表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

リンゴ飴の恋

作者: 紅月麻実

 現実逃避しに来ました。テスト勉強やだー……

 ここで投稿してる推しの小説読みに行きたいけど、読んでるのバレたら終わるし……

 ある夏休みのこと。知り合いから、花火大会にいかないかと誘われ、生まれて初めて花火を見に行った。屋台が立ち並ぶ見晴らしの良い公園。普段はただの遊び場だったはずなのに、今日今このときだけは、とても美しく感じる。


「ねぇねぇ爽ちゃん、あれ食べようよ!」

 友人が、何やら林檎のような、飴のようなものを指さして、俺の服の裾を引っ張った。


「仕方ねぇな、なんだ?」

 近づいてみると、俺にとっては不思議な名前が書いてあった。


 『リンゴ飴』


 リンゴ飴? ま、まさか、林檎をそのまま飴で作ったってことか? いや、でも林檎が丸ごと入っているようにも見えるし……んむむ……。今の飴細工は技術ってすごいなぁ……。

 と思ったら。


「う〜ん! シャクシャクしてて美味しい! 爽ちゃんも食べてご覧よ! 不思議な触感よ!」

 シャクシャク? 飴ならガリガリとかの表現になりそうだけど……。俺は、言われるがままに、その『リンゴ飴』を購入し、かぶりついた。


 ……うまい。なんだ? この、ちょうどいい飴の柔らかさは。どうやってここまで完璧な硬さを追求したのだろう? まさか、とは思っていたが、本当に林檎が丸ごと入っているらしい。だから、食感もシャクシャクしている。飴の甘さとりんごの水分が相まって、よりジューシーで癖のないお菓子となっていた。


 買った店から離れて、初めてのお菓子を頬張りながら、打ち上がっていく花火を眺める。


「やっぱり、花火って綺麗だね……」

「だな……」


 買ったリンゴ飴を手に、用意されていたベンチに腰を掛けて二人で夜空を眺めた。そよ風が頬をかすめる。ふんわりと、リンゴ飴の甘い匂いが鼻をくすぐった。隣で花火を眺める友人の表情は、打ち上がる花火によって色を変える。オレンジ色に、喜びに。黄色に、驚きに。色んな色をみせる彼女の横顔は、とても愛おしかった。


「わぁっ! ねぇねぇ、今の見た!? すっごかったよねぇ! こう、ぱーって、ぱー……って聞いてる?」


「うわぁっ! ごめんごめんっ、お前の顔がきれいだったから」

 あ。


「え……」

 しまったぁー……、俺のバカぁ……。


「きゅ、急にそんな事言うなんて、爽ちゃんらしくないよ……」


 あ、あれ、怒って……ない? いや、それどころかあいつ、急に顔を赤らめて……。おいおい待ってくれよマジで言ってんのかおい! なぁ!


 心臓がドクンドクン言ってる……、い、行くしか、無いのか……!?


「あ、あの!」

 やるしかないんだ!


「はいぃ!!」

「好き!!」


「やだぁ!!」

「!?」

 えぇーー!? なんか思いっきり突っぱねられ


「準備できてないよっ! 爽ちゃん、いきなりすぎ!! ……でも」

「でも……?」


「……ありがと」

「……お、おう」


 生まれて初めての花火大会で、生まれて初めてのお菓子を食べて、


「爽ちゃん。また、一緒に来ようね」


 初めての、彼女の手が、俺の手に絡む。俺は、顔を赤らめながら、そっぽ向いて返事することしかできなかった。


「おう……。絶対来ような」

「……好き」

「……うん。俺も」



 生まれて初めて恋をした。

 

 今日は人生で、一番最高な日だったかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ