世界とこの状況を心配する僕。彼がオカマに取られないか心配な私。
~勇者視線~
「鬼神――かつて、千年前に我と女神で封印した存在だ。」
そう語り出す魔神。僕をチラチラ見てる……そういうのいりません……
「あれは……破壊そのものだ。理性も目的もない。ただひたすらに世界を無に帰そうと暴れ回る、狂気の化身よ。」
女神も頷いてる。狂気の化身……神が2人ともそう思ってるんだ……僕で大丈夫なんでしょうか……
「奴が望むのは『破壊と無』だけだ。その存在自体が世界を脅かす厄災そのもの。滅ぼすことすらできず、どうにか力を合わせて封印するほかなかった。」
破壊と無……世界を脅かす……厄災そのもの……滅ぼせない……
だから封印したんでしょ……解けないやつなかったの……
「だが、封印が緩んできたようだ。千年の月日が、奴の力を目覚めさせようとしている。人間界の魔力の乱れや、信仰の衰退も影響しているだろう。」
え……封印が解けた原因って……時間もだけど……人間にも問題あるんじゃ……
「いずれにせよ、奴が完全に復活すれば、この世界は一瞬で終わる。我も女神も、手を組むしかないのだ。勇者、お前にはその覚悟があるか?」
復活したら……世界は一瞬で終わる……覚悟があるか?……ないけど……やらないとダメじゃん……
だが、隣の女神が魔神に鋭い目を向けた。
「ちょっと、あんた……何を偉そうに語ってるのよ。封印が緩んでるって、最初に気づいたのは私なんだからね?」
「ほう? それを言うなら、封印の維持をサボっていたのではないか?」
「はぁ!? あんたもちゃんと力を注いでたの!? 封印が崩れかけたの、気づいてなかったくせに!」
また始まった……やれやれ……神同士のいさかいは面倒だ……
「はいはい、喧嘩はそこまでにしてください。」
僕は呆れたながらに間に入った。
「鬼神を倒すために協力してください。それが僕たちの目的です。」
頷く魔神。目がなにかを狙ってるように見えますが……気のせいですよね……
女神はやる気があるのかないのか。この人も何考えてるんだろ……
~女神目線~
オカマが彼に説明している。
時々彼に色目を使っているけど……油断も隙も無い……
はぁ!……鬼神が復活したら……ちょっと大変ね……倒せないし……封印もしんどかったな……
オカマと協力か……いやだけど……うーん……なんかいい方法ないかな……
後でおねえちゃんにも報告しないと……めんどくさいな……
え……オカマが偉そうに……文句言ってやろう……
うるさい……このオカマ……あんただって……もう……また……彼に怒られたじゃない……
ああ……また彼に色目使ってる……彼が私を心配そうに見てる……大丈夫だって……