リンゴ飴の恋
現実逃避しに来ました。テスト勉強やだー……
ここで投稿してる推しの小説読みに行きたいけど、読んでるのバレたら終わるし……
ある夏休みのこと。知り合いから、花火大会にいかないかと誘われ、生まれて初めて花火を見に行った。屋台が立ち並ぶ見晴らしの良い公園。普段はただの遊び場だったはずなのに、今日今このときだけは、とても美しく感じる。
「ねぇねぇ爽ちゃん、あれ食べようよ!」
友人が、何やら林檎のような、飴のようなものを指さして、俺の服の裾を引っ張った。
「仕方ねぇな、なんだ?」
近づいてみると、俺にとっては不思議な名前が書いてあった。
『リンゴ飴』
リンゴ飴? ま、まさか、林檎をそのまま飴で作ったってことか? いや、でも林檎が丸ごと入っているようにも見えるし……んむむ……。今の飴細工は技術ってすごいなぁ……。
と思ったら。
「う〜ん! シャクシャクしてて美味しい! 爽ちゃんも食べてご覧よ! 不思議な触感よ!」
シャクシャク? 飴ならガリガリとかの表現になりそうだけど……。俺は、言われるがままに、その『リンゴ飴』を購入し、かぶりついた。
……うまい。なんだ? この、ちょうどいい飴の柔らかさは。どうやってここまで完璧な硬さを追求したのだろう? まさか、とは思っていたが、本当に林檎が丸ごと入っているらしい。だから、食感もシャクシャクしている。飴の甘さとりんごの水分が相まって、よりジューシーで癖のないお菓子となっていた。
買った店から離れて、初めてのお菓子を頬張りながら、打ち上がっていく花火を眺める。
「やっぱり、花火って綺麗だね……」
「だな……」
買ったリンゴ飴を手に、用意されていたベンチに腰を掛けて二人で夜空を眺めた。そよ風が頬をかすめる。ふんわりと、リンゴ飴の甘い匂いが鼻をくすぐった。隣で花火を眺める友人の表情は、打ち上がる花火によって色を変える。オレンジ色に、喜びに。黄色に、驚きに。色んな色をみせる彼女の横顔は、とても愛おしかった。
「わぁっ! ねぇねぇ、今の見た!? すっごかったよねぇ! こう、ぱーって、ぱー……って聞いてる?」
「うわぁっ! ごめんごめんっ、お前の顔がきれいだったから」
あ。
「え……」
しまったぁー……、俺のバカぁ……。
「きゅ、急にそんな事言うなんて、爽ちゃんらしくないよ……」
あ、あれ、怒って……ない? いや、それどころかあいつ、急に顔を赤らめて……。おいおい待ってくれよマジで言ってんのかおい! なぁ!
心臓がドクンドクン言ってる……、い、行くしか、無いのか……!?
「あ、あの!」
やるしかないんだ!
「はいぃ!!」
「好き!!」
「やだぁ!!」
「!?」
えぇーー!? なんか思いっきり突っぱねられ
「準備できてないよっ! 爽ちゃん、いきなりすぎ!! ……でも」
「でも……?」
「……ありがと」
「……お、おう」
生まれて初めての花火大会で、生まれて初めてのお菓子を食べて、
「爽ちゃん。また、一緒に来ようね」
初めての、彼女の手が、俺の手に絡む。俺は、顔を赤らめながら、そっぽ向いて返事することしかできなかった。
「おう……。絶対来ような」
「……好き」
「……うん。俺も」
生まれて初めて恋をした。
今日は人生で、一番最高な日だったかもしれない。