「膿なんてさっさと出しちまいな。」
プチ
ノワール「キタナ。」
持ってたハンカチで血を拭う。
不摂生してたのだろうか?気をつけないと。
クリオ「夜更かしのしすぎじゃないか?おもー」
脳裏の怪物の顔面をぶん殴る。女にもストレス解消は必要だ。年ごろなんだし。
サメンフント「?」『おっかねぇアネさんだなぁ。』
風俗店のマフィアは構成員の規模的に小さかったので、私とイスキアとルーカーだけですぐに潰した。
イスキア「楽勝でしたねー。」
ルーカー「今度は風俗店ですか?」
ノワール「病気持ちがいるからまだ利用すんじゃないわよ?」
私はニヤけるルーカーを睨んだ。
病気持ちの子たちを治療して、土建屋に引き渡す。
土建屋「なんですかこの子らは?ノワール様?」
ノワール「風俗行きたいとか言う奴等がいるんでしょ?連れていきなさいよ。大丈夫。ちゃんと検品したから。」
作業現場に一時的に仮組みされた建物に薄着の売春婦を引き連れて部屋の隅に並ばせる。もちろん手に縄をして。
土建屋「あー、給料の回収ですか。」
ノワール「悪い?いいことしてると思うんだけど?」
土建屋「いえいえ、滅相もない!大事に使わせてもらいます。」
売春婦達を月契約で土建屋に貸し出してから数週間したある日
その日、私は屋敷の庭でいつもの趣味を堪能していた。
そこへ、慌てた様子の土建屋が現れた。
ノワール「ちょっと、邪魔よ、アナタ。」
土建屋「いえいえ!すごい発見をしました!ノワール様!鉄です!」
クリオ「鉄?」
土建屋「山を削ってたら硬い岩壁が出てきまして、試しに採掘してみたら鉄の鉱脈に当たりまして!」
ノワール「お手柄じゃない!やったわね!」
私は土建屋と手を取って喜びあった。そこへヴァイスも何事かとやってきた。
ヴァイス「鉄かぁ。どうする?人雇って採掘する?」
ノワール「食料とか、運搬経路上にゴブリン達の巣や畑もあるし、めんどくさいからシヘイで済ませちゃいましょう。」
クリオ「エンハンブルクの墓場でも荒らすかぁ。」
土建屋『私兵?』「国には申請は出さないんですか?」
ノワール「当たり前よ。そんな事したら、いろいろ探られるじゃない?」
土建屋『あー、道も内密に作ってるんだった……』
クリオ「今度のは鉱山作業のプログラミングかぁ、今から仮組みしとこ。」
ノワール「頼んだわよ、みんな!」
アルゲン「……ということらしい。」
地下の隠し部屋で忍者たちが集まっている。
ルーカー「また、墓場漁りですか〜?クセ〜んすけど?!」
イスキア「エンハンブルク、アンパン買ってもいいです?」
アルゲン「食料調達は好きにしろ。」
イスキアはガッツポーズを取った。
ルーカー「人雇いましょうよ〜!アルゲンさん!」
アルゲン「そうだな。2人じゃ、もうきつい頃だと思ってた。ノワール様に相談しよう。」
ルーカー「うちの里にリクルートかけましょう!」
アルゲン「雇うのが決まったらな。」
朝、アルゲンが部屋の前で私の出待ちをしていたから変な声が出た。
ノワール「うぇ?!何だ、アルゲンか。どうしたのよ?朝早くから。」
クリオ「目覚めのパンチにはなったな。あーびっくりした。」
アルゲン「ノワール様。人を雇いましょう。我々だけでは持ちません。」
ノワール「宛はあるの?」
アルゲン「ウチの里の者であれば大丈夫と思います。」
ノワール「まぁいいか。屍兵で人件費浮くんだし。けど、なんかあったら私じゃ対処できないんじゃない?仮にも忍者なんだし。」
アルゲン「…………」
ノワール『私のほうが危険と思われてる……』
そうして、辺境領イスラで密かに鉱山開発が始まった。